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疥癬

公開日:2017年7月 5日 11時19分
更新日:2019年2月 1日 19時00分

疥癬とは

 疥癬とは、ヒゼンダニが皮膚表面の垢(あか)である角層に感染しておこるものです。ヒゼンダニは成虫でも0.4ミリなので目にはみえません(写真)。ヒゼンダニは皮膚の角層の中で雄と雌が交尾して卵を産みつけていきます。ですから通常の虫刺されとは違い、皮膚の中でヒゼンダニが増殖していき、虫へのアレルギー反応をおこして症状がでます。

写真:ヒゼンダニの拡大写真
写真:ヒゼンダニ

疥癬の症状

 疥癬の症状は激しい痒(かゆ)みのある赤いぼつぼつであることが普通ですが、時に変わった症状をとることもあります。手や手首にできる疥癬トンネルと呼ばれる発疹があると診断ができます。

 皮膚の一部分をはさみなどで少しだけ採取して顕微鏡で観察するとヒゼンダニやその卵が確認することができ、確定診断ができます。しかし診断は皮膚科専門医以外では非常に難しいのが実情です。

疥癬の種類

 疥癬には普通の疥癬と、ダニが非常に多く手足がごわごわとするノルウェー疥癬(角化型疥癬)とにわけられます。

 ノルウェー疥癬は感染力が非常に強いのですがこれは免疫が落ちている患者さんに限ってみられます。いずれの疥癬もヒゼンダニの感染であることは変わりありません。

疥癬の感染対策

 疥癬は人から人へ感染するために高齢者の施設などで集団感染することがあります。病院や高齢者施設などの疥癬の感染対策は患者さんが普通の疥癬かそれともノルウェー疥癬かによって異なります。

 ノルウェー疥癬は感染力が非常に強いので一定期間での個室管理が必要ですが、普通の疥癬では必要ありません。

 疥癬には感染していても症状がでない潜伏期がありますので集団感染の際には一斉に治療が必要なこともあります。万一疥癬の患者さんがみえても、どのタイプの疥癬かを判断して適切な治療と予防対策がなされれば怖がることはありません。

疥癬の治療

 治療は基本的には十分な外用治療が必要です。患者さんの症状や状態に応じて治療薬が選択されます。外用薬は特に手の指の間や、またや、わきの下などにすみずみまで外用薬を塗ることが必要になります。

 最近ではイベルメクチンという内服薬が特定療養費という枠組みで疥癬に用いることができるようになりました。今後次第に一般的な治療になっていくと思われます。

 疥癬はもともと虫に対するアレルギーによって症状がおこるので、治療によってヒゼンダニが死んでしまっても痒みや発疹などの症状が残ることがしばしばあります。この場合湿疹に準じた治療が行われることが普通です。痒みに対する治療も通常いっしょに行われます。

 疥癬は診断が難しいために高齢者医療、介護の領域での対処が統一されていないのが現状です。疥癬の予防と治療には正しい知識と確実な診断技術が必要です。

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