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冬の寒い時の運動の注意点

公開日:2016年7月25日 15時00分
更新日:2023年8月16日 13時50分

冬の運動の効果

 基礎代謝は一般的に夏に低く、冬に高いとされています1)。基礎代謝は、安静にしている状態でのエネルギー代謝量であり、24時間相当の総エネルギー消費量のうち基礎代謝量は約60%を占めます2)。全身のエネルギー消費量をみると、骨格筋に占めるエネルギー消費量が大きく、骨格筋量が多い人では基礎代謝が多いことがいえます。また、生活活動強度が高いほど1日のエネルギー消費量が大きくなるので、活発に活動する生活習慣を持つ人の方が、エネルギーが消費されやすくなります1)

 冬に骨格筋量を増やすための筋力トレーニングを行い、エネルギー消費量の高い身体活動や運動を行うことは、基礎代謝を高めてエネルギーを消費しやすい身体をつくることに効果的であることが伺えます。

 また、冬は寒さにより末梢の血管が収縮して血流が低下しやすくなります。血流が低下すると筋肉で消費されるエネルギーも少なくなるので、運動を行い、血行を促すことはエネルギーを消費しやすい身体をつくることに役立ちます。冬は外に出るのが寒くてついつい家の中にこもりがちとなり、運動不足に陥りやすいので、冬に運動を行うことは運動不足や肥満の解消にもよいでしょう。

 脂肪の摂取量が少ないほど、季節の影響を受けやすいといわれており1)、運動とともに脂肪を控えた食事を摂るように意識することで基礎代謝を高めやすくなるといえます。

冬の運動の注意点

 冬は寒冷の影響で体温の発散を防ぐために血管が収縮して血圧が上がりやすくなり、心臓への負担が大きくなります。暖かい室内から寒い屋外へと移動した際の血圧の急激な変動によって心臓の血管が過剰に収縮して心筋梗塞の原因となることもあります3)

 寒いと筋肉も収縮して硬くなりやすく、柔軟性が低下するため、筋肉や靭帯、腱などの損傷も起こしやすくなります。

 寒い冬には気温の変動が少ない屋内での運動を行うことや、外へ出る時は朝・夜の冷え込む時間は避け、できるだけ日中の日が射す暖かい時間を選択して十分に防寒し、身体への寒冷刺激の影響を少なくしましょう。運動前にはストレッチや体操などの準備運動をしっかりと行い、身体を温めて筋肉の柔軟性を確保することが大切です。

冬の運動の汗の対処

 冬場は空気が乾燥しやすく気づかない間に身体から水分が失われやすくなります。夏は汗をかくことで水分が体から失われていることに気づきやすいですが、冬は汗をかきにくいため、なかなか自分が水分不足になっていることに気づきにくく、運動する際も水分摂取を怠りがちです。冬場でも、身体の中の水分は失われていっているので、こまめな水分補給を忘れずに行いましょう。特に高齢者や高血圧などの持病がある方は脱水を起こしやすくなるので、意識して水分摂取を行なうことが大切です。

 寒い冬の屋外では、汗で湿った衣服を着たままにしていると、体熱が奪われて身体を冷やす要因となります。汗をこまめに拭き取ることや、吸汗速乾素材の衣服を着用するなどして身体を冷やさないように注意しましょう4)

冬の運動の服装

冬の寒い時の運動に適した脱ぎ着をして体温調節をしやすい薄手のものを何枚か重ねて着るような服装を表すイラスト。冬の寒いときの運動の注意点は冬は寒冷の影響で体温の発散を防ぐために血管が収縮して血圧が上がりやすくなり、心臓への負担が大きくなる。

 運動すると体が温まってだんだん暑くなってきますので、脱ぎ着をして体温調節をしやすいように薄手のものを何枚か重ねて着るような服装を選びましょう。インナーは吸汗速乾素材のものを選び、汗で身体が冷えないように工夫をしましょう。ウインドブレーカーのような風を通しにくいはおりものを着用し、帽子、手袋、靴下、タイツ、レッグウォーマー、ネックウォーマーなどの小物を活用して防寒対策を行いましょう。

 最近はインナーやスポーツウェアも多機能素材のものが増えてきていますので上手に選んで冬の運動時に活用するとよいでしょう。

参考文献

  1. 5 運動の基礎科学 運動と健康のかかわり 表5-3 基礎代謝に影響する要因 厚生労働省
  2. 身体活動とエネルギー代謝 厚生労働省e-ヘルスネット(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 冬場は心筋梗塞による心停止が増加 国立循環器病研究センター(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 安部孝 琉子友男編著 「これからの健康とスポーツの科学 第4版」 寒冷環境で運動パフォーマンスを落とさない方法 154p 講談社

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