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変形性関節症の治療

公開日:2016年7月25日 11時00分
更新日:2019年6月11日 13時45分

 すり減った軟骨や、関節の変形を元に戻すことはできません。そのため、治療の主目的は、すでに生じた痛みや変形に対する対症療法、および関節機能を維持するための予防療法となります。

 具体的な治療手法は、手術によらない保存療法と、手術療法にわかれます。いずれの場合にも、関節症状を悪化させないため、労働量の調節・運動・体重コントロールなど、日常生活にも気をつけることが大切です。

 以下、保存療法と手術療法にわけて、詳しく記載します。

変形性関節症の保存療法

運動療法

 関節の機能を維持するために、関節周囲の柔軟性と、筋力を維持することが大切です。そのため、関節周囲のストレッチ運動、関節周囲の筋力トレーニングを行います。

 とくに患者さんが多い変形性膝関節症では、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋:だいたいしとうきん)など、膝関節周囲の筋肉をトレーニングすることが重要です。筋肉を鍛えることにより、関節への負担や衝撃が和らぎ、症状の軽減や悪化予防につながります。

 変形性股関節症の場合は、臀部の筋肉を維持するよう意識すると良いでしょう。

 運動は、関節に負担をかけないように行うことが大切です。変形性膝関節症であれば、足を空中に持ち上げて伸ばす動作、プール内で浮力を利用しながらの歩行、自転車こぎ、などが良いでしょう。スクワット運動など、体重をかけて曲げ伸ばしする運動は逆効果なので気を付けましょう。

装具療法

 変形により不安定になった関節を補強する目的や、変形により関節への負担がさらに悪化するのを抑制する目的で、装具を使用することもあります。とくに膝関節の場合は、O脚変形を抑えるために、靴の中にいれて使用する足底装具がよく使用されます。

薬物療法

 内服薬や外用薬(湿布・塗り薬など)は、炎症をおさえ、痛みを取るのに有効です。

関節注射

 膝関節の場合は、関節内にヒアルロン酸注射を行う場合もあります。ヒアルロン酸注射には、関節内の滑りを良くし、軟骨の変性を抑制する効果や、疼痛を抑える効果があるとされています。

物理療法

 ホットパックや、電気治療、超音波治療などを用いた温熱療法も、痛みを取る効果があります

変形性関節症の手術療法

 手術では、変形した関節の周囲の骨にアプローチし関節の角度を変える「骨切り術」や、変形した関節を切除し金属製の関節に置き換える「人工関節置換術(じんこうかんせつちかんじゅつ)」が行われます。どのような手術を行うかは、患者さんの年齢や、活動量、関節の状態を総合的に見て判断されます。

 いずれの場合も、手術の効果を十分に出すためには、手術後数週間〜数ヶ月間、しっかりとリハビリを行うことが大切です。

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