健康長寿ネット

健康長寿ネットは高齢期を前向きに生活するための情報を提供し、健康長寿社会の発展を目的に作られた公益財団法人長寿科学振興財団が運営しているウェブサイトです。

喘息の症状

公開日:2016年7月25日 14時00分
更新日:2019年2月 1日 20時12分

気管支喘息の症状

 気管支喘息の患者さんは、気道の過敏性が亢進することで、気道全体が刺激に敏感になってしまいます。すると、敏感な気道へアレルギー物質が刺激を与え、気道の粘膜に炎症が起こりやすくなり、気管支の壁がむくんでしまいます。結果的に、気道内に粘り気(粘度)が高い痰が増えます。さらに気管支を取り囲んでいる筋肉が収縮して、空気の通り道である気管支の内側を狭くしてしまうため、咳や痰が出やすくなり、気管支が収縮している間は、咳や痰が出続けます。

 また、気管支が狭くなって空気の通り道が狭くなっているため、ゼーゼー、ヒューヒュー という音がする喘鳴(ぜんめい)を伴い、呼吸困難感、息苦しさが出現します。

 このような状態を、喘息発作と呼びます。呼吸困難感や咳などが慢性的に続くことにより、夜中に目を覚ましてしまい、睡眠が妨げられてしまうなど、日常生活に支障をきたすこともあります。

 喘息は、軽症であるうちは、症状が出たとしても軽く、短時間でおさまり、症状が出現する頻度も、週に1回程度かもしくはそれより少ない程度です。しかし、重症化すると喘息症状は毎日出現するようになり、発作も頻繁になってきます(表)。

表:喘息の重症度 1)より作成
喘息症状 夜間症状 日常生活の妨げ
軽症間欠型 週1回未満
軽症で短い
月2回未満 なし
軽症 週1回以上だが毎日ではない 月2回以上 月1回以上
中等症 毎日 週1回以上 週1回以上
重症 毎日
治療中でもしばしば増悪
しばしば 持続的

 喘息発作は、深夜から明け方にかけて特に起こりやすいという特徴があります。ほかにも、季節の変わり目などの朝晩の気温差が激しいとき、天候不順なとき、風邪をひいたとき、疲れているとき、あるいは運動をしたときなどに、起こりやすくなります。たばこの煙や花火の煙を吸い込むこと、寒い中運動をして冷気をたくさん吸ったときなども、発作の症状が出現しやすくなります。

 高齢者の場合、症状が出現していても「年のせいではないか」あるいは「心疾患など心臓に由来するものではないか」というように捉えることがあります。この場合、症状を過少評価してしまい 、喘息を疑わずに経過して悪化してしまうケースも多いようです。高齢者では、喘息以外にも基礎的な疾患や合併症を持っている人が多く、合併症を含めた治療を検討する必要があります。

咳喘息の症状

 咳喘息(cough variant asthma: CVA)とは、ゼーゼー、ヒューヒューという音のする喘鳴や、呼吸困難発作が出現しないことが症状の特徴です。呼吸機能検査は正常であるにもかかわらず、痰を伴わない咳(空咳)だけが慢性的に(一般的には8週間以上)続くという症状があります。

 日本人のうち、慢性の咳を症状として悩んでいる人の約30%以上が、この咳喘息によるものという報告があります。喘息の前段階、あるいは軽症型として位置づけられることもあります。

参考文献

  1. 成人気管支喘息診療のミニマムエッセンス 日本医師会

無料メールマガジン配信について

 健康長寿ネットの更新情報や、長寿科学研究成果ニュース、財団からのメッセージなど日々に役立つ健康情報をメールでお届けいたします。

 メールマガジンの配信をご希望の方は登録ページをご覧ください。

無料メールマガジン配信登録

寄附について

 当財団は、「長生きを喜べる長寿社会実現」のため、調査研究の実施・研究の助長奨励・研究成果の普及を行っており、これらの活動は皆様からのご寄附により成り立っています。

 温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。

ご寄附のお願い(新しいウインドウが開きます)

このページについてご意見をお聞かせください