健康長寿ネット

健康長寿ネットは高齢期を前向きに生活するための情報を提供し、健康長寿社会の発展を目的に作られた公益財団法人長寿科学振興財団が運営しているウェブサイトです。

運動と貧血

公開日:2016年7月25日 10時00分
更新日:2019年2月 1日 17時49分

貧血とは赤血球の減少や酸素運搬能力が
低下することをいいます

 酸素は生命の維持になくてはならないものです。この酸素を全身に運搬しているのが血液中の赤血球です。赤血球の主な働きは、赤血球の中のヘモグロビン(以下Hb)という赤い色素が肺から酸素を受けとり、体内の組織に酸素を運搬し、組織の機能を維持することです。

 貧血(リンク1参照)とは赤血球の数が減少したり、赤血球の酸素を運搬する能力が低下したりすることをいいます。

リンク1 「貧血」

貧血による症状

 軽度の貧血(Hbが正常の70%程度)では必ずしも症状はあらわれません。一般的には、顔色が悪く、まぶたの裏が白くなったり口の中全体の赤みが減ったりします。慢性の貧血は、徐々に進行するため自覚症状のない場合もあります。

 Hbが正常の60%以下になると、体内の酸素を補うために多くの血液を送らなければならず、心拍数が増加したり、少しの運動をしても息が切れたりします。

 Hbが正常の40%以下になると、頭痛や、めまい、耳鳴り、集中力の低下、不眠といった症状が出てきます。また、身体のすみずみまで酸素が行き渡らないため、疲れやすくなったり手や足が冷えたりします。

 さらに、Hbが正常の30%以下になると、食欲がなくなる、吐き気やむかつきなどの症状があらわれます。

 ただし、ここにあげた貧血の程度と症状はあくまでも目安であり、年齢や性別、貧血の原因や健康状態などにより個人差があります。

貧血の原因には次のようなことがあります。

  1. 鉄分の不足
    • 偏った食事や無理なダイエットによって鉄分(リンク2参照)が不足し、貧血になりやすくなります。
  2. 造血機能の低下
    • 骨髄に病気があると、造血機能が低下し貧血が起きます。
  3. 体内での出血
    • 胃・十二指腸潰瘍、出血性胃炎、胃がん、大腸がんを原因とする消化管からの出血、子宮筋腫からの出血によって貧血になることがあります。
  4. 運動性貧血
    • 強度の高いトレーニングを続けていると貧血を起こしやすくなります。原因として筋肉内での鉄需要の増加、発汗による鉄の喪失、足底部にかかる強い衝撃による赤血球の破壊などがあげられます。運動習慣のない人が急に激しい運動をした時や、陸上の長距離選手がトレーニングを続けていて、この状態になることがあります。

リンク2 「ミネラル成分の鉄の働きと1日の摂取量」

貧血は全身持久力への影響や心臓への負担が大きい

 運動選手が貧血の治療をすると、競技成績が非常に改善したという例もあるように、全身持久力 (リンク3参照)に対して大きな影響があります。さらに、貧血が重度の場合、心臓への負担が大きい状態が続き、心不全の危険が高くなります。

 また、たとえ検査データが基準値範囲内にあっても、前年の自分のデータと比べて急激にHb値が下がっている場合は、原因となるような病気が潜んでいる可能性があります。再度血液検査を受けるとともに、必要に応じて精密検査を受けましょう。

リンク3 「全身持久力の測定方法と指標」

貧血予防のポイント

運動後にペットボトルの水を飲む男女の写真。適度な運動は内臓機能を回復させて鉄分の吸収を高め、赤血球の生産を活発にする作用があり貧血の予防になる。

 貧血予防のポイントとしては以下のことがあげられます。

  1. 一日三食しっかりバランスのよい食事を摂り、鉄分を多く含む食品を積極的に摂りましょう。
  2. 睡眠時間を十分とり、規則正しい生活を心がけましょう。
  3. 適度な運動をしましょう。運動には内臓機能を回復させて鉄分の吸収を高め、赤血球の生産を活発にする作用があります。

無料メールマガジン配信について

 健康長寿ネットの更新情報や、長寿科学研究成果ニュース、財団からのメッセージなど日々に役立つ健康情報をメールでお届けいたします。

 メールマガジンの配信をご希望の方は登録ページをご覧ください。

無料メールマガジン配信登録

寄附について

 当財団は、「長生きを喜べる長寿社会実現」のため、調査研究の実施・研究の助長奨励・研究成果の普及を行っており、これらの活動は皆様からのご寄附により成り立っています。

 温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。

ご寄附のお願い(新しいウインドウが開きます)

このページについてご意見をお聞かせください