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パーキンソン病

公開日:2016年7月25日 11時00分
更新日:2019年2月 7日 18時36分

パーキンソン病とは

 パーキンソン病は50歳以上に発症しやすく、動作の緩慢さや歩行障害、安静時の震えなどを主症状とする神経変性疾患の一つです。日本におけるパーキンソン病の有病率は1000人に1~1.5人程度とされており、高齢者人口の増加に伴い、パーキンソン病になる方も増加しています。20~30歳代で「若年性パーキンソン病」を発症する場合もありますが、若年性パーキンソン病の一部は遺伝子の異常が原因であることが知られています。

パーキンソン病の症状

 パーキンソン病の4大症状は、安静時の手足の震え、筋肉の固縮、動作の緩慢さ、姿勢反射障害の4つです。

安静時の震え

 パーキンソン病の特徴である安静時の震えは、手足を動かさずにじっとしているときに出現します。典型的なパーキンソン病の手の震えでは、指先で丸薬を丸めるような動きが見られるのが特徴です。

 パーキンソン病では、この安静時震戦が初発症状となることが多いのですが、高齢でパーキンソン病を発症した場合、震えが目立たないこともあります。

筋肉の固縮

 パーキンソン病では手足の筋肉が持続的にこわばる「固縮」と呼ばれる症状が出現します。パーキンソン病の固縮の特徴は、「歯車様固縮」です。例えば、患者さんの手首を持ち、力を入れて肘を伸ばそうとすると、カクカクした抵抗感を感じます。

 固縮の症状が進むと、動作がぎこちなくなったり、歩行の際に手足が動かしにくくなったりします。

動作の緩慢さ

 パーキンソン病では動きが遅くなったり、動きが少なくなったりする症状が出現します。そのため、歩行の際のスピードが遅くなったり、寝返りが打てなくなったりします。また、顔の動きが少なくなることで「仮面様顔貌」と呼ばれる独特の無表情さが見られるようになります。

姿勢反射障害

 パーキンソン病が進行すると、体が傾いてもとっさに足を出して立ち直ることができなくなり、転倒しやすくなります。この姿勢反射障害によって、歩行する時は前かがみの姿勢で小刻みに歩くようになってきます。また、一旦歩き出すとどんどん速くなり、自分では止まれなくなってしまうこともあります。

パーキンソン病のその他の症状

 パーキンソン病が進行すると、立ち上がりの際のめまいや便秘などの自律神経症状や、うつ症状や幻視、意欲の低下といった精神症状を伴うことがあります。

 また、パーキンソン病治療薬を長期服用している方の中には、ウェアリング・オフ現象(薬の効果の持続時間が短くなる)やオン・オフ現象(薬の服用に関わらず、まるでスイッチを入れたり切ったりしたように症状が良くなったり悪くなったりする)が出現することもあります。

パーキンソン病の原因

 パーキンソン病は中脳の黒質という部分のドパミン神経細胞が減少することによっておこります。ドパミン神経細胞の減少によって神経伝達物質であるドパミンの量が低下するため、パーキンソン病特有の症状が出現すると考えられています。

パーキンソン病の診断

 パーキンソン病は、症状や経過から診断が行われることがほとんどです。

 パーキンソン病が疑われたら、パーキンソン病と類似した症状が出現する他の病気の可能性を除外するために、CTやMRIなどの脳の画像診断や血液検査を行います。

パーキンソン病の治療

 パーキンソン病の治療は薬の内服による治療が一般的です。薬の種類には、不足したドパミンを補う薬、ドパミンが脳内で分解されるのを防ぐ薬、ドパミンの分泌を促す薬、ドパミンに代わって作用する薬などがあり、これらを組み合わせて症状の軽減を図ります。

 薬の使用で効果が見られない場合には、手術療法が行なわれることもあります。手術療法では、脳内に電極を入れて、「視床下核」という部位を刺激する方法が多く行われています。

 リハビリテーションによって身体の機能を高めたり、病気とうまく付き合っていくための方法を身に付けたりすることも重要です。

 パーキンソン病における治療効果には個人差がありますが、根気よく治療を続けることで、発症後長期間にわたって社会生活を送ることも可能です。

パーキンソン病の予後・ケア

 パーキンソン病の予後は、新しい治療薬の開発などにより大きく改善されてきています。現在ではパーキンソン病の方の平均寿命は一般の平均寿命とさほど変わらない程度であるとも言われています。

 しかし、病状が進行するにつれて、転倒による骨折や誤嚥性の肺炎で寝たきりになるリスクもあります。

 こうしたリスクを予防するため、日常生活のなかに運動を取り入れて、身体機能の維持に努めることはとても大切です。身の回りのこともできるだけ自分で行うように心がけると良いでしょう。

 安全に日常生活を送るためには、転倒しないように住環境の調整も必要になる場合があります。段差の解消や手すりの設置など、一人一人の状況に合わせた環境作りが大切です。

 パーキンソン病の方のケアを行う場合は、動作が遅いことに対して急かしたりせずに、ゆとりを持った態度や声掛けを行うようにすると良いでしょう。

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