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リンの働きと1日の摂取量

公開日:2016年7月25日 01時00分
更新日:2019年8月 9日 12時59分

リンとは

 リンは成人の体内に最大で800g含まれ、その約80%、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムとして、骨や歯の構成成分となっています。残りは、14%が筋肉などの軟組織や細胞膜に、1%が細胞外液に存在しています。

リンの吸収と働き1)

 リンはリン酸として十二指腸や回腸、大腸などで吸収され、そのほとんどが最終的に尿中に排泄されます。腸管での吸収はビタミンDによって促進され、カルシウム、マグネシウムによって抑制されます。また、消化管で吸収される一方で、消化管液としても分泌されるため、見かけの吸収率は成人で 60~70%と見積もられています。生体内のリン酸濃度は、副甲状腺ホルモンなどの働きにより、腎臓からの再吸収や、骨への沈着と骨から血液中への溶出を制御することで一定に保たれています。

 リンは骨や歯の正常な発達に不可欠な成分で、カルシウムとともにハイドロキシアパタイトとして骨や歯を構成しています。また、リン脂質として、細胞膜の構成成分になるほか、遺伝情報を伝達するうえで重要なDNAやRNAなどの核酸、生体内でのエネルギー貯蔵物質である高エネルギーリン酸化合物(アデノシン三リン酸:ATP)、リンたんぱく質など、生体内で重要な成分の構成要素として、さまざまな代謝反応に関与しています。そのほか、体液の酸とアルカリのバランスや浸透圧の調節、心臓や腎臓の機能の維持、神経伝達などにも関与しています。

リンの1日の摂取基準量1)2)3)

 日本人の食事摂取基準(2015年版)では、1日のリンの目安量を18歳以上の男性で1,000㎎、女性800㎎としています。耐容上限量は18歳以上男女ともに3,000㎎と設定されています(表1)。

表1:リンの食事摂取基準(㎎/日)2)
性別男性女性
年齢等目安量耐容上限量目安量耐容上限量
0~5(月) 120 120
6~11(月) 260 260
1~2(歳) 500 500
3~5(歳) 800 600
6~7(歳) 900 900
8~9(歳) 1,000 900
10~11(歳) 1,100 1,000
12~14(歳) 1,200 1,100
15~17(歳) 1,200 900
18~29(歳) 1,000 3,000 800 3,000
30~49(歳) 1,000 3,000 800 3,000
50~69(歳) 1,000 3,000 800 3,000
70以上(歳) 1,000 3,000 800 3,000
妊婦 800
授乳婦 800
  • 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
  • 耐容上限量:過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量。

 平成27年国民健康・栄養調査におけるリンの摂取量は989.8㎎でした。食品群別の摂取量でみると、穀類(181.3㎎)と魚介類(153.6㎎)からの摂取がそれぞれ18.3%、15.5%と多く、次いで乳類(139.1㎎)の14.1%、肉類(121.5㎎)の12.3%の順でした。

リンが不足するとどうなるか1)

 リンの欠乏症状としては、脱力感、筋力低下、溶血などの症状が知られています。しかし、リンは食品中に広く分布し、さらにリン含量の高い食品が多いため不足することはほとんどありません。また、近年、血清中のリンの濃度が低いと糖尿病や高血圧などのメタボリックシンドロームの発症リスクを高める可能性を示唆する研究結果が報告されています。これらの結果については、それを否定する研究もあり、今後の研究が注目されます。

リンの過剰摂取の影響

 現在の日本の食生活では、加工食品の利用が増えていることに伴って、食品添加物として使われている各種リン酸塩の摂取が多くなっているため、リン欠乏よりもむしろリンの過剰摂取の方が問題となっています。特に腎機能に障害がある場合は、尿へのリンの排出量が減るために、血液中のリン濃度が増加するので、注意が必要です。また副甲状腺機能が低下して副甲状腺ホルモンの分泌が低下したり、成長ホルモンの分泌が亢進したり、ビタミンDが過剰に存在することによっても、リンの濃度は増加します。

 リンの摂り過ぎはカルシウムの吸収を妨げ、カルシウムの摂り過ぎはリンの吸収を妨げます。そのためカルシウムとリンの摂取比率は、ほぼ同量が望ましいとされています。加工食品の摂取が多い場合には注意が必要です。

リンを多く含む食品4)

 リンは小魚類、米ぬかや胚芽、卵黄、乳製品、豆類などに多く含まれています(表2)。大豆(乾燥)50gで290㎎、ワカサギ生80g(3~4尾)で280㎎、プロセスチーズ30gで219㎎含まれます。

リンを多く含む食品の乾燥大豆の写真。リンは骨や歯の正常な発達に不可欠な成分でカルシウムとともに骨や歯を構成している。現在の日本の食生活では加工食品の利用が増えていることに伴い各種リン酸塩の摂取が多く、過剰摂取が問題。リンの摂り過ぎはカルシウムの吸収を妨げてしまうため、栄養状態を維持するためには1日の摂取量を守ることが大切です。
リンを多く含む食品のワカサギの写真。
リンを多く含む食品のプロセスチーズの写真。
表2:リンが豊富な食品4)
順位食品名成分量100gあたり㎎
1 調味料及び香辛料類/ベーキングパウダー 3700
2 魚介類/<魚類>/とびうお/焼き干し 2300
2 魚介類/(いわし類)/かたくちいわし/田作り 2300
4 穀類/こめ/[その他]/米ぬか 2000
5 魚介類/(いわし類)/かたくちいわし/煮干し 1500
6 魚介類/(いわし類)/たたみいわし 1400
7 魚介類/<魚類>/とびうお/煮干し 1300
8 魚介類/きびなご/調味干し 1200
8 魚介類/いかなご/煮干し 1200
8 魚介類/(さば類)/ごまさば/さば節 1200
8 魚介類/(えび類)/さくらえび/素干し 1200
12 種実類/あさ/乾 1100
12 種実類/かぼちゃ/いり、味付け 1100
12 魚介類/(いか類)/加工品/するめ 1100
12 穀類/こむぎ/[その他]/小麦はいが 1100
16 卵類/鶏卵/卵黄/乾燥卵黄 1000
16 乳類/(粉乳類)/脱脂粉乳 1000
16 調味料及び香辛料類/からし/粉 1000
19 魚介類/(えび類)/加工品/干しえび 990
20 魚介類/(いわし類)/うるめいわし/丸干し 910

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)総論 ミネラル(多量ミネラル) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 平成27年国民健康・栄養調査 厚生労働省 (PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 食品成分データベース 日本食品標準成分表2015年版 文部科学省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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