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リンの働きと1日の摂取量

リンとは

 リンは成人の体内に最大で800g含まれ、その約80%、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムとして、骨や歯の構成成分となっています。残りは、14%が筋肉などの軟組織や細胞膜に、1%が細胞外液に存在しています。

リンの吸収と働き1)

 リンはリン酸として十二指腸や回腸、大腸などで吸収され、そのほとんどが最終的に尿中に排泄されます。腸管での吸収はビタミンDによって促進され、カルシウム、マグネシウムによって抑制されます。また、消化管で吸収される一方で、消化管液としても分泌されるため、見かけの吸収率は成人で 60~70%と見積もられています。生体内のリン酸濃度は、副甲状腺ホルモンなどの働きにより、腎臓からの再吸収や、骨への沈着と骨から血液中への溶出を制御することで一定に保たれています。

 リンは骨や歯の正常な発達に不可欠な成分で、カルシウムとともにハイドロキシアパタイトとして骨や歯を構成しています。また、リン脂質として、細胞膜の構成成分になるほか、遺伝情報を伝達するうえで重要なDNAやRNAなどの核酸、生体内でのエネルギー貯蔵物質である高エネルギーリン酸化合物(アデノシン三リン酸:ATP)、リンたんぱく質など、生体内で重要な成分の構成要素として、さまざまな代謝反応に関与しています。そのほか、体液の酸とアルカリのバランスや浸透圧の調節、心臓や腎臓の機能の維持、神経伝達などにも関与しています。

リンの1日の摂取基準量1)2)3)

 日本人の食事摂取基準(2015年版)では、1日のリンの目安量を18歳以上の男性で1,000mg、女性800mgとしています。耐容上限量は18歳以上男女ともに3,000mgと設定されています(表)。

表:リンの食事摂取基準(mg/日)
性別 男性 女性
年齢等 目安量 耐容上限量 目安量 耐容上限量
0~5(月) 120 120
6~11(月) 260 260
1~2(歳) 500 500
3~5(歳) 800 600
6~7(歳) 900 900
8~9(歳) 1,000 900
10~11(歳) 1,100 1,000
12~14(歳) 1,200 1,100
15~17(歳) 1,200 900
18~29(歳) 1,000 3,000 800 3,000
30~49(歳) 1,000 3,000 800 3,000
50~69(歳) 1,000 3,000 800 3,000
70以上(歳) 1,000 3,000 800 3,000
妊婦 800
授乳婦 800

 平成27年国民健康・栄養調査におけるリンの摂取量は989.8mgでした。食品群別の摂取量でみると、穀類(181.3mg)と魚介類(153.6mg)からの摂取がそれぞれ18.3%、15.5%と多く、次いで乳類(139.1mg)の14.1%、肉類(121.5mg)の12.3%の順でした。

リンが不足するとどうなるか1)

 リンの欠乏症状としては、脱力感、筋力低下、溶血などの症状が知られています。しかし、リンは食品中に広く分布し、さらにリン含量の高い食品が多いため不足することはほとんどありません。また、近年、血清中のリンの濃度が低いと糖尿病や高血圧などのメタボリックシンドロームの発症リスクを高める可能性を示唆する研究結果が報告されています。これらの結果については、それを否定する研究もあり、今後の研究が注目されます。

リンの過剰摂取の影響

 現在の日本の食生活では、加工食品の利用が増えていることに伴って、食品添加物として使われている各種リン酸塩の摂取が多くなっているため、リン欠乏よりもむしろリンの過剰摂取の方が問題となっています。特に腎機能に障害がある場合は、尿へのリンの排出量が減るために、血液中のリン濃度が増加するので、注意が必要です。また副甲状腺機能が低下して副甲状腺ホルモンの分泌が低下したり、成長ホルモンの分泌が亢進したり、ビタミンDが過剰に存在することによっても、リンの濃度は増加します。

 リンの摂り過ぎはカルシウムの吸収を妨げ、カルシウムの摂り過ぎはリンの吸収を妨げます。そのためカルシウムとリンの摂取比率は、ほぼ同量が望ましいとされています。加工食品の摂取が多い場合には注意が必要です。

リンを多く含む食品4)

 リンは牛乳・乳製品、卵黄、小魚類、豆類、肉類、ぬかや胚芽などに多く含まれています。大豆(乾燥)50gで290mg、ワカサギ生80g(3~4尾)で280mg、プロセスチーズ30gで219mg含まれます。

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)総論 ミネラル(多量ミネラル) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 平成27年国民健康・栄養調査 厚生労働省 (PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 食品成分データベース 日本食品標準成分表2015年版 文部科学省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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