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ロスムンド・トムソン症候群

ロスムンド・トムソン症候群とは

 ロスムンド・トムソン症候群とは、常染色体の劣性遺伝により発症する疾患です。若い頃から白内障を合併するケースが多く、さらに悪性腫瘍(特に、骨肉腫や皮膚扁平上皮がん)を合併します。

 日本には現在、10人ほどの患者がいます。がんなどの合併症に罹患(りかん)しなければ、通常の人と変わらない寿命を全うできますが、根治的な治療法(完全に治る方法)はなく、対処療法(現れている症状を軽減する治療)が主体となります。

 また、日光の暴露により症状が悪化するため、日光を避けて過ごし、悪性腫瘍を早期に発見するための定期的な検診が必要です。

ロスムンド・トムソン症候群の症状は?

 ロスムンド・トムソン症候群の症状は、以下の様なものがあります。

乳児期からみられる特徴的な皮膚所見

  • 浮腫性紅斑からの毛細血管拡張
  • 皮膚の萎縮や色素沈着

 特に、日光に当たった箇所には、火傷後のような水疱ができたり、湿疹が見られることもあります。

幼児期にみられる所見

  • 若年性白内障
  • 低身長
  • 骨格異常(骨格形成不全)
  • 性腺機能低下   

などがみられます。

 合併症としては、高い確率で悪性腫瘍(がん)を発症します。特に骨肉腫、皮膚扁平上皮がん、白血病、胃がんなどの合併症が報告されています。

ロスムンド・トムソン症候群の原因は?

 ロスムンド・トムソン症候群は、常染色体の遺伝子異常によって発症します。その原因は、DNAの複製・修復に関与する"ヘリカーゼタンパクRECQL4"という遺伝子の異常です。

 この遺伝子は、ヒト1人に対して2つ存在します。両親から1つずつ受け継ぎ、子は2つの遺伝子を持って生まれてきます。両親がこの遺伝子を1つずつ持っていた場合、親は発症しません。しかし、両親から異常がある遺伝子を1つずつ、計2つ受け継いでしまった子は発症します。これが、劣性遺伝の仕組みです(図)。親が遺伝子の異常を1つずつ持っていた場合、子がロスムンド・トムソン症候群となる確率は、およそ25%です。

図:劣勢遺伝の仕組みを示す図。親が遺伝子の異常を1つずつ持っていた場合、両親から以上のある遺伝子を父親・母親から1つずつ、計2つ受け継いでしまった子はロスムンド・トムソン症候群を発症することを示す
図:劣性遺伝の仕組み

ロスムンド・トムソン症候群の診断は?

 ロスムンド・トムソン症候群の診断は、臨床症状をもとに行われ、症状の現れ方により重症度を判断します。

症状から診断する

 以下のようなロスムンド・トムソン症候群に特徴的な症状を複数認め、さらに、関連する遺伝子(RecQL4遺伝子)変異が遺伝子検査や皮膚生検で確認されると、確定診断がつきます。

  • 多形皮膚委縮症
  • 低身長
  • 骨格異常
  • 日光過敏症
  • 毛髪異常
  • 若年性の白内障
  • 悪性腫瘍(骨肉腫、皮膚扁平上皮がんなど)

 また、ロスムンド・トムソン症候群と似た様な症状がみられる疾患がいくつかあり、これらの疾患との鑑別診断も行われます。

重症度の診断

 重症度は、食事、栄養、呼吸の評価や、日本の脳卒中の評価スケールともなるmodified Rankin Scale(mRS)により、評価されます。

ロスムンド・トムソン症候群の治療は?

 現在では、根治的な治療法が確立していないため、対症療法が主な治療法となります(表)。

表:確認される症状と主な治療法 1)
確認される症状治療法
母指の欠損 母指の形成術を行う
白内障 眼科的治療(眼内レンズ挿入など)を行う
皮膚の委縮 レーザー治療
頭蓋骨の早期融合症 外科的処置(手術)

 低身長や骨格異常(骨格形成不全)が見られるため、定期的に発達のチェックを行い、必要に応じてリハビリテーションも行います。

 ロスムンド・トムソン症候群は、遺伝子異常の劣性遺伝であるため、次のお子さんを希望する場合は、遺伝カウンセリングが必要となります。

参考文献

  1. ロスムンド・トムソン症候群(指定難病186) 難病情報センター(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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