健康長寿ネット

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介護保険の福祉用具:車いす

公開日:2019年2月13日 17時55分
更新日:2023年8月18日 11時52分

車いすとは1)2)

 車いすとは、下肢や体幹などに障害がある人、高齢で長い時間歩いて移動できない人のための、移動用の補助用具です。座位を保つために座る面である"いす"の部分と、移動するための"車輪"で構成されています。

 車いすを使用する目的は、行動範囲を広げて社会参加を促進する、自分で移動できるようになり自立心が養われて、介護の負担や介護者への気兼ねが軽減する、安全に移動できるようになる、離床する時間が持てる、よい姿勢がとれることで症状の悪化が防ぐことができるとしています。

車いすの種類:標準型

 車いすはその用途や使用者の介護レベルによって使い分けることができるよう様々な種類があります。

 1つ目は、標準型車いすまたは手動車いすと言われるもので「車いす」というとこのタイプを思い浮かべる人が非常に多いかと考えられます。人の力を利用して動かす車いすのことをいいます。

 この標準型車いすはさらに、自走用と介助用に分けられます。

自走用標準型車いす

 自走用標準型車いすは、利用者本人の力で操縦することのできる車いすのことをいい、一般的には後輪の外側についているハンドリムと呼ばれる輪を押して進むタイプのものです(図1)。坂を登るときなど「本人の力」だけでは難しい場合もあるため、介助をしてもらえるように、いすの背中の後ろに介助者用のグリップがついている場合が多いのですが、ブレーキは、本人が操作することを前提として後輪前方についています。また、障害のタイプに合わせて車いすを選択できるように片手の操作で進めるもの、足で地面を蹴って進むものなど、さまざまなタイプのものがあります。

図1:自走用標準型車いす 画像出典:(公財)テクノエイド協会

自走用標準型車いすの選び方のポイント

 自走用標準型車いすは、長時間その上に座るため、シートの形状、各部の寸法が自分に合っていて、無理のない安定した座位が保たれるものを選びましょう。自分に合った車いすは、自立を促進し、離床時間を延ばすことにつながります。また、車いすを選ぶ時は、身体の寸法だけでなく、その人の座位保持能力や拘縮の有無など様々な状況を配慮する必要があります。専門家に相談した上で選ぶとよいでしょう。

介助用標準型車いす

 介助用標準型車いすは、移動操作を介助者が行うことを前提としており、自走用に比べると後輪の径は小さめで、ハンドリムはついていません。ブレーキの位置も介助者が行う前提で後輪の後方についているものが多く、ハンドグリップに補助ブレーキがついている製品もあります。なお、自走式の車いすのグリップに補助ブレーキをつけて介助用として使う場合もある。

介助用標準型車いすの選び方のポイント

 介助用標準型車いすの選び方のポイントは、自走用同様、自分に適合しているかどうかは重要ではありますが、介助者の介助動作のしやすさも重要な選択要素といえるでしょう。例えば、アームレストが外せたり倒れたりできるもの、レッグサポートも外せたり外側に回転できるものは、移動介助の時に有効であると考えられます。また、短時間、短距離での使用なのか、長時間座り続けるのかによっても、車いすを選ぶ条件の1つになるでしょう。利用者の意思や身体への適合を重視し、介助者の操作のしやすさなども考慮し、専門家のアドバイスを受けた上で選択するとよいでしょう。

図2:介助用標準型車いす画像出典:(公財)テクノエイド協会

車いすの種類:普通型電動車いす

 2つ目は、普通型電動車いすです。車輪を電動モーターで駆動する車いす(図3)のことで、上肢に力のない人でも、ジョイスティックなどのコントロール部を操作できれば使用することができます。四肢に障害を持った人以外にも、自走用車いすでは長時間移動できない「高齢者の移動用具」としても利用されており、近年、さまざまな機能を備えたものが開発されています。バーハンドルを操作する製品(図4)は、電動三輪車・四輪車と呼ばれることが多く、専ら屋外を走行する目的の製品です。道路交通法上は電動車いすに乗った歩行者とみなされるため、運転免許は不要となります。しかし、最高速度は時速6Km以下に制限されています。

普通型電動車いすの選び方のポイント

 シートサイズは一定である場合が多いようです。また、「かじ」が大きく切れないため、回転半径(回転する際に必要なスペース)は、大きくなります。座席の下にバッテリーを積むため、相当の重量になります。80キロを越すものもあり、段差などを越えるために持ち上げるのは困難だと考えた方が良いでしょう。

 バッテリーの管理(残量の確認など)にも、十分留意する必要があります。また電動三輪・四輪車は、自分で乗り降りのできる身体状況のもとで利用されるケースが多いですが、旋回をした場合に車体が左右に揺れないため、体が車体ごと外側に振られることがあります。低速といっても、その運転には十分な注意が必要です。

図3:普通型電動車いす画像出典:(公財)テクノエイド協会
図4:電動三輪車と呼ばれるバー状のハンドルを操作する画像出典:(公財)テクノエイド協会

 各付属品の詳細については、「車いす付属品」をご確認ください。

車いすの利用状況

 在宅で療養する方の「移動の足」となる車いすですが、2017年現在の貸与件数は840万件を超えており、年々増加傾向にあります。一方で、一件あたりの貸与費用は減少傾向にあり、2007年頃と比較すると、貸与費用の平均は900円程度、安くなっています。しかし、2013年以降はほぼ横ばいとなっており、2017年の貸与費用の平均は、6401.4円でした(図5、表1)。

図5:車椅子の貸与件数および金額の推移を示すグラフ。
図5:車いす貸与件数および貸与金額の推移3)4)より作図
表1:車いす貸与件数および貸与金額の推移4)
貸与件数(千件) 1件あたり平均貸与金額(円)
2007年 5095.0 7328.7
2008年 5520.7 7168.3
2009年 5953.2 7046.4
2010年 6405.7 6895.6
2011年 6846.5 6741.8
2012年 7214.8 6638.2
2013年 7525.8 6539.7
2014年 7815.0 6458.7
2015年 8053.2 6409.8
2016年 8258.9 6387.1
2017年 8466.9 6401.4

参考文献

  1. 公益財団法人テクノエイド協会 介護保険給付福祉用具 情報貸与1.特殊寝台(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 一般財団法人保健福祉後方協会 国際福祉機器展 車いす編
  3. 厚生労働省 福祉用具貸与(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 厚生労働省 介護給付費等実態統計(旧:介護給付費等実態調査):結果の概要(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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