健康長寿ネット

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腰部脊柱管狭窄症とは

 腰部脊柱管狭窄症とは、背骨の中にある神経の通り道「脊柱管」が、腰のあたりで狭くなることで、慢性的に神経組織の循環不全が生じ、その結果として臀部や下肢のしびれ・痛みなどが出る症候群です。

 この領域を走る神経を坐骨神経(ざこつしんけい)と呼ぶため、この領域の痛みのことを坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)ともいいます。

 腰部脊柱管狭窄症による坐骨神経痛は、姿勢によって症状が変化するのが特徴です。これは、姿勢により脊柱管の太さが変化することによります。一般に、立位姿勢や歩行を継続することにより症状が出現、もしくは悪化し、前屈や座位の姿勢をとると改善します。

 腰部脊柱管狭窄症において、脊柱管が狭くなる原因はさまざまです。多くの場合、加齢による変形性腰椎症、背骨どうしの間にある椎間関節(ついかんかんせつ)や靭帯の肥厚(ひこう)、椎間板の突出、腰椎分離症、腰椎すべり症、など、いくつかの状態が組み合わさって症状に寄与しています。

腰部脊柱管狭窄症の疫学

 高齢になるほど患者さんの数は増えます。日本には約365〜580万人ほどの患者さんがいると推定されます。

腰部脊柱管狭窄症の経過

 狭くなった脊柱管が自然に広がることはありません。しかし、症状が軽度、または中等度の患者さんでは症状が急激に悪化することは少なく、そのうち1/3〜1/2では自然に症状の改善が得られるとされます。一方、重度の患者さんでは手術に移行することが多いようです。

 神経は、一度損傷をうけると回復が得られにくい組織です。重度の患者さんが手術をうける場合、良い治療効果を得るためには症状があまり長引かないうちに手術に踏み切るのが大切です。また、安静時の下肢のしびれについては、手術を受けても何らかの症状が残存することが多いといわれています。

腰部脊柱管狭窄症の類似疾患

閉塞性動脈硬化症

 腰部脊柱管狭窄症と症状・所見が似ている疾患として、閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)が有名です。これは、動脈硬化などにより下肢の動脈が狭くなり、下肢の血流が不足する病気です。運動すると血流不足が悪化するため、下肢の疼痛やしびれが出ます。

 腰部脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症は、歩行により下肢の痛みが出て、休むと改善する点が似ています。区別するには以下の点に注目しましょう。

腰を屈めた時の症状

 腰部脊柱管狭窄症では、腰を屈めた姿勢により症状が改善します。そのため、立位や歩行では症状が出るが、自転車に乗っていればしびれがでないという方もいます。

 一方、閉塞性動脈硬化症では姿勢による症状の変化はありません。歩行でも自転車でも、同じように症状が出ます。

立っている時の症状

 腰部脊柱管狭窄症では、立っているだけでも症状が出ます。一方、閉塞性動脈硬化症では立っているだけで症状が出ることはありません。

下肢の血流

 腰部脊柱管狭窄症では、下肢の血流不足がありません。一方、閉塞性動脈硬化症では下肢の血流が不足しているので、足の脈拍が感じにくい、足の体温が低い、などの特徴があります。

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