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大腸がん末期

公開日:2016年7月25日 20時00分
更新日:2019年2月 1日 19時58分

大腸がん末期の症状

 大腸がんは早期の段階では自覚できるような症状がほとんどありませんが、がんが進行するにつれて、血便や腹痛、便秘や下痢などの症状が表れてきます。しかし、これらの症状は大腸がんだけに特有の症状ではないため見過ごされることも多く、がんであることに気が付きにくいという怖さがあります。

 大腸がんの浸潤が進み末期の状態になると、がんの組織が大腸を突き破り、腸管からの出血を引き起こします。この出血が持続すると重度の貧血につながることもあります。さらに、腸管から腹腔内にばらまかれたがん組織は、腹膜に転移して「腹膜播種」という状態になると、腹水や水腎症、激しい腹痛など、様々な症状を引き起こします。

 大腸がんが進行して、がん組織が大腸を完全にふさいだ場合は「腸閉塞」の状態となり、手術などの処置が必要になることもあります。

 大腸がんの末期には、がんは腹膜以外にも様々な臓器に転移して、それぞれの場所で増殖を始めます。大腸がんの転移先は、肝臓、肺、骨、脳などが代表的ですが、その中でも最も転移しやすい臓器は肝臓です。がんが肝臓に転移した場合は、全身の倦怠感や黄疸などの症状が表れることもあります。

大腸がん末期における診断

 大腸がんがどの程度進行しているのかを診断するためには、超音波内視鏡を活用して、大腸内のがんの大きさや深さの確認を行います。

 がんの浸潤の程度や多臓器への転移の検査には、CTやMRI、腹部超音波検査などが用いられます。

 血液検査は、腫瘍マーカーの数値から治療の効果判定を行ったり、予後予測を立てたりするのに用いられます。また、貧血などはないかといった、全身状態のチェックにも活用されます。

大腸がん末期の治療

 大腸がんの治療は、がんの切除が第一選択となります。他の臓器に転移が見られた場合でも、そのがんが切除可能な場合は外科的に取り除いて治療することが可能です。しかし、がんが末期の状態にまで進行し、切除によって全てのがんを取り除くことが困難な場合は、がんの進行を遅らせて延命を図る目的で化学療法や放射線治療を行うことがあります。

 大腸がんの末期には、がんに侵された組織からの出血や腸閉塞が起こりやすくなりますので、予防や治療のために大腸がんの組織に侵された腸管を切除して、新たに便の排泄口として人工肛門(ストーマ)を増設することもあります。

 末期の大腸がんでは、大腸以外の臓器にも転移が見られるようになり、がんに侵された臓器が機能不全に陥ります。そうした症状に対しては、個別に対処的な治療を行っていきます。

大腸がん末期の予後・ケア

 大腸がんは他のがんに比べると生存率が高い部類に入りますが、ステージⅣまでがんが進行している場合の生存率は10~15%程度と、予後が厳しいことには変わりがありません。大腸がん末期の状態ともなると既に完全治癒が望めないような状況ですので、がんの治療そのものよりも、残された人生をどのように過ごしていくかに焦点を当てたケアが重要になっていきます。

 大腸のがん末期になると、ご本人やご家族は延命のために治療を行うのか、それとも、がんの治療を中止して余命を全うするのかといった厳しい判断を下さなければならないケースも出てきます。いずれの場合でも、最後までご本人の意思を尊重し、できるだけ満足のいく日々を送れるようにしたいものです。

 緩和ケアでは、ご本人やご家族に寄り添い、身体的・肉体的な不安や苦痛を和らげるための様々な援助を受けることができます。緩和ケアを上手に利用することは、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の維持・改善につながり、自分らしさを失わずに穏やかな時間を過ごすことができる手助けとなるでしょう。

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