健康長寿ネット

健康長寿ネットは高齢期を前向きに生活するための情報を提供し、健康長寿社会の発展を目的に作られた公益財団法人長寿科学振興財団が運営しているウェブサイトです。

ミネラル成分の鉄の働きと1日の摂取量

ミネラル成分の鉄とは1)

 鉄はからだの中に約3gあるといわれています。そのうち約65%は血液中のヘモグロビンの構成成分となり、酸素運搬という重要な役割を果たしています。

 食品中に含まれる鉄は、ヘム鉄と非ヘム鉄とに分けられます。たんぱく質と結合しているヘム鉄は肉や魚などの動物性食品に多く含まれています。ヘム鉄以外の無機鉄を非ヘム鉄と言い、こちらは植物性食品に多く含まれています。

鉄の吸収と働き1)

 食品中に含まれる鉄のうち、ヘム鉄は還元型であるため、たんぱく質が結合したそのままの形で十二指腸から空腸上部で吸収されます。非ヘム鉄はそのままの形では吸収されず、還元された後、吸収されます。吸収された鉄は、酸化され、アポトランスフェリンというたんぱく質と結合してトランスフェリンとなり、血液に乗って体中に運ばれます。輸送された鉄は、ヘモグロビンとなって酸素の輸送に関与するほか、筋肉中に酸素を蓄えるミオグロビンの構成成分になります。他に、肝臓や脾臓、骨髄などにフェリチンやヘモシデリンとして20~30%貯蔵されています。赤血球の鉄が足りなくなるとこの貯蔵鉄が使われます。

鉄の1日の摂取基準量1)2)3)

 鉄は日本人が不足しやすい栄養素の一つです。1日に必要な鉄の推奨量は表に示すとおり18~29歳の女性では月経なしの場合6.0㎎、30~69歳の女性で6.5㎎、70歳以上の女性で6.0㎎です。18~29歳の男性では7.0㎎、30~69歳の男性で7.5㎎、70歳以上の男性で7.0㎎です(表)。

 食事摂取基準の上限量(過剰摂取による健康障害をおこすことのない最大限の量)は、女性では18歳以上で40㎎、男性では18~29歳で50㎎、30~49歳で55㎎、50歳以上で45㎎と設定されています(表)。

表:鉄の食事摂取基準(㎎/日)
性別 男性 女性
年齢等 推定平均必要量 推奨量 目安量 耐容上限量 月経なし 月経あり 目安量 耐容上限量
推定平均必要量 推奨量 推定平均必要量 推奨量
0~5(月) 0.5 0.5
6~11(月) 3.5 5.0 3.5 4.5
1~2(歳) 3.0 4.5 25 3.0 4.5 20
3~5(歳) 4.0 5.5 25 3.5 5.0 25
6~7(歳) 4.5 6.5 30 4.5 6.5 30
8~9(歳) 6.0 8.0 35 6.0 8.5 35
10~11(歳) 7.0 10.0 35 7.0 10.0 10.0 14.0 35
12~14(歳) 8.5 11.5 50 7.0 10.0 10.0 14.0 50
15~17(歳) 8.0 9.5 50 5.5 7.0 8.5 10.5 40
18~29(歳) 6.0 7.0 50 5.0 6.0 8.5 10.5 40
30~49(歳) 6.5 7.5 55 5.5 6.5 9.0 10.5 40
50~69(歳) 6.0 7.5 50 5.5 6.5 9.0 10.5 40
70以上(歳) 6.0 7.0 50 5.0 6.0 40
妊婦(付加量)初期 +2.0 +2.5
妊婦(付加量)中期・後期 +12.5 +15.0
授乳婦(付加量) +2.0 +2.5

 平成27年国民健康・栄養調査における鉄の一般食品からの1日の摂取量は平均7.6㎎でした。食品群別の摂取量を見ると、このうち約14.5%が野菜(1.1㎎)、13.2%が穀類(1.0㎎)、豆類(1.0㎎)から摂取されているほか、調味料・香辛料類(0.9㎎、11.8%)肉類(0.7㎎、9.2%)、魚介類(0.7㎎、9.2%)からも摂取されています。

鉄が不足するとどうなるか1)

 鉄が不足すると鉄欠乏性貧血になります。貧血になるとからだが重い、息がきれる、顔色が悪い、疲れやすいと感じるようになります。貧血予防のためには、鉄だけを補えばいいというわけではありません。ヘモグロビンは鉄(ヘム)とたんぱく質(グロビン)が結合してできています。そのためたんぱく質も摂取する必要があります。また、赤血球の合成に必要な、ビタミンB12や葉酸も十分に摂取しましょう。

鉄の過剰摂取の問題

 通常の食事では過剰になることはありませんが、サプリメントなどによる過剰摂取も問題です。長期にわたり過剰に摂取しつづけると鉄沈着症を発症する恐れがあります。また、非ヘム鉄サプリメント摂取で便秘、胃部不快感など副作用を訴える人がいることも報告されています。

鉄を多く含む食品1)4)

 鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄があります、全体的に、鉄は吸収率が低いミネラルですが、鉄の中でも吸収の良いヘム鉄は、レバー、赤身の肉、赤身の魚、貝類などに多く含まれます。一方、非ヘム鉄は、ホウレンソウや小松菜などの緑黄色野菜、ひじきなどの海藻類、大豆製品、卵黄などに多く含まれます。

 たんぱく質、アミノ酸、アスコルビン酸(ビタミン C)と一緒に摂取すると、吸収が高まることが知られており、吸収率が低い非ヘム鉄も、一緒に食べる食品を工夫することで、吸収率を高めることができます。反対に、米ぬかなどに多く含まれるフィチン酸、紅茶や緑茶に多く含まれるタンニン、ホウレンソウなどに含まれるシュウ酸は鉄の吸収を抑制するため、注意が必要です。

 また、鉄の吸収率は体内の鉄貯蔵量が少ない場合は高くなり、多い場合は低くなります。このように、食事に含まれているヘム鉄と非ヘム鉄の割合や、吸収を高める他の栄養素の含有量、体内の鉄の貯蔵状態によって違ってきますが、鉄の吸収率はだいたい15%程度になると見積もられています。

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)総論 ミネラル(微量ミネラル) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 平成27年国民健康・栄養調査 厚生労働省 (PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. ミネラル 農林水産省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

このページについてご意見をお聞かせください

関連記事