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ナトリウムの働きと1日の摂取量

公開日:2016年7月25日 21時43分
更新日:2020年5月22日 13時00分

ナトリウムとは

 ナトリウムは成人の体内に約100g含まれている元素で、主に細胞の外側に存在し、細胞内外のミネラルのバランスを保つためには不可欠の元素です。食塩(塩化ナトリウム)、重炭酸塩、リン酸塩として、約50%は細胞外液中に、40%は骨格に存在し、細胞内液中にはわずかに含まれるだけです。

ナトリウムの吸収と働き1)

 ナトリウムはナトリウムイオンと塩素イオンが結合した食塩の形で摂取されることが多く、小腸で吸収された後、大部分が腎臓から尿中へ排泄されます。体内のナトリウム量は腎臓での再吸収量の調節によって維持されています。

 ナトリウムはカリウムとともに体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持しているほか、酸・塩基平衡、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収・輸送などにも関与しています。また、水分を保持しながら細胞外液量や循環血液の量を維持し、血圧を調節しています。ナトリウムを過剰にとると、この液量が増大するため血圧が上がったり、むくみを生じたりします。そのほかに、胆汁、膵液、腸液などの材料でもあります。

ナトリウムの1日の摂取基準量1)2)

 日本人の食事摂取基準(2015年版)では、ナトリウムの排泄量から換算された18歳以上の男女共通1日推定平均必要量を、600㎎(食塩相当量1.5g)と見積もっています(食塩相当量はナトリウムに2.54を乗じて算出します。つまり、食塩に換算すると0.6g×2.54=1.5gということになります)。

 しかしながら、日本人の通常の食生活を考慮すると、1日に1.5gの食塩量というのは、現実的な数値ではありません。そこで、生活習慣病の一次予防を目的として日本人が当面の目標とすべき食塩の摂取量は、日本の食文化、現状の摂取量を考慮して、18歳以上女性では1日7.0g未満、男性では8.0g未満とされています(表1)。

表1:ナトリウムの食事摂取基準 (㎎/日、( )は食塩相当量[g/日])2)
性別男性女性
年齢等推定平均必要量目安量目標量推定平均必要量目安量目標量
0~5(月) 100(0.3) 100(0.3)
6~11(月) 600(1.5) 600(1.5)
1~2(歳) (3.0未満) (3.5未満)
3~5(歳) (4.0未満) (4.5未満)
6~7(歳) (5.0未満) (5.5未満)
8~9(歳) (5.5未満) (6.0未満)
10~11(歳) (6.5未満) (7.0未満)
12~14(歳) (8.0未満) (7.0未満)
15~17(歳) (8.0未満) (7.0未満)
18~29(歳) 600(1.5) (8.0未満) 600(1.5) (7.0未満)
30~49(歳) 600(1.5) (8.0未満) 600(1.5) (7.0未満)
50~69(歳) 600(1.5) (8.0未満) 600(1.5) (7.0未満)
70以上(歳) 600(1.5) (8.0未満) 600(1.5) (7.0未満)
妊婦
授乳婦
  • 推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量。
  • 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
  • 目標量:生活習慣病の予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量。

ナトリウムが不足するとどうなるか1)3)4)

 ナトリウムは通常の食生活であれば欠乏することはありません。しかし、多量の発汗、激しい下痢の場合には欠乏し、疲労感、血液濃縮、食欲不振を起こします。近年の地球温暖化の影響による熱中症が問題になっていますが、熱中症対策としては、水分だけでなく適度な塩分の摂取は必要です。

ナトリウムの過剰摂取による問題

 現在の日本人の食生活では、摂取不足よりもむしろナトリウムの過剰摂取による高血圧やがんを主とする生活習慣病が問題となっています。日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン(JSH2014)では、食塩摂取量として1日6g以下が推奨されています。また、腎臓に障害がある場合も、塩分の6g以下の塩分制限が必要です、しかし健康に特に問題のない高齢者の場合は、無理な減塩は食欲低下や脱水症状を起こすことがありますので、極端な塩分制限には注意が必要です。

 平成27年国民健康・栄養調査における食塩の1日の摂取量は平均すると9.7gでした。食品群別摂取量を見ると、6.5g(67.0%)は調味料からの摂取で、しょうゆ1.7g(17.5%)、味噌1.2g(12.3%)、塩1.3g(13.4%)、その他の調味料2.1g(21.6%)でした。

ナトリウムを多く含む食品

 ナトリウムは、塩、しょうゆ、みそなどの食塩(塩化ナトリウム)を含む調味料の他、ハム、ウインナー、練り製品、即席めんなどの加工食品や野菜の漬け物などにも多く含まれています。また、うま味調味料などの食品添加物の多くには、グルタミン酸ナトリウムなどのナトリウム塩の形でナトリウムが含まれています。汁物にも食塩は多く含まれるので、具だくさんのみそ汁にしたり、ラーメンやうどんなどを食べるときは、汁を半分残すようにしたりしましょう。

 一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品で、日常的によく摂取する食品に含まれるナトリウム量と食塩相当量について表2にまとめました。

塩化ナトリウムを含む調味料、塩・しょうゆ・味噌の写真。
表2:食品に含まれるナトリウム量と食塩相当量5)6)より作成
食品群食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
ナトリウム(㎎)食塩相当量(g)単位重量
調味料及び香辛料類食塩 39,000 99.5 小さじ1 6g
うすくちしょうゆ 6,300 16.0 小さじ1 6g
こいくちしょうゆ 5,700 14.5 小さじ1 6g
だし入りみそ 5,600 14.1 小さじ1 6g
減塩みそ 4,100 10.3 小さじ1 6g
めんつゆ 三倍濃厚 3,900 9.9 小さじ1 5g
肉類生ハム 促成 1,100 2.8 1枚 15g
ロースハム 1,000 2.5 1枚 20g
ベーコン 800 2.0 1枚 17g
ウインナーソーセージ 730 1.9 1本 20g
魚介類蒸しかまぼこ 1,000 2.5 1切れ(5㎜厚さ) 8g
かに風味かまぼこ 850 2.2 1本 10g
焼き竹輪 830 2.1 1本(大) 70g
魚肉ソーセージ 810 2.1 1本 75g
はんぺん 590 1.5 1枚(大) 100g
穀類即席中華めん 油揚げ味付け(添付調味料等を含む) 2,500 6.4 1人分 78g
中華スタイル即席カップめん 油揚げ 焼きそば(添付調味料等を含む) 1,500 3.8 1人分 128g
野菜類たかな漬 2,300 5.8 1人分 20g
漬物 たくあん漬 塩押しだいこん漬 1,700 4.3 1切れ 10g
漬物 ぬかみそ漬 1,500 3.8 1切れ 10g
果実類梅干し 塩漬 8,700 22.1 中1個 10g
食塩が多く含まれる即席めんの写真。汁物にも食塩は多く含まれるので、汁を半分残すなど取りすぎには注意が必要です。ナトリウムとは、主に細胞の外側に存在し、細胞内外のミネラルのバランスを保つためには不可欠な元素です。1日あたりの摂取基準値が定められていますが、現在の日本人の通常の食生活を考慮すると摂取不足よりもむしろナトリウムの過剰摂取による高血圧やがんを主とする生活習慣病が問題となっているため、摂りすぎないよう目標とすべき摂取量も定められています。
野菜の漬物の写真。

 カリウムにはナトリウムを排泄する働きがあるので、食事の時にはカリウムを豊富に含む野菜や果物を一緒にとる工夫も大事です。

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015年版)総論 ミネラル(多量ミネラル) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 高血圧治療ガイドライン(JSH2004)日本高血圧学会(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 平成27年国民健康・栄養調査 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. 日本食品標準成分表・資源に関する取組 文部科学省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  6. 香川明夫(監修):七訂 食品成分表2019. 女子栄養大学出版, 東京, 2019.

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