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慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療

公開日:2016年7月25日 11時00分
更新日:2019年6月12日 10時29分

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療は、まずは禁煙

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因の多くがタバコの煙とされるように、治療の第一は禁煙です。自分が喫煙している場合はもちろん、自分が喫煙していなくても周囲からの受動喫煙がある場合は家族への禁煙指導や、職場などの場合は、タバコの煙から回避する環境を作ることが必要です。どうしても自分では禁煙できない人やニコチン依存症の人は、禁煙外来での治療が有効です。禁煙療法では、禁煙日を決める、喫煙ではない他の方法で気分転換を図る、グループミーティングを行うなどの行動療法とニコチンパッチの使用などの薬物療法が行なわれます。

薬物療法

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)そのものを薬物療法で治すことはできませんが、症状を薬によって和らげることができます。

気管支拡張薬

 狭くなっている気管支を広げて呼吸の出し入れがスムーズに行えるようにし、息苦しさを和らげる薬です。抗コリン薬、β2刺激薬、テオフィリン製剤などで吸入薬、内服薬、テープ剤があります。

ステロイド薬

 肺や全身の炎症を鎮める作用を持ち、内服薬、吸入薬があります。

去痰薬

 咳を鎮める作用や、痰を切れやすくする作用を持ち、内服薬があります。

抗菌薬

 感染症時の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪に対して、感染の原因となる細菌を殺す作用を持ち、内服薬、点滴薬があります。

在宅酸素療法(HOT: Home Oxygen Therapy

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)が進行すると、肺での酸素の取り込みや二酸化炭素の排出が上手く行かなくなるため、呼吸が行いにくくなり、慢性的な息苦しさを感じるようになります(呼吸不全)。呼吸不全の状態が長期間続くと、著しく日常生活が制限されます。また、血液中の酸素濃度が低下して低酸素血症となると、心不全などの他の臓器の疾患など、合併症を引き起こすリスクも高くなります。

 在宅酸素療法は、酸素供給装置から送られる酸素を、鼻に装着したカニューラと呼ばれるチューブを通して、継続的に、体に取り込むことのできる治療法です。自宅に置く大きなタンクや持ち運びが可能な小さなタンクもあるので、トイレや入浴など自宅内での移動や外出時にも酸素を持ち運ぶことができ、日常生活の幅や活動範囲を広げることができます。在宅酸素療法の実施には、医師の指示・処方が必要です。

呼吸リハビリテーション

 呼吸リハビリテーションは、医師、看護師、理学療法士、作業療法士などの医療関係職がチームとなって行います。各専門分野の視点から慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者へのアプローチを実施し、呼吸障害によって制限されている機能を改善・維持することで日常生活動作や生活の質の向上を図ります。

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、呼吸不全が起こることで活動性・運動性が低下して筋力・筋肉量の低下が起こり、日常生活動作や食欲が低下します。栄養不良や日常生活動作が行なえなくなることにより、さらに活動性が低下して筋力低下も進みます。体力や耐久性も低下するので、運動時の呼吸不全が増強するという悪循環をたどります。この悪循環を断ち切るために、医師による禁煙指導や禁煙療法、薬物療法などと、看護師による生活面のケア、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士によるリハビリテーション、管理栄養士による栄養指導、薬剤師による服薬指導など、包括的なアプローチが行われます。

 呼吸リハビリテーションでは、呼吸筋のストレッチ、四肢・体幹の筋力増強訓練、歩行訓練、呼吸法(口すぼめ呼吸、腹式呼吸)の指導、排痰訓練、呼吸筋訓練、トレッドミルや自転車エルゴメーターを利用した運動療法、呼吸に負担を掛けない日常生活動作方法の指導・練習などが行われます。

外科治療

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)によって破壊された組織を手術によって取り除く治療です。肺組織の一部を切除することで肺容量を小さくし、吸気時の肺の広がりを促します。一時的な肺機能の改善は見込めますが、残っている肺組織の破壊は進んでいき、根本的な治療法ではありません。

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