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高齢者の住宅内の事故

公開日:2018年5月 8日 12時00分
更新日:2019年2月 1日 17時20分

高齢者の住宅内の事故について

 独立行政法人国民生活センターによると、医療機関ネットワークへ報告された平成22年12月から平成24年12月末までの20歳以上の事故件数は1,631件、そのうち65歳以上の事故は669件1)で全体の約4割を占めています。

 事故の発生場所をみると、65歳以上の事故のうち、住宅内で起こった事故は516件で65歳以上の事故全体の77.1%を占めます。20歳以上65歳未満の住宅内事故は687件、71.4%1)で住宅内事故の発生率は65歳以上の高齢者の方がやや多くなっています(図1、表1)。

図1:65歳以上の事故のうち、住宅内で起こった事故は516件で65歳以上の事故全体の77.1%を占めており、高齢者の住宅内事故の発生率が多いことを示す円グラフ。
図1:65歳未満と65歳以上の事故発生場所1)
表1-1:65歳未満の事故発生場所(n=962)1)
場所割合件数
住宅 71.4% 687
一般道路 9.0% 87
民間施設 8.0% 77
海・山・川等自然環境 4.7% 45
公共施設 2.6% 25
公園・遊園地 0.7% 7
車内 0.1% 1
その他 2.8% 27
不明 0.6% 6
表1-2:65歳以上の事故発生場所(n=669)1)
場所割合件数
住宅 77.1% 516
民間施設 8.2% 55
一般道路 6.9% 46
海・山・川等自然環境 3.3% 22
公共施設 1.5% 10
公園・遊園地 0.3% 2
その他 2.4% 16
不明 0.3% 2

住宅内事故の発生場所

 住宅内の事故のうち、65歳以上の事故が多く発生した場所は居室が45.0%で最も多く、次いで階段が18.7%、台所・食堂が17.0%、玄関が5.2%、洗面所が2.9%、風呂場が2.5%、廊下が2.2%、トイレが1.5%2)となっています(図2、表2)。

図2:住宅内の事故のうち、65歳以上の事故が多く発生した場所は居室が45.0%で最も多いことをしめす棒グラフ。
図2:住宅内事故発生場所毎の年代別の割合2)
表2:住宅内事故発生場所毎の年代別の割合2)
場所20歳以上65歳未満65歳以上
居室 35.1% 45.0%
台所・食堂 38.1% 17.0%
洗面所 2.7% 2.9%
風呂場 4.3% 2.5%
玄関 2.0% 5.2%
階段 12.9% 18.7%
トイレ 0.2% 1.5%
廊下 0.2% 2.2%
その他 1.4% 4.4%

高齢者の住宅内事故の原因

 独立行政法人国民生活センターの高齢者の家庭内事故の報告では、高齢者の住宅内事故516件中、原因として最も多かったのは転落157件で、住宅内事故全体の30.4%を占める1)とされています。次いで転倒の114件で住宅内事故全体の22.1%1)となっています。

 転落、転倒が起こった場所については、階段が一番多く、転落事故内の43.3%、転倒事故内の15.8%1)を占めています。転落・転倒の住宅内事故の例としては以下のような事例があります。

転落・転倒の住宅内事故の例

  • 階段を踏み外して転落、階段でバランスを崩して転倒
  • 起床時や夜間にトイレへ行く際、ベッドから転落・転倒
  • 靴下やじゅうたん・バスマット・毛布などに足をとられて転倒
  • 風呂場で滑って転倒
  • 庭の木の剪定作業や雪下ろしのために脚立・はしご、屋根の上などの高いところから転落
  • 椅子に上って高いところにあるものをとろうとした際や電球を取り換えている際に転落
  • 玄関の段差でつまずいて転倒
図:高齢男性が階段で躓いているイラスト。住宅内事故の例として階段を踏み外して転落、階段でバランスを崩して転倒することを表している

 転落、転倒事故の怪我の内容としては、擦り傷や打撲が最も多く、骨折も次いで多く見られます。骨折の場合は重症となりやすく、屋根やはしご、脚立などの高いところからの転落では死亡事故もみられます。

 転落・転倒のほかの住宅内事故の原因としては、熱傷、誤飲・誤嚥もよくみられています。熱傷は69件1)で、仏壇のろうそくやガスコンロの火が衣服に燃え移る着衣着火が多く、死亡例もあります。風呂の浴槽にはった熱湯につかって重症の熱傷を負ったケースもあります。

 誤飲・誤嚥は48件1)で、団子やおにぎり、サンドイッチなどの食べ物をのどに詰まらせて死亡するケースや、漂白剤や除草剤などの薬剤や薬のシートを誤って誤飲するケースがみられます。

高齢者の住宅内事故の危害の程度

 65歳以上の事故では、65歳未満の事故と比べると、事故時の重症度が高くなり、中等症・重症・重篤・死亡となるケースが多くなります1)(図3、表3)。

図3:65歳以上の事故では、65歳未満の事故と比べると、事故時の重症度が高くなり、中等症・重症・重篤・死亡となるケースが多くなることを示す分布図。
図3:「住宅」での事故の危害の程度1)
表3-1:65歳以上の「住宅」での危害の程度1)(n=516)
危険の程度割合件数
軽度 58.7% 303
中等度 34.1% 176
重症 6.2% 32
重篤 0.2% 1
死亡 0.8% 4
表3-2:65歳未満の「住宅」での危害の程度1)(n=687)
危険の程度割合件数
軽度 78.3% 538
中等度 20.1% 138
重症 1.5% 10
重篤 0.1% 1
死亡 0.0% 0

 65歳以上の高齢者で事故の重症度が高くなる要因としては次のことが考えられます。高齢者は筋力やバランス能力、身体の柔軟性が低下しているため、踏ん張ることや壁や手すりで身体を支えること、倒れかけた姿勢を立て直すこと、寄りかかりながら静かに座り込むこと、上手くしゃがみ込んで転倒の際の衝撃のダメージを少なくすることなどが難しくなります。

 転倒した際にワンクッション置くことなく、ダイレクトに床や家具に体をぶつけやすくなるため、身体に受ける衝撃も大きく、重症となる事故につながりやすいのです。

 また、高齢者では筋肉が痩せて萎縮しており、骨ももろくなっています。転倒した際には骨の周囲を守る筋肉が少ないので、大きな負荷が骨に加わることとなり、骨折しやすくなります。

 横に転んだ際には太ももの骨で少し出っ張っている大腿骨頚部を骨折しやすくなり、後ろに尻もちを着くと背骨からお尻にかけての骨を圧迫骨折するケースが多くなります。前に転んだ際に手をつくと、手首の親指側の骨である橈骨遠位端(とうこつえんいたん)を骨折しやすくなります。

高齢者の住宅内事故を防ぐために

 高齢者は歩いているときに前から人が歩いて来たら、「歩きながら道の端による」ことや、「歩きながら話す」などの何かしているときに、他のことをするという2つの動作を同時に行うことが難しくなります。

 何か動作をしているときに他のことに注意が向きにくくなり、作業中や歩行中に不注意で足を滑らして転倒するケースや、何か動作に集中しているときに服に火が燃え移るなどのケースがみられます。

 加齢に伴ってバランス能力が低下しているという自覚が乏しいと、「これぐらいならできるだろう」と自分の対処できる能力以上のことを行い、事故につながってしまいます。無理な体勢をとることは避け、一つずつの動作を安全に行うことを考えましょう。

 住宅内で転倒して骨折し、入院となるケースでは日常生活動作レベルが低下しやすくなります。再び歩行が可能となっても骨折後の痛みや関節の動きにくさが残り、動く機会が少なくなって身体機能がさらに低下し、転倒リスクが高くなります。

 転倒予防のために日常生活を活発に過ごすこととともに、以下の点にも注意してみましょう。

転倒予防のための注意点

  • 階段や段差には手すりを設置する。足元にはライトを設置して明るく見やすくする。
  • 階段や動線上(家の中で歩く通路)に障害物は置かない
  • 屋根の上や木の剪定などの高いところの作業は任せられる人に頼み、一人では行わない
  • 薬は飲食物とは他のところに保管する
  • 食事はゆっくりよく噛んで食べる
  • 火のそばでの作業時は袖や裾の広がった服や燃えやすい化繊の衣類は避ける
  • 風呂の湯温調節に注意する。手の先で湯温を確かめてから身体全体に湯をかける

参考文献

  1. 医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故-高齢者編- 独立行政法人国民生活センター(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 平成29年版高齢社会白書(全体版) 内閣府(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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