健康長寿ネット

健康長寿ネットは高齢期を前向きに生活するための情報を提供し、健康長寿社会の発展を目的に作られた公益財団法人長寿科学振興財団が運営しているウェブサイトです。

サルコペニアとは

公開日:2021年10月29日 10時00分
更新日:2023年7月14日 10時25分

 サルコペニアとは、加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のことを指します(図1)1、2)。2016年10月、国際疾病分類に「サルコペニア」が登録されたため、現在ではは疾患に位置付けられています。サルコペニアになると、歩く、立ち上がるなどの日常生活の基本的な動作に影響が生じ、介護が必要になったり、転倒しやすくなったります。また、各種疾患の重症化や生存期間にもサルコペニアが影響するとされ、現在は様々な診療科にまたがってサルコペニアが注目されています。

図1:サルコペニアの症状を表すイメージ図。
図1 サルコペニアのイメージ図
写真はCC BY-SA-NCのライセンスを許諾されています

 65歳以上の高齢者の15%程度がサルコペニアに該当すると考えられています。2019年時点で高齢者人口が3,589万人とされていることから3)、500万人程度の方がサルコペニアになっていることになります。なお、このサルコペニアの割合は、加齢に伴って増加すること(65歳よりも75歳、85歳で増える)、女性よりも男性で高くなることなどの特徴があります。

 筋肉(筋力)は40歳頃から少しずつ減少し、70歳を超えた頃から自覚症状を認めるようになります(図2)。勿論、若い頃と同じような状態にまで戻ることは難しいですが、筋肉は運動と栄養により改善を期待することができます。「最近、手足が細くなった」、「重たい荷物が持ちにくくなった」、「椅子から立ち上がりにくい」などの症状がある場合には、かかりつけの医師に相談して下さい。

図2:加齢に伴う筋量・筋力の40歳頃からの変化を表す図。
図2 加齢に伴う筋量・筋力の変化のイメージ図

文献

  1. サルコペニア診療ガイドライン作成委員会会編. サルコペニア診療ガイドライン2017年版. ライフサイエンス出版2017.
  2. サルコペニア診療実践ガイド作成委員会編. サルコペニア診療実践ガイド. ライフサイエンス出版2019.
  3. 内閣府 令和2年版高齢社会白書(全体版)(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

筆者

写真:筆者_山田実先生
山田 実(やまだ みのる)
筑波大学人間系 教授
最終学歴
2010年 神戸大学大学院医学系研究科博士後期課程修了(保健学博士)
主な職歴
2008年 京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻助手、2010年 同・助教、2014年 筑波大学人間系准教授、2019年 同・教授、現在に至る。
専門分野
老年学、リハビリテーション

フレイルとは何?サルコペニアとは何?

 フレイルとサルコペニアの概要、原因、評価方法、予防方法などについて国立長寿医療研究センター理事長 荒井 秀典 先生に解説いただきました。本動画は第32回日本老年学会総会「成熟社会への課題~高齢者は幸せになったか~」の市民公開講座にて公開された動画です。

長寿科学研究業績集「フレイル予防・対策:基礎研究から臨床、そして地域へ」について

 長寿科学研究業績集は学術的研究成果の中で、社会のニーズにあったテーマを医療等従事者向けに編集した研究マニュアルです。各関係機関に活用いただくことで研究成果の普及啓発を図かっております。

 令和2年度長寿科学研究業績集は「フレイル予防・対策:基礎研究から臨床、そして地域へ」(令和3年3月発刊)と題し、著名な先生方にご解説いただきました。

 公益財団法人長寿科学振興財団のホームページで長寿科学研究業績集をご覧いただけます。

業績集「フレイル予防・対策:基礎研究から臨床、そして地域へ」(財団ホームページ)(新しいウインドウが開きます)

画像:令和2年度長寿科学研究業績集の表紙画像

無料メールマガジン配信について

 健康長寿ネットの更新情報や、長寿科学研究成果ニュース、財団からのメッセージなど日々に役立つ健康情報をメールでお届けいたします。

 メールマガジンの配信をご希望の方は登録ページをご覧ください。

無料メールマガジン配信登録

寄附について

 当財団は、「長生きを喜べる長寿社会実現」のため、調査研究の実施・研究の助長奨励・研究成果の普及を行っており、これらの活動は皆様からのご寄附により成り立っています。

 温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。

ご寄附のお願い(新しいウインドウが開きます)

このページについてご意見をお聞かせください