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亜鉛の働きと1日の摂取量

公開日:2016年7月25日 21時37分
更新日:2022年8月25日 10時38分

亜鉛とは

 亜鉛は成人の体内に約2g含まれます。成人ではそのほとんどは筋肉と骨中に含まれますが、皮膚、肝臓、膵臓、前立腺などの多くの臓器に存在し、さまざまな酵素の構成要素となっています。

亜鉛の吸収と働き1)

 亜鉛の吸収量は、摂取量や一緒に存在する他の成分により変動しますが、一般的には、約30%と推定されています。

 亜鉛は数百におよぶ酵素たんぱく質の構成要素として、さまざまな生体内の反応に関与しています。アミノ酸からのたんぱく質の再合成、DNAの合成にも必要なので、胎児や乳児の発育や生命維持に非常に重要な役割を果たしているほか、骨の成長や肝臓、腎臓、インスリンを作るすい臓、精子を作っている睾丸など、新しい細胞が作られる組織や器官では必須のミネラルです。また、体の細胞にダメージを与える活性酸素を除去する酵素の構成成分であるほか、味覚を感じる味蕾細胞や免疫反応にも関与しています。

 近年、糖尿病患者に亜鉛サプリメント与えて空腹時血糖、HbA1c、血清インスリンおよび血清亜鉛濃度への効果を分析した結果、亜鉛サプリメントの摂取は空腹時血糖値の低値と関連が認められたことが報告されています5)

亜鉛の1日の摂取基準2)3)

 日本人の食事摂取基準(2020年版)では1日の摂取の推奨量は18~74歳の男性で11㎎、75歳以上の男性で10㎎、18歳以上の女性で8㎎となっています。

 また、通常の食事による、亜鉛の過剰摂取の可能性は低いですが、亜鉛の過剰摂取は銅欠乏、貧血、胃の不調など様々な健康被害が生じることが知られているため、耐容上限量は18~29歳の男性で40㎎、30~64歳の男性で45㎎、65歳以上の男性で40㎎、18~74歳の女性で35㎎、75歳以上の女性で30㎎と設定されています(表1)。

表1:亜鉛の食事摂取基準量(㎎/日)2)
性別男性女性
年齢等推定平均必要量推奨量目安量耐容上限量推定平均必要量推奨量目安量耐容上限量
0~5(月) 2 2
6~11(月) 3 3
1~2(歳) 3 3 2 3
3~5(歳) 3 4 3 3
6~7(歳) 4 5 3 4
8~9(歳) 5 6 4 5
10~11(歳) 6 7 5 6
12~14(歳) 9 10 7 8
15~17(歳) 10 12 7 8
18~29(歳) 9 11 40 7 8 35
30~49(歳) 9 11 45 7 8 35
50~64(歳) 9 11 45 7 8 35
65~74(歳) 9 11 40 7 8 35
75以上(歳) 9 10 40 6 8 30
妊婦(付加量) +1 +2
授乳婦(付加量) +3 +4
  • 推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量。
  • 推奨量:ほとんどの人が必要量を満たす量。
  • 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
  • 耐容上限量:過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量。

 令和元年国民健康・栄養調査における食品群別摂取量は8.4㎎で、食品群別に摂取量の内訳をみると、穀類からの摂取量が最も多く、次いで肉類、魚介類でした。

亜鉛が不足するとどうなるか2)

 亜鉛が不足すると、たんぱく質やDNAの合成がうまく行えなくなり、成長障害が起こります。また、亜鉛は味を感じる味蕾細胞の産生に必須であるため、亜鉛不足になると味を感じにくくなる味覚障害になる可能性があります。亜鉛不足によるほかの症状として、貧血、食欲不振、皮膚炎、生殖機能の低下、慢性下痢、脱毛、免疫力低下、低アルブミン血症、神経感覚障害、認知機能障害などのさまざまな症状が現れます。

 植物性食品に多く含まれる食物繊維やフィチン酸(穀類、豆類に多い)などは、亜鉛の吸収を妨げます。また、加工食品に多く含まれる食品添加物が、亜鉛の吸収を阻害し、亜鉛欠乏になる場合もありますので、特定の食品に偏った食事をしないよう注意が必要です4)。近年、若い世代での、食生活の乱れによる亜鉛欠乏により、味覚障害を訴える人が増えてきています。そのほか、アルコールの摂取により、亜鉛の排出量が増加します。

亜鉛の過剰摂取の影響

 亜鉛の過剰摂取および長期的な摂取は健康に悪い影響があります。亜鉛サプリメントの不適切な利用や、日常的に高濃度の亜鉛を摂取により、銅の吸収阻害による銅欠乏症(銅欠乏症の症状は、貧血、骨異常、毛髪異常、白血球減少、好中球減少、心血管系や神経系の異常、成長障害などがある)のおそれがあります5)

亜鉛を多く含む食品・食べ物6)

 亜鉛を多く含む食品には魚介類、肉類、藻類、野菜類、豆類、種実類があります。特にかき(養殖/生)には100gあたり14.5㎎と亜鉛が多く含まれるほか、うなぎの蒲焼100g(1串)には2.7㎎、豚・肝臓生100gあたり6.9㎎と魚介類や肉類に亜鉛が多く含まれています。

 一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品で、調理しやすく、日常的に摂取しやすい食品から亜鉛を多く含む食品を表2から表7にまとめました。

亜鉛が特に多く含まれている食品の牡蠣の写真。日本人の食事摂取基準(2015年版)により亜鉛の一日の摂取基準が定めれている。通常の食事による亜鉛の過剰摂取の可能性は低いですが亜鉛サプリメントなどを服用する際は健康障害が生じることがある。
亜鉛を含む食品のうなぎの蒲焼きの写真。
表2:魚介類に含まれる亜鉛量6)7)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
亜鉛(㎎)単位重量
かき 養殖 生 14.0 1個(むき身) 15g
かたくちいわし 田作り 7.9 1食分 20g
しらす干し 半乾燥品 3.0 大さじ1 5g
加工品 かつお節 2.8 1食分 2.5g
うなぎ かば焼 2.7 1串 100g
まさば 生 1.1 1尾 500g
まあじ 皮つき 生 1.1 1尾 160g
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(頭部、内臓、骨、ひれなど)を除いたものです。
表3:肉類に含まれる亜鉛量6)7)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
亜鉛(㎎)単位重量
ぶた 肝臓(レバー) 生 6.9 1人前 100g
うし [交雑牛肉] もも 赤肉 生 4.8 1枚 200g
うし [交雑牛肉] リブロース 赤肉 生 4.5 1枚 200g
ぶた [大型種肉] かたロース 赤肉 生 3.2 1枚 200g
ぶた [大型種肉] かた 赤肉 生 3.1 1枚 200g
にわとり [若どり・主品目] もも 皮つき 生 1.6 1枚 200g
表4:藻類に含まれる亜鉛量6)7)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
亜鉛(㎎)単位重量
あまのり 焼きのり 3.6 1枚 2g
わかめ カットわかめ 乾 2.8 1人前 10g
あおさ 素干し 1.2 小さじ1 2g
刻み昆布 1.1 1食分 2.5g
ひじき ほしひじき 鉄釜・ステンレス釜 乾 1.0 大さじ1 2g
表5:野菜類に含まれる亜鉛量6)7)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
亜鉛(㎎)単位重量
切干しだいこん 乾 2.1 1食分 10g
えだまめ 生 1.4 10さや(さやつき) 30g
しそ 葉 生 1.3 10枚 7g
たけのこ 若茎 生 1.3 1本 1kg
ごぼう 根 生 0.8 1本 180g
  • 「食品成分表」には、生の状態だけではなく、「ゆで」「焼き」「油いため」など調理した状態に分類した成分値も収載されています。調理法により食品の成分値、食品重量が変化します。食品重量については、例えばゆでる場合、食品の水分が流れ出て重量が減る食品とゆで湯を吸収して重量が増える食品がありますので、ゆで100gとは、生100gをゆでた場合の重量ではなくゆでた状態での100gです。
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(野菜の皮や根、芯など)を除いたものです。
表6:豆類に含まれる亜鉛量6)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
亜鉛(㎎)単位重量
きな粉 全粒大豆 黄大豆 4.1 大さじ1 6g
油揚げ 生 2.5 1枚 20~30g
糸引き納豆 1.9 1個 30~50g
生揚げ(厚揚げ) 1.1 1枚 120~140g
あずき こし生あん 1.1 1カップ 170g
焼き豆腐 0.8 1丁 300~400g
表7:種実類に含まれる亜鉛量6)7)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
亜鉛(㎎)単位重量
かぼちゃ いり 味付け 7.7 大さじ1 10g
ごま いり 5.9 大さじ1 9g
アーモンド 乾 3.6 10粒 14g
らっかせい ピーナッツバター 2.7 大さじ1 10g
くるみ いり 2.6 1粒 5g
らっかせい 乾 大粒種・小粒種 2.3 殻付き10粒 25g

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2020年版)各論 ミネラル(微量ミネラル) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 厚生労働省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 令和元国民健康・栄養調査 厚生労働省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. NIKKEI STYLE 味覚異常の患者増加 亜鉛不足、ストレスも原因 日本経済新聞社・日経BP社(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. 「健康食品」の安全性・有効性情報 国立健康・栄養研究所(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  6. 日本食品標準成分表・資源に関する取組 文部科学省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  7. 香川明夫(監修):八訂 食品成分表2021. 女子栄養大学出版部, 東京, 2021.

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