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ビオチンの働きと1日の摂取量

ビオチンとは

 ビオチンはビタミンB群に属する水溶性のビタミンで、オランダの研究者ケーグルが、酵母の増殖に必要な因子として発見され、ビオチンと名づけられました。また、その後、マウスによる研究により、皮膚の炎症を防止する因子であることが発見され、ビタミンHと名づけられました。現在は、最初に発見されたときのビオチンという名前が一般的です。水やアルコールに溶けやすく、熱、光、酸に対しては安定ですが、アルカリに対しては不安定です。 

ビオチンの吸収と働き1)

 ビオチンは、生体内では、ほとんどがたんぱく質と結合した状態で存在します。消化の過程でたんぱく質が分解すると、ビオチンが遊離し、主に空腸から吸収されます。

 体内では、ビオチンは糖代謝に関与するピルビン酸カルボキシラーゼ、脂肪酸代謝に関与するアセチルCoAカルボキシラーゼやプロピオニルCoAカルボキシラーゼ、アミノ酸の代謝に関与する3-メチルクロトノイルCoAカルボキシラーゼの補酵素として、エネルギーをつくりだす手助けをしています。また、皮膚や粘膜の維持、爪や髪の健康に深く関わっているビタミンで、不足するとアトピー性皮膚炎や脱毛などの皮膚症状や食欲不振、うつなどの症状が現れます。

ビオチンの1日の摂取基準2)

 日本人の食事摂取基準(2015年版)では、ビオチンの一日の摂取の目安量を18歳以上の男女とも50㎍としています。水溶性ビタミンであり、過剰に摂取しても尿として排出されやすく、過剰摂取による健康被害が報告されていないことから、耐容上限量は設定されていません(表)。

表:ビオチンの食事摂取基準(㎍/日)2)
性別男性女性
年齢等目安量目安量
0~5(月) 4 4
6~11(月) 10 10
1~2(歳) 20 20
3~5(歳) 20 20
6~7(歳) 25 25
8~9(歳) 30 30
10~11(歳) 35 35
12~14(歳) 50 50
15~17(歳) 50 50
18~29(歳) 50 50
30~49(歳) 50 50
50~69(歳) 50 50
70以上(歳) 50 50
妊婦 50
授乳婦 50
  • 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。

ビオチンが不足するとどうなるか1)

 ビオチンは、糖の代謝に必要なピルビン酸カルボキシラーゼの補酵素です。ピルビン酸カルボキシラーゼは、ピルビン酸から、肝臓や腎臓での糖新生に必須のオキサロ酢酸を作り出す酵素です。そのため、ビオチンが欠乏しオキサロ酢酸が十分に作られないと、糖代謝が正常に行われず、乳酸が蓄積して血液が酸性になる乳酸アシドーシスになります。

 また、ビオチンが不足すると、リウマチ、シェーグレン症候群、クローン病などの免疫不全症のほか、インスリンの分泌能が低下し1型および2型の糖尿病のリスクが高まることが知られています。そのほか、乾いた鱗状の皮膚炎、 萎縮性舌炎、食欲不振、むかつき、吐き気、憂鬱感、顔面蒼白、性感異常、前胸部の痛みなど、さまざまな症状が現れます。

 ビオチンはいろいろな食品に含まれているうえに、腸内細菌によっても合成されるので、通常の食生活では欠乏することはないと考えられます。しかし、遺伝的に体内でビオチンを再生して再利用するための酵素や、ビオチンを活性化するための酵素が欠損している場合は、欠乏症状が現れます。

 ビオチンの過剰摂取による健康被害は報告されていません。遺伝的なビオチン欠乏患者には、200mg/日の大量のビオチンを経口投与していますが、これらの患者においても、健康被害が出ているという報告はありません。

ビオチンを多く含む食品3)

 ビオチンは、レバー、卵黄の他、ししゃもやアサリなどの魚介類、しいたけやマイタケなどのキノコ類、ピーナッツなどのナッツ類に多く含まれています。

ビオチンを多く含む食品の卵黄の写真。多量の生卵を摂取した場合は、卵白中のアビジンという物質がビオチンと結合して吸収を妨げ欠乏することがあります。ビオチンとはビタミンB群に属する水溶性のビタミンで糖の代謝に必要なピルビン酸カルボキシラーゼの補酵素です。一日の摂取量は18歳以上の男女とも50㎍で過剰摂取による健康被害の心配はありません。
ビオチンを多く含む食品のあさりの写真。
ビオチンを多く含む食品のしいたけ・しめじ・エリンギ・マイタケなどのきのこ類の写真。

 多量の生卵を摂取した場合には、卵白中のアビジンという物質がビオチンと結合して吸収を妨げ、欠乏することがあります。しかし、卵を加熱することにより、アビジンが変性し、その影響を抑えることができますので、生卵を大量に摂取しない限り欠乏の心配はいらないでしょう。

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)総論 ビタミン(水溶性ビタミン) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. ビタミン 農林水産省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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