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脳出血

公開日:2016年7月25日 14時00分
更新日:2019年2月 1日 21時51分

脳出血とは

 脳出血は、脳内の血管が破けて出血を起こしてしまっている状態をいいます。

 脳出血は脳梗塞、くも膜下出血と並び「脳卒中」の一つであり、脳出血により死亡した方は平成25年度の調査で3万2962人となっています。

 出血を起こした血管の位置や程度により、出現する症状や後遺症の程度も様々となります。

脳出血の原因

 脳出血の原因として最も多いのが「高血圧」です。高血圧は「生活習慣病」の一つとされており、過食や運動不足、多量の塩分・飲酒などによって引き起こされます。高血圧はある程度高い状態が維持されなければ自覚症状に乏しく、放置されがちなものですが、高血圧をそのままにしておくと、本来の血管の収縮性が衰えてしまい、硬くなってしまう「動脈硬化」が起こりやすくなります。

 脳出血は、脳内の血管が動脈硬化によって硬くなり、破けてしまうことで発症します。

脳出血の症状

 脳出血は、出血が起こった場所によって特徴的な症状がでますが、どの部位でも比較的よく見られる症状が「頭痛」と「嘔吐」です。この二つは「突然みられる」ということも脳出血の特徴となります。

 他にも、「意識障害」や「半身の麻痺」、「しびれ等の感覚障害」が起きることもありますが、これらは脳出血が起こると必ず起こるというわけではないため、あくまで目安となります。

脳出血の出血部位と特徴的な症状

 脳出血は、出血部位によって治療方針や予後が大きく異なります。そして、出血部位によって特徴的な目の動きが見られます。カッコ内は脳出血全体における発生率を示しています。

被殻出血(40%)

 半身麻痺やしびれ、目が同じ方向を向く「共同偏視」が見られます。

視床出血(30%)

 半身麻痺やしびれの他に、目が寄り目になって鼻先を見ようとしているような方向になる「内下方偏位」が見られます。

脳幹出血(10%)

 四肢麻痺や呼吸困難など重篤な症状とともに、目が全く動かなくなる「正中位固定」が見られます。脳幹出血は、他の出血部位に比べて予後が悪い出血となります。

小脳出血(10%)

 激しいめまいや、突然の歩行障害などが起こります。出血を起こしていない方向に目が向く「健側への共同偏視」が見られることがあります。

皮質下出血(10%)

 皮質下は他の部署に比べて範囲が広いため、よりさまざまな症状が見られ、特徴的な目の動きは見られません。

 皮質下出血共通の症状として、頭痛が出ることやてんかんのような症状があげられます。また、頭痛の位置も出血部位によって差があり、前頭葉は前頭部、頭頂部はこめかみ、側頭葉は耳の中や耳のすぐ前の軽い痛み、後頭葉は眼周囲の激しい痛みとなっています。

脳出血の診断

 脳出血は症状のみでは脳梗塞との判別が難しいため、まずはCTを撮影し、脳出血なのかどうか、そしてどの部位が出血しているのかを調べます。また、CT上脳出血が疑われても、くも膜下出血や脳血管の奇形、脳動脈瘤等脳出血ではない他の疾患である可能性もあるため、MRIや脳血管撮影などの検査が必要となる場合もあります。

脳出血の治療

 脳出血の場合、出血を起こした部位や出血量によっても治療方法は異なります。出血した血液が塊となって「血腫」となり、手術によって除去が可能と判断された場合には手術が適応となりますし、手術を行うことが難しい場合には投薬による治療が行われます。その中でも、手術適応以外のケースでは以下のような治療を行います。

1.出血の増大を防ぐための治療

 脳出血は高血圧が原因で引き起こされることが多く、脳出血発症時には収縮期血圧が200mmHgを超えるなど、異常に高くなっていることも珍しくはありません。

 血圧が異常に高い場合、急激に下げてしまうと出血を起こしていない場所に十分な血液がいきわたらなくなり、より重い症状が出る可能性もあるため、血圧を下げる治療を行う際は下げすぎに注意します。また、同時に止血剤を使って出血を止める治療も行われます。

2.脳の腫れを軽減する治療

 脳は出血を起こすと、一時的に腫れてむくみます。そのまま放置してしまうと、出血を起こしていない部分にも影響が出てしまうため、腫れやむくみを軽減するための薬を使います。

3.呼吸等の全身管理

 脳出血がきっかけとなり、呼吸状態や循環動態など、生命活動そのものにも影響が出ている場合は、脳出血についての治療と同時に、全身管理も並行して行い、救命処置を行います。

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