健康長寿ネット

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高齢女性の疾患

公開日:2017年7月 4日 12時00分
更新日:2019年6月13日 10時21分

高齢女性の不調

 いくつになっても元気で暮らしたいと誰もが願いますが、現実には病気をかかえることになります。まず、がん、脳血管疾患、心疾患、糖尿病、高血圧症などの生活習慣病があります。さらに、加齢とともに、骨、感覚器(眼、耳、皮膚など)、呼吸器、消化器、腎・泌尿器、婦人生殖器などに故障がおきます。認知症も始まります。高齢女性の不調は、女性ホルモンの影響も大きいのですが、生活習慣を見直すことでも予防が可能です。バランスの取れた適量の食事や運動、ストレス解消を心がけましょう。

生活習慣病にみる男女差

 主な原因が食事、運動、飲酒、喫煙など生活習慣に関連していて、それらに遺伝的要素が加わって発症するとされるのが生活習慣病です。

 がんは寿命が延びるに従って今や死因のトップです。女性のがんでは、臓器別に多い順から大腸、肺、胃、乳房、肝臓となっています(厚労省2012年)。

 次に脳血管疾患ですが、栄養状態が改善されたためか脳出血が減る一方、脳梗塞が増えています。これは糖尿病や脂質異常症の増加に伴うものとも考えられます。脳梗塞は女性が男性より起こりにくいのですが、これは女性ホルモンであるエストロゲンが血管を動脈硬化から守っているためと考えられます。

 続いて心疾患ですが、特に心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患は、脳梗塞と同様にエストロゲンが大きく影響しているので、エストロゲンが減少する閉経後にこれらが多く発症します。なお、女性は男性に比べ喫煙による悪影響を受けやすく、タバコを吸う女性は、吸わない女性より心筋梗塞になるリスクが8倍高いのです。また同じ喫煙量でも男性の2倍も肺がんの発症率が高いのです。ですからこのような男女差にも注意して生活することが大切です。

認知症や睡眠障害における男女差

 認知症は、女性が男性の1.4倍多いと言われています。認知症には血管性とアルツハイマー性がありますが、後者は90歳以上の女性では男性の5.8倍も多いとされています。

 睡眠障害も女性に多くみられ、更年期の体調の変化に加えて、子供の独立や夫の定年など心理的な不安が引き金となって眠れなくなってしまうのです。

加齢に伴う疾患

骨や関節の病気

 閉経に伴って女性ホルモンであるエストロゲンが低下し、これによって骨がスカスカになる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が起こります。高齢女性の背中が丸くなるのはこのためですが、痛みなどの自覚症状がないので、骨折して初めてこの病気が発見されることが多いのです。骨粗鬆症が進行すると、姿勢が変わるために逆流性食道炎に、また消化管の蠕動運動が低下するため便秘となります。背中だけでなく他の関節や骨が変形してしまうと、行動が不自由になったり寝たきりになってしまいますので、軽視できません。

感覚器の病気

 眼の水晶体が加齢により白濁した状態を白内障といい、視力が極度に低下します。聴覚機能も衰えて老人性難聴になります。また、皮脂が欠乏して皮膚が乾燥するため、体がかゆくなります。

腎、泌尿器・婦人科系の病気

 排尿機能が低下するため尿失禁や膀胱炎が起きます。また膣内の乾燥や自浄作用の低下が原因で膣炎を起こすことも多くなります。

健康な生活を送る上での日常生活のポイント

 喫煙は万病の元ですから禁煙を励行することも大切ですし、加齢に伴うさまざまな疾患を少しでも軽くするために、食生活を中心に注意点をまとめてみました。

  1. 様々な食材を組み合わせ、バランスをよくする。
  2. 1日の摂取カロリーを身体の大きさに見合ったものに。
  3. 肉・油は控え、魚や野菜や豆類を多めに。
  4. 骨粗鬆症の予防のため、カルシウムを多く含む食品をとり、屋外での日光浴やウォーキングなど適度な運動を行う。
  5. 動脈硬化やがんを防ぐために抗酸化物質(ビタミンCとE、ポリフェノール、リコピン)を多く含んだ食物を積極的にとる。ただし、果物は糖分が多いので適量を。
  6. 脂質異常症や肥満の予防、便秘の解消のために食物繊維を多くとるようにする。
  7. 高血圧症の予防のため、塩分を控える。
  8. ストレス解消のために間食しがちですが、1日100kcalくらい(煎餅2枚、または小さいケーキ1個、またはバナナ1本)にする。

健康な生活を送るには、病気の早期発見・早期治療を

 例えば車ですと、定期的な車検を受け、修理を施してまた走り続けるわけです。ですから私達も健診により早期に病気を見つけ、治療と医師の管理の下、元気で毎日を送りましょう。

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