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脊髄小脳変性症の治療

脊髄小脳変性症の治療とは

 平成28年現在、脊髄小脳変性症について研究がすすめられていますが、いまだ有効とされる根治的治療方法は確立されていません。

 しかし、まったく治療法がないというわけではなく、それぞれの症状や進行具合に合わせた「対症療法」と呼ばれる治療法が行われています。

 脊髄小脳変性症と診断された方に対して行われる治療は、以下の通りです。

薬物療法

 脊髄小脳変性症そのものに効く薬はまだありませんが、脊髄小脳失調症によって起こる症状に対して、症状を落ち着かせたり、緩和する薬を使うことは可能です。

 脊髄小脳変性症の運動障害に対して有効とされているのが「セレジスト」という経口薬です。

 セレジストは内服を継続することによって、運動機能の改善が見込めるほか、症状の悪化する患者の割合が減少することがわかっています。

 また、パーキンソニズムが出現した場合、抗パーキンソン病薬を使うことで、初期の段階では一定の効果があるといわれています。

 排尿障害や起立性低血圧などの自律神経障害や、小脳失調によるめまいや吐き気といった症状に対しても、それぞれ個々の症状に有効な薬を飲むことで、一時的ではありますが症状を押さえることができます。

リハビリテーション

 リハビリテーションでの目的は、整形外科などでのリハビリテーションでよくみられる運動機能の「回復」ではなく、現在残っている運動機能の「維持」と「残存機能の活用」です。

 小脳が障害されることで起こるバランス感覚の欠如や歩行時のふらつきなど、患者さん一人ひとりの小脳失調の症状に沿ったリハビリを行うことで、その効果は終了後もしばらくは持続するといわれています。

 特に症状が「小脳失調」のみの場合、集中的なリハビリを行うことは症状の進行を妨げる一定の効果があるというデータもあります。

 症状が進行した場合にも、残っている運動機能を活用し、維持するためにリハビリテーションは有効なため、脊髄小脳変性症の方に対して、リハビリテーションは積極的に行われています。

呼吸管理

 脊髄小脳失調症によって引き起こされる症状のうち、特に怖いのが比較的初期でも起こるといわれている呼吸障害です。

 睡眠時無呼吸症候群のように、突然一定期間呼吸がとまってしまうことで体内の酸素が足りなくなり、最悪の場合突然死にも至る可能性があります。

 突然死を防ぐため、外から空気を送り込み酸素を体内に入れる非侵襲的陽圧管理療法(NPPV)を行うケースもありますが、呼吸障害が重度な場合には、気管を切開した上での人工呼吸器療法がおこなわれることもあります。

栄養管理

 症状の進行により、物を飲み込む嚥下機能が低下してしまった場合、無理して嚥下を行うことで誤嚥し、肺炎などを発症するリスクが高くなります。

 リハビリテーションなどによって嚥下機能の維持を図りますが、症状が進行して嚥下が難しいと判断されたり、一時的に口から食べることを中止せざるを得ない場合などは、胃から直接食べ物を送ることができる「胃瘻」を造設したり、鼻からチューブを挿入して胃に直接栄養を入れる「経管栄養管理」を行います。

脊髄小脳変性症の予後

 日本国内において、脊髄小脳変性症の一つである多系統萎縮症の患者230人を対象にした研究結果によると、発症後平均約5年で車いす使用となり、約8年で寝たきりの状態、罹病機関は9年程度と報告されています。

 それ以外の脊髄小脳変性症では、症状の進行は緩慢であり、5年、10年、20年先と長いスパンで病気と向き合っていく必要があります。

 ゆっくりとではありますが、最終的には寝たきりとなり介護が必要な状態となるため、病院や役所などと連携し、介護に備える必要があります。

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