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高齢者の入浴事故 ヒートショック対策と予防

公開日:2018年5月 8日 10時00分
更新日:2019年2月 1日 17時20分

高齢者の浴室内の入浴事故ついて

 平成28年1月20日に消費者庁から冬場の高齢者の入浴事故への注意を促すニュースが発表されました。

 平成26年の家庭の浴槽での溺死者数は4,866人で10年前と比べて約7割増加しており、そのうちの9割は65歳以上の高齢者で、高齢者は特に注意が必要である1)という注意喚起です。

 厚生労働省の人口動態統計によると、家庭の浴槽での溺死者数※1は、平成28年は5,138人であり、平成26年と比べてさらに増加しています。平成18年の3,370人と比べると、平成18年から平成28年までの10年間で約1.5倍に増加していることがわかります。(図1、表1)

図1:平成16年から平成28年の家庭の浴槽での溺死者数を示す折れ線グラフ。平成18年から平成28年までの10年間で約1.5倍に増加していることを示す。
図1:家庭の浴槽での溺死者数(平成16年~平成28年)2)
表1:家庭の浴槽での溺死者数(平成16年~平成28年)2)
溺死者数
平成16年 2,870
平成17年 3,337
平成18年 3,370
平成19年 3,308
平成20年 3,778
平成21年 4,052
平成22年 4,009
平成23年 4,581
平成24年 5,097
平成25年 4,796
平成26年 4,866
平成27年 4,804
平成28年 5,138
※1 溺死者数:
厚生労働省人口動態統計(確定数)の概況より(死亡)第18表 家庭内における主な不慮の事故の種類別にみた年齢別死亡数・構成割合 死因基本分類コード W65とW66の総数を合計したもの。

 平成28年の家庭の浴槽での溺死者数を年齢別にみてみると65歳以上の高齢者数は4,756人で、家庭の浴槽での溺死者数全体の約9割を占めていることがわかります。(図2、表2)

図2:平成28年の年齢別の家庭の浴槽での溺死者数を示す棒グラフ。65歳以上の高齢者は家庭の浴槽での溺死者数全体の約9割を占めていることがわかる。
図2:家庭での浴槽での年齢別の溺死者数2)
表2:家庭での浴槽での年齢別の溺死者数2)
年齢溺死者数
0歳 3
1~4歳 15
5~9歳 3
10~14歳 9
15~29歳 40
30~44歳 32
45~64歳 280
65~79歳 1,950
80歳以上 2,806

 また、溺死以外の死因と判断された方も含めた入浴中の事故死者数は年間で約19,000人1)とも言われています。

 東京都23区における入浴中の事故死者数(平成16年~平成25年の月当たりの平均数)を月別に見てみると12月~2月に年間の約半数を占めています(図3、表3)。冬場に入浴中の事故が起こりやすい要因として、気温の低下が考えられます。

図3:東京都23区における入浴中の事故死者数(平成16年~平成25年の月当たりの平均数)を月別に見てみると12月~2月に年間の約半数を占めていることをしめす棒グラフ
図3:東京都23区における入浴中の事故死者数(平成16年~平成25年の月当たりの平均数)1)
表3:東京都23区における入浴中の事故死者数(平成16年~平成25年の月当たりの平均数)1)
入浴中の事故死者数
1月 206
2月 164
3月 144
4月 102
5月 69
6月 51
7月 36
8月 30
9月 33
10月 68
11月 109
12月 178

冬場に起こりやすい入浴事故の対策と予防

 12月から2月の冬場に起こりやすい浴槽での事故としてヒートショックがあります。ヒートショックとは急激な温度の変化によって血圧が大きく変動するなど、身体に大きな負荷がかかることで起こり、失神、不整脈などの症状が見られます。重症の場合は死に至ることもあります。持病がない健康な方にもヒートショックは起こります。

図:入浴中にヒートショックが起きる機序を説明するイラスト。ヒートショックは入浴前から入浴中の急激な室温の変化によって血圧が大きく変動するなど、身体に大きな負荷がかかることで起こり、失神、不整脈などの症状が見られる。

 気温が低くなる冬場の脱衣場や浴室は特に室温が低くなりがちです。衣服を脱いで急に浴槽にはった熱いお湯につかると、急激な温度差によって大きく血圧が変動し、ヒートショックが起こりやすい条件となります。

 厚生労働省によると「入浴中急死は、体温上昇および低血圧による意識障害のために出浴が困難となり、さらに体温が上昇して致死的になる病態(熱中症)と考えられた」3)とあり、浴室の温度を上げること、熱いお湯につかるのをさけること、長湯を避けること、入浴中は声掛けをして異常に早く気づくことがあげられています。入浴時の事故死を防ぐためにヒートショックの対策と予防についてみていきましょう。

脱衣場と浴室を入浴前に温める

 入浴の前にあらかじめ脱衣場や浴室を温める、浴室に入る前にシャワーのお湯を出しておいて蒸気で浴室を温めるなどして温度の変化を少なくしましょう。

湯温は41度以下、浴槽につかる時間は10分以内に

写真:湯温度を41度に設定している写真。ヒートショック対策となることを示す。

 熱いお湯につかること、長時間お湯につかることで体温が上昇しやすくなります。たとえ半身浴であっても長時間お湯につかっていればのぼせることもあります。のぼせて意識がもうろうとして浴槽から出られず、さらに体温が上昇して熱中症になることもあるため、湯温は41度以下を目安に、お湯につかる時間は10分以内を目安としましょう。

浴槽からはゆっくり立ち上がる

 お湯につかっている間は身体に水圧がかかっているので、急に浴槽から立ち上がることで急激な血圧変動を起こすことがあります。勢いよく立ち上がって転倒する危険性もあるので、手すりや浴槽の縁などをもってゆっくりと立ち上がるようにしましょう。

一人で入るときは家人に声をかけてもらう

 「入浴中のヒト体温は1時間以上浴槽内にいた場合に浴槽水温と等しくなる(生存困難)」3)ことから、もし入浴中に何か起こった場合には早期の対応が明暗を分けると言えます。

 日頃から、一人で入浴する際には家人にひと声かけてから入り、いつもより入浴時間が長ければ、声かけや浴室の見回りをお願いしておきましょう。

飲酒後、食後の入浴は避ける

 飲酒後の入浴は事故死につながるリスクがあります。食後は食後低血圧での失神のリスクがあるので、飲酒後、食後の入浴は避けるようにしましょう。体調がすぐれないときや、睡眠薬などを飲んだ後の入浴も思わぬ事故が起こる可能性がありますので避けましょう。

参考文献

  1. 冬場に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください! 平成28年1月20日 消費者庁(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 人口動態調査 人口動態統計(確定数)の概況 第18表 家庭内における主な不慮の事故の種類別にみた年齢別死亡数・構成割合 厚生労働省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. がん対策・健康増進課 入浴関連事故の実態把握及び予防策に関する研究について 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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