健康長寿ネット

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下肢の骨折のリハビリテーション

公開日:2016年7月25日 12時00分
更新日:2019年5月29日 11時23分

 高齢者は様々な骨折を起こしやすいですが下肢の骨折の中でも特に頻度が高いものが大腿骨頸部骨折です。

 大腿骨頸部骨折は横方向への転倒や尻もちをつくことによって、ふとももの骨の付け根に起こる骨折で、転倒して股関節に痛みを感じたらこの骨折が疑われ、レントゲンで診断をします。

治療

 この骨折を起こしてしまうと入院が必要となり歩けるようになるためには手術が必須となります。骨折の状態によって異なりますが、骨折部分を金属を用いて固定する骨接合術や骨の代わりとなる金属で置き換える人工骨頭置換術を行うことになります。

 入院後は痛みが強くベッドの上で安静となります。ここで注意しておかなければならないのは安静によって健常な上肢や骨折していない下肢までもが弱くなるということです。動けなくなるとことで肺炎や床ずれなどの合併症も起こりやすくなります。

 手術をするまでの安静期間が長いほどその弊害は大きくなりますので受傷後できるだけ早い時期の手術が望まれます。

手術後早期の離床

 痛みが許せば手術前でもなるべく上半身は起こす方が望ましく、上肢や骨折していない足の運動をお勧めします。

 骨折した部分の転位(ずれ)や粉砕が少ない通常の骨折であれば手術をすることによって多くが体重を支えるだけの強度を得ることが出来ます。

 固定性が弱い場合には術後も安静が必要になることがありますが、全身状態に問題が無ければ手術が終わったらなるべく早期から離床を始めます。術翌日には座位をとるようにして車椅子に乗ることを目標とします。手術した部分はまだ腫れも強く痛みを伴いますが、病院のスタッフの介助を得ながら出来る限り早くもとの生活を目指すよう頑張りましょう。

 高齢者が1週間ベッド上に安静にしていると、もとのように動けるようになるには多大な努力を要します。ベッド上で寝ているだけでなく、なるべく起きて活動している時間をつくるようにして余分な廃用を防ぎ、少しでも早く体力を戻していくことが大切です。

リハビリテーション

 個人差はありますが、手術後1週間ほどで手術した部分は腫れが引き痛みも和らいできますので、本格的なリハビリテーションがはじまります。

 平行棒での立ち上がりや歩行訓練を痛みの程度をみながら始めていきます。また骨折をしてから股関節や膝や足首の運動が出来ない方がほとんどでこれらの関節には固さ(拘縮)が生じていますので関節の動きを良くする運動を行います。

 関節の柔軟性が戻ってきたら筋力訓練をあわせて行なっていきます。仰向けに寝て、膝を伸ばした状態で足全体を上げたり、お尻の持ち上げ、座った状態で膝を伸ばす運動が良い筋力訓練になります。ベッドサイドでも自分で行うように心掛けると良いでしょう。

 平行棒の歩行が安定したら歩行器・杖歩行の順に歩行訓練を行います。これらの訓練は理学療法士(リンク1参照)が担当します。疑問なことがあったら質問をするようにしてください。

リンク1 「理学療法士」

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