健康長寿ネット

健康長寿ネットは高齢期を前向きに生活するための情報を提供し、健康長寿社会の発展を目的に作られた公益財団法人長寿科学振興財団が運営しているウェブサイトです。

三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量

たんぱく質とは

 たんぱく質とはアミノ酸が多数結合した高分子化合物で、筋肉や臓器など体を構成する要素として非常に重要なものです。また、それだけでなく、たんぱく質は、アミノ酸の組み合わせや種類、量などの違いによって形状や働きが異なり、酵素やホルモン、免疫物質としてさまざまな機能を担っています。

たんぱく質の構成1)

 たんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されています。アミノ酸のうち、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンの9種類は、体内で必要量を合成できないため、食事から摂取する必要があります。これらのアミノ酸を必須アミノ酸といいます。体内で合成できる、非必須アミノ酸はグリシン、アラニン、グルタミン酸、グルタミン、セリン、アスパラギン酸、アスパラギン、チロシン、システイン、アルギニン、プロリンの11種類です。

必須アミノ酸

 バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン

非必須アミノ酸

 グリシン、アラニン、グルタミン酸、グルタミン、セリン、アスパラギン酸、アスパラギン、チロシン、システイン、アルギニン、プロリン

たんぱく質の吸収と働き1)

 たんぱく質はアミノ酸に分解されて、吸収された後、体に必要なたんぱく質に再合成されます。ヒトの体の中には数万種類ものたんぱく質があり、それぞれが、異なる役割を持っています。酵素やホルモンとして代謝や体の機能を調節するもの、ヘモグロビンやトランスフェリンなど物質の輸送に関与するもの、γ-グロブリンなど免疫に関与するもの、アクチンやミオシンなど体を構成するものなど、どれも、生きていくためには欠かすことのできないものです。

 また、アミノ酸も、たんぱく質を構成するだけでなく、神経伝達物質やビタミンなどの生理活性物質の前駆体としても重要です。

たんぱく質の1日の摂取基準量1)2)

 日本人の食事摂取基準によると、一日に必要なたんぱく質は摂取エネルギーの13~20%が理想とされており、推奨量は、成人男性は一日60g、成人女性は一日50gとなっています(表1)。

表1:たんぱく質の食事摂取基準2)(推定平均必要量、推奨量、目安量:g/日、目標量(中央値):%エネルギー)
性別男性女性
年齢等推定平均必要量推奨量目安量目標量a(中央値b推定平均必要量推奨量目安量目標量a(中央値b
0~5(月)c 10 10
6~8(月)c 15 15
9~11(月)c 25 25
1~2(歳) 15 20 13~20(16.5) 15 20 13~20(16.5)
3~5(歳) 20 25 13~20(16.5) 20 25 13~20(16.5)
6~7(歳) 25 35 13~20(16.5) 25 30 13~20(16.5)
8~9(歳) 35 40 13~20(16.5) 30 40 13~20(16.5)
10~11(歳) 40 50 13~20(16.5) 40 50 13~20(16.5)
12~14(歳) 50 60 13~20(16.5) 45 55 13~20(16.5)
15~17(歳) 50 65 13~20(16.5) 45 55 13~20(16.5)
18~29(歳) 50 60 13~20(16.5) 40 50 13~20(16.5)
30~49(歳) 50 60 13~20(16.5) 40 50 13~20(16.5)
50~69(歳) 50 60 13~20(16.5) 40 50 13~20(16.5)
70以上(歳) 50 60 13~20(16.5) 40 50 13~20(16.5)
妊婦(付加量)初期 +0 +0
妊婦(付加量)中期 +5 +10
妊婦(付加量)後期 +20 +25
授乳婦(付加量) +15 +20
  1. 範囲については、おおむねの値を示したものである。
  2. 中央値は、範囲の中央値を示したものであり、もっとも望ましい値を示すものではない。
  3. 乳児の目安量は、母乳栄養児の値である。
  • 推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量。
  • 推奨量:ほとんどの人が必要量を満たす量。
  • 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
  • 目標量:生活習慣病の予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量。

良質のたんぱく質を含む食品とは?

 たんぱく質の摂取に関して、摂取量の他にもう一つ重要なのは、摂取するたんぱく質の質です。よく、「高齢者は、良質のたんぱく質を摂取しましょう」と言われますが、良質のたんぱく質とはどのようなものでしょうか。

 体の中で必要なたんぱく質を合成する際には、それぞれ構成するアミノ酸が決まっていますので、それに必要なアミノ酸がそろっていなければ、十分なたんぱく質を合成することができません。特に、必須アミノ酸は、体内では合成できないため、必要な分を食品から摂取しなければなりません。その必須アミノ酸がバランスよく含まれている食品が、良質のたんぱく質を含む食品というわけです。

 良質のたんぱく質の指標になるものが、体たんぱく合成に理想的なアミノ酸組成を示した、アミノ酸評点パターンです(表2)。たんぱく質の栄養価は、各必須アミノ酸について、評点パターンの数値を100としたときの割合で求められます。その食品の中で最も低いアミノ酸(第一制限アミノ酸)の値が、アミノ酸スコアとよばれ、その食品のたんぱく質の栄養価となります。

表2:18歳以上のアミノ酸評点パターン(mg/g たんぱく質)1)
HisIleLeuLysSAAAAAThrTrpVal合計
15 30 59 45 22 38 23 6.0 39 277

His:ヒスチジン, Ile:イソロイシン, Leu:ロイシン, Lys: リシン, SAA:含硫アミノ酸, AAA:芳香族アミノ酸, Thr:トレオニン, Trp:トリプトファン, Val:バリン

 アミノ酸スコアは一般に肉、魚、卵、大豆、乳類で良好です。穀類の精白米や小麦は、リジン少なく、アミノ酸スコアが低くなります。しかし、穀類はリジンが豊富な動物性食品や豆類と一緒にとることで、必須アミノ酸のバランスがよくなります。

たんぱく質が不足するとどうなる3)

 たんぱく質は、体を作る構成要素であるだけでなく、酵素やホルモンなど体の機能を調節する大切な役割を果たしているため、不足すると、免疫機能が低下して抵抗力が弱くなり、さまざまな病気にかかりやすくなります。また、たんぱく質が不足すると筋力も低下します。特に、高齢者は、肉や魚の摂取量が少なくなり、たんぱく質が不足しがちなので、意識して、摂るように心がけましょう。歯が悪い人や飲み込む力の弱い人は、ひき肉を使う、材料を軟らかく煮る、飲み込みやすくとろみをつけるなどの工夫をするとよいでしょう。

たんぱく質を多く含む食品4)

たんぱく質を多く含む食品で、肉・魚・卵・乳製品を表す写真。たんぱく質は、アミノ酸が多数結合した高分子化合物で、筋肉や臓器など体を構成する要素として非常に重要です。アミノ酸の組み合わせや種類、量などの違いによって形状や働きが異なり、酵素やホルモン、免疫物質としてさまざまな機能を担っています。

 たんぱく質は、肉類・魚介類・卵・乳製品など動物性の食品のほか、豆類・穀類など植物性食品に多く含まれています。一般的に、動物性食品に含まれるたんぱく質の方が、アミノ酸スコアの高い良質のたんぱく質が多いですが、特定の食品に偏らないように、それぞれのたんぱく質をバランスよく食べるようにしましょう。

たんぱく質を何からどれくらい食べたらよいのか

 たんぱく質を1日に何からどのくらい食べたらよいか摂取量の目安は、厚生労働省と農林水産省が作成した「食事バランスガイド」が参考になります。食事バランスガイドの活用法、1日の摂取量の目安について詳しくはリンク1、2をご覧ください。

リンク1 食事バランスガイドの活用法

リンク2 主菜(肉・魚・卵・大豆料理)の摂取量の目安

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)総論 たんぱく質 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. NHKクローズアップ現代、高齢者こそ肉を?! ~見過ごされる高齢者の"栄養失調"~ NHK(2013年11月12日(火)放送) (外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. たんぱく質 農林水産省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

このページについてご意見をお聞かせください

関連記事