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喘息

公開日:2016年7月25日 15時00分
更新日:2019年6月21日 09時46分

喘息とは

 喘息とは、一般的に気管支などで起こります。何らかの原因により、気管支に炎症が続くと、気管支全体がさまざまな刺激に敏感になります。その結果、空気の通り道である気道に慢性的な炎症がおこり、気道が狭窄(きょうさく:気道が狭くなる)してしまいます。この状態が続くと、繰り返す咳、呼吸の度にゼ―ゼーヒューヒューという音がする喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難感などが生じます。

 喘息については、喘息予防・管理ガイドラインで定義が定められています。

喘息の定義

 喘息の定義は次の通りです。

  1. 自然にあるいは治療により緩和される程度の気道の狭窄がみられる(図)
  2. 気道の過敏性が亢進していて、刺激に敏感である
  3. Tリンパ球、マスト細胞、好酸球などのアレルギーに関わる炎症細胞、気道上皮細胞、線維芽(せんいが)細胞をはじめとする気道を構成している細胞及びそのほかの原因となる因子が関係する気道の慢性的な炎症性疾患
  4. 気道炎症が持続することによって、気道の傷害とそれに引き続く気道構造の変化を起こしてしまう可能性がある
図:正常な気道と喘息の人の気道と喘息発作時の気道を示した図。喘息の人の気道、発作時の気道に狭窄が見られることを表す。
図:正常時と喘息時の気管支

子どもの喘息と成人の喘息

 子どもの喘息も、大人になってから発症する成人喘息も、"喘息"という疾患であることに変わりはないのですが、細かく見ていくと多くの違う点が見受けられます。

子供の頃に発症する喘息

  • ダニ、ペット、カビ等の吸入性アレルゲンを主とするアレルギー物質に対するアトピー(IgE抗体)反応によるものである事が多い
  • 適切な治療を行えば、過半数は成人までに治る

成人の喘息

  • 非アトピー(IgE抗体よりもリンパ球に依存するタイプ)によるアレルギー反応の割合が高い
  • 慢性化しやすく、気流制限がかかってしまう、気道の障害による組織の質的変化(リモデリング)を伴ってしまいやすいなどの重症例が多くなる

 子どもの喘息の場合、上手く症状を伝えることができず、ぐずったり不機嫌になることがあります。一方の成人の喘息は、第三者(医師など)に症状を伝えることは出来ますが、それまでの生活環境や生活サイクルなどを変えることが難しい、あるいはストレスなどの発症要因を完全に取り去ることが難しいケースもあります。加齢により、免疫機能が低下すると、アレルギー反応を起こしやすくなる傾向にもあります。

 現在では、日本全体での喘息による死者は減少傾向にありますが、成人の喘息について知り、喘息にならない生活を心がけることが必要です。

高齢者の喘息とは

 喘息の発症年齢を見てみると、小児喘息は2~3歳までに60~70%が罹患(りかん)し、6歳までに80%以上が発症すると言われています。しかしその後、思春期になると症状が軽快してくるケースが多くなり、およそ60~70%は、成人になる前に治癒するといわれています。しかし、小児喘息罹患者のおよそ30%は、成人喘息に移行するという結果もあります。さらに、小児期に喘息だった患者でも、症状が消失した60~70%のうちおよそ30%弱の人は、成人になってから再発するともいわれています。

 小児期に喘息症状がなく、成人になってから初めて喘息の症状が出る、成人発症喘息患者の割合は、成人喘息全体の70~80%を占めています。そのうち、40~60歳代で発症する人は、60%以上を占めています。また、70歳以上の喘息罹患者はそのほとんどが成人で発症しているというデータもあります。

 高齢者の喘息は、生命にも深くかかわってきます。特に60歳以上の高齢者の喘息死亡率は年齢と共に上昇傾向にあります。また、喘息に罹患している高齢患者のうち、COPD(慢性閉塞性肺疾患)を合併している人は、2008年の調査では48%と、約半数にも上っています 1)

参考文献

  1. 多賀谷悦子ら他:後期高齢者気管支喘息における慢性閉塞性肺疾患合併症例の検討, 日本呼吸器学会誌 2012年, 1(7):544頁

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