健康長寿ネット

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運動不足病

現代人は運動不足ぎみ

 肩こり・腰痛、体重増加や不眠などの体調の変化から、運動不足を実感している人が少なくないのでは?

 日本では1960年代からの経済の高度成長期以降、交通機関の発達や産業構造の変化に伴って、日常生活における身体活動量が著明に減少しました。

 「運動不足病」ということばは東京オリンピックの頃から言われだしたといいます。移動や仕事などでの身体活動量が減った結果、意識的に運動しなければすぐに運動不足の状態に陥ってしまうのです。

 肥満、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病や骨粗鬆症が起こりやすくなるなど、運動不足によりさまざまな「健康への害」が発生します。

運動不足による身体への影響

 Saltinらは1968年に運動不足の身体への影響について研究しました。

 大学生にベッド上安静の生活を20日間させたところ、体脂肪率が増加し、最大酸素摂取量(リンク1参照)が30%程度減少したことを報告しています。

 皆さんの中にも、何らかの病気のために2週間くらいベッド上で安静を強いられると、筋肉がほそくなり、少し歩いただけでも疲れるようになったという経験をお持ちのかたも少なくないでしょう。

 「歩いて入院したのに、病気が治って退院時には車椅子」なんていうのは、典型的な運動不足の害ですね。

リンク1 「最大酸素摂取量」

運動習慣と検査成績との関連調査結果

 筆者らは生活習慣に関する質問表、メディカルチェック(医学的検査)、体力検査を受診した5,081名について、過去および現在の運動習慣と検査成績との関連を検討しました。

グラフ:過去・現在の運動習慣と筋力(脚伸展筋力)、柔軟性(長座位体前屈)、敏捷性(全身反応時間)、心拍数の体力指標との関連を示した棒グラフ(あいち健康の森健康科学総合センター)

グラフ1:過去・現在の運動習慣と体力(あいち健康の森健康科学総合センター)

 筋力(脚伸展筋力)、柔軟性(長座位体前屈)、敏捷性(全身反応時間)のなどの体力指標は、過去および現在とも定期的かつ継続的に運動を実施している者においてもっとも良好な成績であり、過去および現在とも運動習慣のないものは最も低い結果でした。

 また、過去に運動習慣がなくても現在運動習慣があるものは、現在も運動していないものに比較して良好な結果となりました。このことは、若い頃から継続的に運動している人ではもっとも体力がよく、若い頃運動習慣があっても現在運動を実施していない人では体力が低下していることを示しています。

 逆に、むかし運動していなかった人は、中高年になって運動を始めるとかなり追いつくことができることを示しています。(グラフ1)

 さらに、空腹時血糖、トリグリセライド値は、過去の運動習慣に関わらず、現在の運動習慣の有無の影響が大きいことがわかりました。(グラフ2)

グラフ:40歳代女性の過去・現在の運動習慣と体脂肪率、HDLコレステロール、トリグリセライド、空腹時血糖値の影響を示す臨床検査成績の棒グラフ(あいち健康の森健康科学総合センター)

グラフ2:過去・現在の運動習慣と臨床検査成績(40歳代女性)(あいち健康の森健康科学総合センター)

 体脂肪率、HDLコレステロール、トリグリセライド、空腹時血糖値は、過去に運動習慣があり、現在も運動習慣があるものが最も良い成績です。次は過去に運動習慣はないが、現在運動習慣があるものとなります。グラフ2からは、過去に運動習慣があることよりも、現在運動習慣があることが検査結果を良くすることを表しています。

 このほか、運動不足ですと、骨粗鬆症、うつ病、がん(乳がん、大腸がん)、更年期障害などになりやすいことがわかってきました。いまからでも遅くありません。「運動不足病」にならないよう、生活を見直してみてください。

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