健康長寿ネット

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尿漏れ予防

公開日:2016年7月25日 09時00分
更新日:2022年8月25日 15時49分

尿漏れとは

 尿漏れとは、おしっこをしようとはしていないのに、おしっこが出てしまうことです。尿失禁ともいいます。

 尿漏れには4つのタイプがあるといわれています。

腹圧性尿失禁

 おなかに力が入ったときに漏れてしまうタイプで、40代以上の女性に多い

切迫性尿失禁

 尿意を感じるとトイレまで間に合わずに、漏れてしまうタイプで、過活動膀胱など膀胱が過敏になっている

いつ流性尿失禁

 おしっこがうまく出せずに、膀胱内に尿が溜まってしまい、いつもちょろちょろあふれて出てくるタイプで、前立腺肥大症の男性にもみられる

機能性尿失禁

 排尿機能には問題がなく、認知症や体の動きが悪くて尿もれするタイプ

 このうち、腹圧性尿失禁と、切迫性尿失禁の予防には、骨盤底筋のトレーニングが有効であると言われています。

尿漏れと骨盤底筋の関係

 骨盤底筋は、骨盤の底にある筋肉の集まりのことです。内臓や子宮、膀胱などを本来のあるべき位置に収まるように、下から支えるという役割を担っています。

 しかし、骨盤底筋が弱くなると、内臓や子宮、膀胱などの臓器が下がってきてしまいます。骨盤内の臓器で一番下側にくるのが膀胱ですので、常に内臓や子宮に押されている形になります。すると、少しの力がお腹にかかっただけで、膀胱を圧迫してしまい、尿漏れが起こります。特に出産を経験した女性では、分娩時の骨盤底筋へのダメージにより、腹圧性失禁を起こすようになります。

図1:骨盤底筋の解剖図。骨盤底筋は、骨盤の底にある筋肉の集まりのことを示している。

図1:骨盤底筋の解剖図(膀胱は骨盤内で一番下側にある袋状の臓器)

Copyright © Andreus / 123RF 写真素材

 骨盤底筋が健康な状態なら、ちょっとした運動や笑った時など、お腹に少しくらいの力がかかっても、内臓や子宮などが膀胱を圧迫することはありませんし、骨盤底筋の組織が反射的に尿道口を締めてくれるため、尿漏れをすることはありません。しかし骨盤底筋が緩んでくると、尿道口をキュッと締めることが難しくなり、さらに内臓や子宮などの臓器が膀胱を圧迫するため、少しの力がお腹にかかった時に、尿が漏れてしまいます。

尿漏れを予防する方法:骨盤底筋トレーニングとは

 40代以上の女性では特に尿漏れを起こす人が増えますが、多くの場合は軽症であり、骨盤底筋トレーニングを行うことで、尿漏れを予防することが期待できます。

骨盤底筋トレーニングの基本

 骨盤底筋トレーニングは、仰向けの姿勢や、床に座って壁に寄り掛かった姿勢で始めます。慣れてきたら、椅子に座った姿勢や、立ったままの姿勢でも出来るようになります。

骨盤底筋トレーニングを行う時の姿勢

 骨盤底筋トレーニングを行う時の姿勢は、最初のうちは、図2の2つの方法で試してみます。

図2:骨盤トレーニングを行う時にあおむけの姿勢と床に座って壁に寄り掛かった姿勢を示す図

図2:骨盤底筋トレーニングを行う時の姿勢 その1

慣れてきたら、図3の方法も試してみましょう。

図3:骨盤トレーニングを行う時に椅子に座った姿勢と、机を支えして立って姿勢を示す図

図3:骨盤底筋トレーニングを行う時の姿勢 その2

骨盤底筋トレーニングの方法

  1. まずは深呼吸して、心と体をリラックスさせます
  2. 足を肩幅に開き、背筋を伸ばします
  3. そのままの姿勢で、陰部全体をじわっと引き上げるつもりで、骨盤底筋を締めます(この時、他の部分に力を入れないようにします)
    • 男性は、肛門を締めるイメージ
    • 女性は、膣を締めるイメージ
  4. そのまま、5秒くらい力を入れたままにして、息を吐きながら力を抜きます
    • 慣れて来たら、12~14秒くらい、締めるようにします
    • 力を抜いたら、4~8秒くらい、そのまま体をリラックスさせます
  5. これを、1日10セットを目安に行います
    • 締めて緩めるのを1回とカウントすると、1回はおよそ1分、10セットで10分程度です

男性にも骨盤底筋トレーニングの効果があるのか

 男性の尿漏れは、前立腺肥大症などの病気が関係していることがありますので、骨盤底筋トレーニングを行えば必ずしも尿漏れが予防できるわけではありません。

 しかし、男性が骨盤底筋のトレーニングを続けることで、少なくとも「切迫性尿失禁」については、効果が期待できると考えられます。理由は、骨盤底筋の動きをコントロールできれば、尿意を感じてトイレに行き、排尿の準備が整うまでは、骨盤底筋を引き締めることで、尿漏れを予防できるためです。

 また、前立腺肥大症の手術(前立腺摘出術)を受けた後は、尿道括約筋(尿道からのおしっこを一時的に止める)や骨盤底筋がダメージを受けていることがあり、腹圧性失禁を起こすことがあります。この場合は、骨盤底筋トレーニングを行うことで、ダメージを受けた筋肉を再び鍛えることができ、尿漏れ予防効果が期待できます。

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