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ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量

公開日:2016年7月25日 21時38分
更新日:2021年2月12日 12時59分

ミネラル成分の鉄分とは1)

 鉄分はからだの中に約3gあるといわれています。そのうち約65%は血液中のヘモグロビンの構成成分となり、酸素運搬という重要な役割を果たしています。

 食品中に含まれる鉄分は、ヘム鉄と非ヘム鉄とに分けられます。たんぱく質と結合しているヘム鉄は肉や魚などの動物性食品に多く含まれています。ヘム鉄以外の無機鉄を非ヘム鉄と言い、こちらは植物性食品に多く含まれています。

鉄分の吸収と働き1)

 食品中に含まれる鉄分のうち、ヘム鉄は還元型であるため、たんぱく質が結合したそのままの形で十二指腸から空腸上部で吸収されます。非ヘム鉄はそのままの形では吸収されず、還元された後、吸収されます。吸収された鉄分は、酸化され、アポトランスフェリンというたんぱく質と結合してトランスフェリンとなり、血液に乗って体中に運ばれます。輸送された鉄分は、ヘモグロビンとなって酸素の輸送に関与するほか、筋肉中に酸素を蓄えるミオグロビンの構成成分になります。他に、肝臓や脾臓、骨髄などにフェリチンやヘモシデリンとして20~30%貯蔵されています。赤血球の鉄分が足りなくなるとこの貯蔵鉄が使われます。

鉄分の1日の摂取基準量1)2)3)

 鉄分は日本人が不足しやすい栄養素の一つです。1日に必要な鉄分の推奨量は表に示すとおり18~29歳の女性では月経なしの場合6.0㎎、30~69歳の女性で6.5㎎、70歳以上の女性で6.0㎎です。18~29歳の男性では7.0㎎、30~69歳の男性で7.5㎎、70歳以上の男性で7.0㎎です(表)。

 食事摂取基準の上限量(過剰摂取による健康障害をおこすことのない最大限の量)は、女性では18歳以上で40㎎、男性では18~29歳で50㎎、30~49歳で55㎎、50歳以上で45㎎と設定されています(表1)。

表1:鉄分の食事摂取基準(㎎/日)a,2)
性別男性女性
年齢等推定平均必要量推奨量目安量耐容上限量月経なし月経あり目安量耐容上限量
推定平均必要量推奨量推定平均必要量推奨量
0~5(月) 0.5 0.5
6~11(月) 3.5 5.0 3.5 4.5
1~2(歳) 3.0 4.5 25 3.0 4.5 20
3~5(歳) 4.0 5.5 25 3.5 5.0 25
6~7(歳) 4.5 6.5 30 4.5 6.5 30
8~9(歳) 6.0 8.0 35 6.0 8.5 35
10~11(歳) 7.0 10.0 35 7.0 10.0 10.0 14.0 35
12~14(歳) 8.5 11.5 50 7.0 10.0 10.0 14.0 50
15~17(歳) 8.0 9.5 50 5.5 7.0 8.5 10.5 40
18~29(歳) 6.0 7.0 50 5.0 6.0 8.5 10.5 40
30~49(歳) 6.5 7.5 55 5.5 6.5 9.0 10.5 40
50~69(歳) 6.0 7.5 50 5.5 6.5 9.0 10.5 40
70以上(歳) 6.0 7.0 50 5.0 6.0 40
妊婦(付加量)初期 +2.0 +2.5
妊婦(付加量)中期・後期 +12.5 +15.0
授乳婦(付加量) +2.0 +2.5
  1. 過多月経(経血量が80mL/回以上)の人を除外して策定した。
  • 推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量。
  • 推奨量:ほとんどの人が必要量を満たす量。
  • 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
  • 耐容上限量:過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量。

 平成27年国民健康・栄養調査における鉄分の一般食品からの1日の摂取量は平均7.6㎎でした。食品群別の摂取量を見ると、このうち約14.5%が野菜(1.1㎎)、13.2%が穀類(1.0㎎)、豆類(1.0㎎)から摂取されているほか、調味料・香辛料類(0.9㎎、11.8%)肉類(0.7㎎、9.2%)、魚介類(0.7㎎、9.2%)からも摂取されています。

鉄分が不足するとどうなるか1)

 鉄分が不足すると鉄欠乏性貧血になります。貧血になるとからだが重い、息がきれる、顔色が悪い、疲れやすいと感じるようになります。貧血予防のためには、鉄分だけを補えばいいというわけではありません。ヘモグロビンは鉄(ヘム)とたんぱく質(グロビン)が結合してできています。そのためたんぱく質も摂取する必要があります。また、赤血球の合成に必要な、ビタミンB12や葉酸も十分に摂取しましょう。

鉄分の過剰摂取の問題

 通常の食事では過剰になることはありませんが、サプリメントなどによる過剰摂取も問題です。長期にわたり過剰に摂取しつづけると鉄沈着症を発症する恐れがあります。また、非ヘム鉄サプリメント摂取で便秘、胃部不快感など副作用を訴える人がいることも報告されています。

鉄分を多く含む食品1)4)

 鉄分は、肉類、魚介類、藻類、野菜類、豆類に多く含まれています。鉄分には、ヘム鉄と非ヘム鉄があります。全体的に、鉄分は吸収率が低いミネラルですが、鉄分の中でも吸収の良いヘム鉄は、レバー、魚介類などに多く含まれます。一方、非ヘム鉄は、のりなどの海藻類などに多く含まれます。

 一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品で、調理しやすく、日常的に摂取しやすい食品から鉄分を多く含む食品を表2から表6にまとめました。

鉄を多く含む貝類の写真。からだの中にある鉄は、ヘモグロビンの構成成分となり、酸素運搬という重要な働きがあります。
表2:肉類に含まれる鉄分量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
鉄分(㎎)単位重量
ぶた スモークレバー 19.8 1食分 100g
ぶた 肝臓(レバー) 生 13.0 1人前 100g
にわとり 肝臓(レバー) 生 9.0 1人前 100g
ぶた レバーペースト 7.7 大さじ1 12g
うし 第三胃(センマイ) 生 6.8 1片 10g
ビーフジャーキー 6.4
表3:魚介類に含まれる鉄分量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
鉄分(㎎)単位重量
あゆ 天然 内臓 生 24.0
かたくちいわし 煮干し 18.0
加工品 干しえび 15.1 大さじ1 6g
加工品 削り節 9.0
しじみ 生 8.3 10個 30g
うるめいわし 丸干し 4.5 1尾 40g
あさり 生 3.8 10個(殻付き) 80g
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(頭部、内臓、骨、ひれなど)を除いたものです。
表4:藻類に含まれる鉄分量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
鉄分(㎎)単位重量
あおのり 素干し 77.0 小さじ1 2g
かわのり 素干し 61.3 1枚 3g
ほしひじき 鉄釜 乾 58.2 大さじ1 2g
いわのり 素干し 48.3 1枚 3g
あまのり 焼きのり 11.4 1枚 2g
刻み昆布 8.6
カットわかめ 6.1 1人分 10g
表5:野菜類に含まれる鉄分量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
鉄分(㎎)単位重量
パセリ 葉 生 7.5 1枝 15g
切干しだいこん 乾 3.1
だいこん 葉 生 3.1 1本分(根中1本800g) 150g
こまつな 葉 生 2.8 1株 40g
えだまめ 生 2.7 10さや(さやつき) 30g
サラダな 葉 生 2.4 1株 80g
かぶ 葉 生 2.1 1個 80g
ほうれんそう 葉 通年平均 生 2.0 1株 20g
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(野菜の皮や根、芯など)を除いたものです。
表6:豆類に含まれる鉄分量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
鉄分(㎎)単位重量
きな粉 全粒大豆 黄大豆 8.0 大さじ1 6g
がんもどき 3.6 1個 95~125g
糸引き納豆 3.3 1個 30~50g
油揚げ 生 3.2 1枚 20~30g
蒸し大豆 黄大豆 2.8 1パック 100g

 たんぱく質、アミノ酸、アスコルビン酸(ビタミンC)と一緒に摂取すると、吸収が高まることが知られており、吸収率が低い非ヘム鉄も、一緒に食べる食品を工夫することで、吸収率を高めることができます。反対に、米ぬかなどに多く含まれるフィチン酸、紅茶や緑茶に多く含まれるタンニン、ホウレンソウなどに含まれるシュウ酸は鉄分の吸収を抑制するため、注意が必要です。

 また、鉄分の吸収率は体内の鉄貯蔵量が少ない場合は高くなり、多い場合は低くなります。このように、食事に含まれているヘム鉄と非ヘム鉄の割合や、吸収を高める他の栄養素の含有量、体内の鉄分の貯蔵状態によって違ってきますが、鉄分の吸収率はだいたい15%程度になると見積もられています。

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015年版)総論 ミネラル(微量ミネラル) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 平成27年国民健康・栄養調査 厚生労働省 (PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 日本食品標準成分表・資源に関する取組 文部科学省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. 香川明夫(監修):七訂 食品成分表2019. 女子栄養大学出版, 東京, 2019.

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