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せん妄【原因、症状、認知症の違い、治療】
せん妄は基本的には意識障害です

〇せん妄とは

 高齢者の介護をなさっている方の中には、昼間はいつもと同じくまわりの様子がよくわかって落ち着いて話もできていた患者さんが夜になって突然そわそわしたり、興奮して動き回ったり話が全然通じなくなったりして驚き、困惑された経験をされた人があるかもしれません。そしてかかりつけの先生から「せん妄状態です」と診断されたことがあるかもしれません。

○せん妄の診断基準

 せん妄は基本的には意識障害です。意識障害というと昏睡(こんすい)のようにぐったりと動かなくなって呼びかけても反応がない状態を思い浮かべますが、せん妄のように興奮したり幻覚が出たりすることもあります。
 せん妄の診断基準は次のようになっています。

A

注意を集中したり維持することが困難。

B

記憶障害、失見当識、幻覚、妄想などの多彩な精神症状があり、たとえそれまでに認知症(リンク1参照)があったとしてもその出現がうまく説明されない。

C

短期間のうちに出現し、日内変動を伴う。

〇せん妄の種類

せん妄の種類はいろいろありますが主なものは次のようなものです。

夜間せん妄

脳血管障害や血管性認知症、アルツハイマー病などで、昼間は症状がなく夕方から夜にかけてせん妄が出現することがあります。

術後せん妄
(リンク2参照)

手術のあとしばらくしてから、急にしゃべりだしたり、動き回ってベッドから降りようとしたり点滴を抜いたりすることがあります。

アルコールせん妄

アルコール依存症の人が病気などで急に断酒した後、2-3日して激しい興奮状態になることがあります。

薬剤性せん妄

お薬によっては飲み始めてから精神状態が不安定になることがあります。

〇せん妄の症状

表1にせん妄の症状を挙げておきます。

  表1 せん妄の症状

 1.睡眠-覚醒リズムの障害

昼おきて夜は眠るという自然なリズムが障害され半分眠ったような、寝ぼけたような状態が続きます。

 2.幻覚・妄想

高頻度に見られるのがそこにないものが見える幻視です。アルコールせん妄では小動物(虫、へび等)の幻視がしばしば出現します。またそこにいない人が訪ねてきたと言い張ったりします。

 3.情動障害

激しい興奮のほか、困惑状態、不安などが認められます。

 4.不随意運動などの神経症状

せん妄の種類によっては手のふるえなどの神経症状を伴います。
アルコールによるせん妄はふるえを伴うことが多いので振戦せん妄と呼ばれます。

リンク1 「認知症の診断」
リンク2 「術後せん妄」

○せん妄の原因

 せん妄の原因は多岐にわたります。身体面の不調、薬剤によるものの他、環境因、心理的な要因もあります。特に、高齢者はせん妄になりやすく、突然の精神症状や行動異常が出現したときはせん妄を疑い、原因を探って除去するようにします。
 表.2にせん妄の原因を挙げておきます。

  表2 せん妄の原因

 1.身体的要因

中枢神経系の疾患 (脳血管障害、脳炎、外傷など)
一般臓器の疾患 (うっ血性心不全、肝機能障害、糖尿病など)
体調不良 (脱水、貧血、低栄養)
せん妄を引き起こす薬物

 2.環境・心理的要因

自らの疾患に対する不安
痛み
環境変化 (施設入所、引っ越し、同居あるいは独居など)

 3.生理的要因

加齢による睡眠障害

○せん妄と認知症の違い

 高齢者のせん妄は症状がアルツハイマー病などの認知症と類似しているところもあり、また認知症にせん妄が合併することがあるものの認知症とは本質的には異なったものであり、後で述べるように認知症に比して治療可能な例が多いのでこの2つを鑑別することは重要です。
 表.3にせん妄と認知症の違いを挙げておきました。

 

せん妄

認知症

 意識

障害されている

 おおむね正常

 発症

数時間から数日(発症した日が明確)

いつから起こっているか特定できない

 経過

一過性

持続性

 症状の
 動揺性

あり

目立たない

 精神症状

 幻視、興奮などが多彩にみとめられ、移り変わることが多い。

記憶障害、失見当識が主。精神症状が出現することもあるが持続性であることが多い。

  表3 せん妄と認知症の違い

 

○せん妄の治療

 せん妄治療の基本は原因の究明とその除去です。
 せん妄を疑ったらまず日頃飲んでいる薬をチェックします。さらに血液検査、放射線検査などで身体の状態を調べます。最近になって心理的ストレスとなるような出来事がなかったかどうかを近親者に尋ねます。
 原因の除去により多くのせん妄は治癒しますが、治療が遅れたり、手間取ると脳に障害をのこし慢性化することがあるので早期発見、早期治療が重要です。
 症状が激しいときは抗精神病薬などを用いることもあります。看護、介護の面からせん妄の対応について表.4にまとめました。

表4 介護、看護の面からのせん妄の対応

  1. 光や音の刺激を適切にして、本人が落ち着ける環境を作ります
  2. カレンダーや見慣れたものをまわりにおくと精神的な安定が得られます
  3. 顔を見ながら、ゆっくりはっきりとお話してあげましょう
  4. 介護や看護について今何をされているかについてよく説明しながらおこないます
  5. 幻視、妄想には現実をしっかり把握できるようにまわりの様子を説明したりするとよいでしょう
神経症 高齢者の幻覚
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