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高齢者の不整脈

公開日:2016年7月25日 10時00分
更新日:2019年2月 1日 20時33分

高齢者の不整脈の症状

 高齢者の不整脈として見られる症状は「めまい」「失禁」「けいれん」です。これらは心臓が通常よりも早すぎたり、遅すぎたりすることで、心臓から押し出される血液量が少なくなり、脳に十分な血液が行かなくなってしまうことで起こります。特に心臓が通常よりも遅く拍動する「徐脈(じょみゃく)」の場合、3秒以上心臓が停止しているとめまいを起こし、5秒以上の停止で失神をきたすとされています。

高齢者の不整脈の原因

 心臓は、電気の刺激によって常に一定のリズムを保っています。「洞結節(どうけっせつ)」と呼ばれる部分がリズムを取り、洞調律(どうちょうりつ)という、正常な心拍のリズムを形成しています。

 洞結節から出された洞調律は、刺激伝導系という刺激を伝える通路を通って、心臓を動かす筋肉へ伝わり、一定のリズムで心臓は拍動します。この「洞結節」「刺激伝導系」「心筋」の3つのシステムのうち、どれか一つでも通常ではない働きをしてしまうと、正常な拍動が行えなくなり、「不整脈」となります。 

高齢者の不整脈の診断

 不整脈には大きくわけて、一分間のうち100回以上の拍動を認める「頻脈性不整脈」と一分間のうち60回以下の拍動となる「徐脈性不整脈」の二つがあります。

 不整脈の診断には、心電図を取ることが有効です。健康診断などでよくみかける心電図によって異常な波形が見られた場合には、「ホルター心電図」という携帯型の心電計を取り付け、24時間通しての心電図を観察します。その結果、異常な心電図が見つかった場合、「不整脈」と診断されます。

高齢者の不整脈の治療

 不整脈の治療には、「薬物療法」と「非薬物療法」があります。

薬物療法

 心臓は電気刺激によって動いています。そのため、電気刺激を促進するための薬が主に使われています。一言で不整脈の薬といっても、それぞれの作用機序から大きくわけて7種類の薬があるため、同じ不整脈の薬だといっても、人によって薬の種類は変わっていきます。

 薬によって不整脈を正常に近づけることはできますが、一方で薬の副作用により、心臓の収縮力の低下や、新たな不整脈の誘発を起こすこともあるため、内服中にはそれらを十分に観察した上で内服する必要があります。

非薬物療法

 薬での改善が見込めない場合、行われるのが外部からの刺激による治療です。

 一般的に知られているのが「ペースメーカー」です。

 人工的に拍動を促す電流を流すことで、心臓が正常なリズムで拍動するように手助けします。この他にも、急な不整脈によって緊急蘇生が必要な場合に行われる「自動体外式除細動器(AED)」も、不整脈の治療として行われているものとなります。

高齢者の不整脈の予後

 不整脈は種類が多く、様子観察で済む軽度なものから、生命に直結する重篤なものまで様々となっており、予後も不整脈の程度によって変動します。

 特に注意しなくてはいけないのが、「心室細動」という状態で、洞結節も刺激伝導系もそれぞれ別々に動いてしまうために心臓を動かす筋肉も拍動することができず、細かく動いているだけのように見えます。この間は本来の拍動は全く行われないため、全身に血液を送ることができず、早急にAEDにて電気刺激による救命を行わなければ、命に関わります。

高齢者の不整脈の看護・ケア

 人の体は、年を重ねるごとに老化していきます。それは心臓も例外ではなく、加齢とともに徐々に心臓の機能も低下していきます。

 高齢者の場合、徐々に機能が衰えている分、不整脈の症状にも体が少しずつ慣れてしまい、なかなか自覚症状として思うことができず、気が付いた時には重篤な不整脈が出ていた、ということがあります。このようなことを避けるためにも、定期的に健康診断を受診し、自分の心臓機能について把握しておく必要があります。

 不整脈についての薬を内服している場合は、飲み忘れによって不整脈が引き起こされ、重篤な症状が出現する恐れがあります。そのため、薬を飲み忘れずに確実に飲めるよう、周囲もサポートを行う必要があります。

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