健康長寿ネット

健康長寿ネットは高齢期を前向きに生活するための情報を提供し、健康長寿社会の発展を目的に作られた公益財団法人長寿科学振興財団が運営しているウェブサイトです。

ヘルプマークについて

公開日:2019年8月 9日 09時15分
更新日:2019年8月 1日 14時16分

ヘルプマークとは1)

 ヘルプマークは、義足や人工関節を使用している方、内蔵疾患や難病の方、または妊娠初期の妊婦の方など、外見からはわからなくても援助や配慮を必要としている方々のためのマークです。

 このヘルプマークを身につけていることで、配慮を必要としていることを周囲の方に知らせることができ、援助を得やすくなることを目的としています。

 配布の基準として身体機能等に特に決められたものはなく、必要とする都民の方がスムーズに活用することができるよう、書類等の提示も必要なく配布がなされています。

ヘルプマークの制定の経緯と取組状況

 ヘルプマークが制定された経緯は、平成23年(2011年)3月11日の東日本大震災において、障害者や患者さんが必要とする支援の方法をうまく伝えることができなかったという現場の状況が発端となっています。そこで、平成23年(2011年)に自民党の山加朱美都議会議員がヘルプマークを提案したことにより、平成24年(2012年)に東京都議会でヘルプマークが採択されました。山加議員自身も、過去に遭った不慮の事故により人工関節を使用されています。

 平成24年(2012年)10月より都営地下鉄大江戸線でヘルプマークの配布や優先席へのステッカー標示が始まり、2013年7月よりすべての都営地下鉄、都営バス、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーへと拡大されました。さらに平成28年(2016年)12月より都立病院、公益財団法人東京都保健医療公社の病院等へ実施されています。平成30年(2018年)3月末時点で、約219,000個のヘルプマークが配布されています。

 東京都以外でのヘルプマークの取組について、令和元年7月1日時点で導入されている道府県は以下のとおりです。

 京都府・和歌山県・徳島県・青森県・奈良県・神奈川県・滋賀県・大阪府・岐阜県・栃木県・広島県・北海道・秋田県・愛媛県・島根県・兵庫県・鳥取県・静岡県・山梨県・三重県・香川県・長崎県・宮崎県・佐賀県・富山県・長野県・高知県・愛知県・埼玉県・岩手県・山形県・沖縄県・福島県・宮城県・山口県・石川県・茨城県・新潟県 全1道2府35県。

ヘルプマークのデザインについて2)

 ヘルプマークの特徴である、赤色に白色の十字とハートマークのデザインは、日本グラフィックデザイナー協会が手掛けたものです(図1)。赤色と十字マークは「助けを必要としている」、ハートマークは「助ける気持ち」を表しています。このデザイン自体も高い評価を受けており、中学校の美術教科書でユニバーサルデザインの一例として掲載されています。

図1:ヘルプマークの図柄
図1:ヘルプマーク

ヘルプマークどこでもらえる?1)

 ヘルプマークは、都営交通においては、押上駅、目黒駅、白金高輪駅、新宿線新宿駅を除いた都営地下鉄各駅駅務室、ゆりかもめ駅務室(新橋駅、豊洲駅)、多摩モノレール駅務室(多摩センター駅、中央大学・明星大学駅、高幡不動駅、立川南駅、立川北駅、玉川上水駅、上北台駅)で配布されています。それ以外では東京都心身障害者福祉センター(多摩支所を含む)都立病院、公益財団法人東京都保健医療公社の病院などでも受け取ることができます。

 また、マタニティマークと同様に、家族の方などが代わりに申請し受け取ることも可能です。

 郵送による配布についてですが、一人で何枚も取得することを避けるため原則的には郵送はしないルールになっています。

ヘルプマークを身につけた方がいたら

 外見では分からなくても、つり革につかまり姿勢を保つことが困難な方や、疲れやすい方もいます。電車やバスの中で、ヘルプマークを身につけた方がいた場合、席を譲りましょう。

 駅や商業施設等においては、交通事故や急なトラブル等の対応することが困難な方には、声をかけて手助けする配慮が必要です。

 災害時においては、肢体が不自由な方で避難が困難な方や、視覚障害者や聴覚障害者がある方で状況を把握することが困難な場合でも、安全に避難できるよう支援しましょう。

ヘルプカードについて3)

 ヘルプマークの活用例として、ヘルプカードがあります。これは、障害者支援を目的としてもので、都内で統一的に活用できるようヘルプマークのデザインを用いてカードの標準様式が策定されました(図2)。

図2:ヘルプカードの様式を示すイラスト
図2:ヘルプカード

 ヘルプカードには緊急連絡先や、必要としている支援内容が記載されており、障害者の方が所持することで災害時や日常生活において困った際、周囲に支援を求めたり、自分の障害を理解してもらうことを目的としています。視覚障害者や知的障害者、内部障害者の方など、外から見て障害があるように見えない方にとって周囲に気づいてもらうのは困難です。特に、このような方にとって周囲に支援を求める際に役立っています。東京都に続き福岡県もヘルプカードを導入し啓発・普及に努めています。

ヘルプマーク利用のエピソード4)

 周囲に配慮を求めるのは気が引ける、などの思いからヘルプマークを身に付けることを躊躇される方も多いようです。しかし、実際にヘルプマークを身に付けていることで、知らない人から優しくされることが増えたり、声をかけてもらえるようになったとの声があります。また、ヘルプマークをカバンに付けて電車に乗った際に、小学生の子が席を譲ってくれた、とのエピソードもあります。

 ヘルプマークがどのような意味を持つものなのか、ひとりでも多くの人たちが理解し、そして行動を起こすことによって、みんなで助け合う社会が実現できるのではないでしょうか。

参考文献

  1. 東京都福祉保健局 ヘルプマーク(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 東京都福祉保健局 助け合いのしるしヘルプマーク(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 東京都福祉保健局 ヘルプカード(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 東京都福祉保健局 ヘルプマーク・ヘルプカードエピソード集(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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