健康長寿ネット

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ビタミンDの働きと1日の摂取量

公開日:2016年7月25日 21時53分
更新日:2023年8月17日 13時11分

ビタミンDとは

 ビタミンDにはD2からD7の6種類ありますが、D4~D7は食品にはほとんど含まれておらず、活性も低いため、一般的には高い生理活性を示すビタミンD2(エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(コレカルシフェロール)の2つに大別されます。

 また、ビタミンD3は、ヒトの皮膚に存在するプロビタミンD3(7-デヒドロコレステロール、プロカルシフェロール)が、紫外線に当たることによって生成した、プレビタミンD3(プレカルシフェロール)からも生成されます。

 ビタミンD2もしいたけに含まれるプロビタミンD2(エルゴステロール)からも生成されます。

ビタミンDの吸収と働き1)

 ヒトを含む哺乳動物では、ビタミンD2とビタミンD3はほぼ同等の生理的な効力をもっています。ビタミンDは肝臓と腎臓を経て活性型ビタミンDに変わり、主に体内の機能性たんぱく質の働きを活性化させることで、さまざまな作用を及ぼします。ビタミンDの生理作用の主なものに、正常な骨格と歯の発育促進が挙げられます。また、小腸でのカルシウムとリンの腸管吸収を促進させ、血中カルシウム濃度を一定に調節することで、神経伝達や筋肉の収縮などを正常に行う働きがあります。

ビタミンDの1日の摂取基準量1)2)

 日本人の食事摂取基準(2020年版)では1日の摂取の目安量が、18歳以上の男女ともに8.5㎍(マイクログラム)、耐用上限量が100㎍と設定されています(表1-1、1-2)。

表1-1:ビタミンDの食事摂取基準(男性)(㎍/日)a,1)
年齢等目安量耐容上限量
0~5(月) 5.0 25
6~11(月) 5.0 25
1~2(歳) 3.0 20
3~5(歳) 3.5 30
6~7(歳) 4.5 30
8~9(歳) 5.0 40
10~11(歳) 6.5 60
12~14(歳) 8.0 80
15~17(歳) 9.0 90
18~29(歳) 8.5 100
30~49(歳) 8.5 100
50~64(歳) 8.5 100
65~74(歳) 8.5 100
75以上(歳) 8.5 100
表1-2:ビタミンDの食事摂取基準(女性)(㎍/日)a,1)
年齢等目安量耐容上限量
0~5(月) 5.0 25
6~11(月) 5.0 25
1~2(歳) 3.5 20
3~5(歳) 4.0 30
6~7(歳) 5.0 30
8~9(歳) 6.0 40
10~11(歳) 8.0 60
12~14(歳) 9.5 80
15~17(歳) 8.5 90
18~29(歳) 8.5 100
30~49(歳) 8.5 100
50~64(歳) 8.5 100
65~74(歳) 8.5 100
75以上(歳) 8.5 100
妊婦 8.5
授乳婦 8.5
  1. 日照により皮膚でビタミンDが産生されることを踏まえ、フレイル予防を図る者はもとより、全年齢区分を通じて、日常生活において可能な範囲内での適度な日光浴を心掛けるとともに、ビタミンDの摂取については、日照時間を考慮に入れることが重要である。
  • 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
  • 耐容上限量:過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量。
  • 摂取基準量の単位㎍は100万分の1グラムを表します。

 令和元国民健康・栄養調査によると、日本人のビタミンDの平均摂取量は6.9㎍です。食品群別の摂取量を見ると、魚介類からの摂取量が最も多く、次いで卵類、きのこ類と肉類と乳類の順に摂取されています。

 日照に恵まれている日本では、健常人が適度な日光のもとで通常の生活をしている場合、ビタミンDが不足することは少ないと考えられます。しかし、高齢者では、皮膚におけるビタミンD産生能力が低下することに加え、屋外での活動量減少により日光照射を受ける機会が減少する場合もあり、通常よりも多くのビタミンDを食事から摂取する必要があることが指摘されています。日ごろ、日光に当たる機会が少ないと感じている人は、意識して食事からビタミンDを摂取することすることが大切になるでしょう。

ビタミンDが不足するとどうなるか1)

 ビタミンDが欠乏すると、腸管からのカルシウム吸収の低下と腎臓でのカルシウム再吸収が低下し、カルシウムが不足して低カルシウム血症となります。そのため、骨の軟化がおこり、成人、特に妊婦や授乳婦では骨軟化症になります。また、小児の場合は骨の成長障害が起こり、姿勢が悪くなったり、足の骨が曲がったり、くる病になったりします。骨量が低下している高齢者の場合は、骨粗鬆症になりやすくなり、骨折による寝たきりのリスクが高くなります。

ビタミンDの過剰摂取の問題

 ビタミンDも、脂溶性ビタミンのため過剰摂取による健康障害が知られています。ビタミンDをとりすぎると、高カルシウム血症が起こり、血管壁や腎臓、心筋、肺などに多量のカルシウムが沈着します。そのため腎機能障害や食欲不振、嘔吐、神経の興奮性の亢進などの症状が現れます。

ビタミンDを多く含む食品

 ビタミンDは、きのこ類、魚介類、卵類、乳類に多く含まれています。

 一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品で、調理しやすく、日常的に摂取しやすい食品からビタミンDを多く含む食品を表2から表5にまとめました。

 ビタミンDは脂溶性なので、脂質を含む動物性食品から摂取したほうが吸収されやすいのですが、きのこ類でも炒め物や揚げ物にして油とともに摂取することで吸収率を上げることができます。

表2:きのこ類に含まれるビタミンD量(㎍)(可食部100g当たり)3)4)より作成
食品名ビタミンD(㎍)食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量)
きくらげ 乾 85.0 乾10個:5g
乾しいたけ 乾 17.0 大1個:5g
まいたけ 生 4.9 1パック:100g
エリンギ 生 1.2 1本:30~40g
えのきたけ 生 0.9 1袋:100g
ぶなしめじ 生 0.5 1パック:100g
生しいたけ 原木栽培 生 0.4 1枚:10~30g
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(いしづき)を除いたものです。
ビタミンD2を多く含むきくらげ・しいたけ・しめじなどのきのこ類の写真。
表3:魚介類に含まれるビタミンD量(㎍)(可食部100g当たり)3)4)より作成
食品名ビタミンD(㎍)食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量)
あんこう きも 生 110.0 1人分:60g
しらす干し 半乾燥品 61.0 大さじ1:5g
べにざけ 生 33.0 1切れ:80~150g
まいわし 生 32.0 1尾:80g
しろさけ 生 32.0 1切れ:80~150g
にしん 生 22.0 1尾:300g
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(頭部、内臓、骨、ひれなど)を除いたものです。
ビタミンD3が多く含まれるイワシの写真。日本人の1日あたりの摂取量は、摂取の基準を満たしていますが、そのうち、魚介類からの摂取が多くを占めているようです。過剰摂取による健康障害が知られていますので、摂りすぎには注意が必要です。
表4:卵類に含まれるビタミンD量(㎍)(可食部100g当たり)3)4)より作成
食品名ビタミンD(㎍)食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量)
鶏卵 卵黄 生 12.0 1個:16g
鶏卵 全卵 生 3.8 1個(Mサイズ殻付):60g
うずら卵 全卵 生 2.5 1個:10~12g
表5:乳類に含まれるビタミンD量(㎍)(可食部100g当たり)3)4)より作成
食品名ビタミンD(㎍)食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量)
普通牛乳 0.3 コップ1杯:200g
ナチュラルチーズ パルメザン 0.2 大さじ1:6g
ナチュラルチーズ カマンベール 0.2 1切れ:18g
ナチュラルチーズ モッツァレラ 0.2 1切れ:18g

食品に含まれる成分について

 食品に含まれる成分は、食品成分データベース 文部科学省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)から検索が行えます。

 食品成分データベースは、「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をデータソースとして、食品成分に関するデータをインターネットを通じて提供しているものです。

 下記のようなさまざまな情報を知ることができます。

  • 日・月・年単位の期間内で検索の多い食品のアクセスランキング
  • 各栄養素を多く含む食品成分ランキング
  • 食品群名/食品名、可食部100gあたりの成分表(一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等)など食品の詳細について掲載。重量を変更し、お好みの量で表示が可能
  • 日常の食生活において複数の食品を組み合わせた場合の成分値の表示が可能

複数の食品の成分を検索する方法

 複数の食品の成分を検索する方法についてご紹介します。

  1. 「フリーワードで検索」において食品名を入力するとワードに合致する食品がチェックリストで表示されます。本来検索したい食品以外も表示される場合がありますので、該当する食品を選択してください。
  2. 検索結果で表示される成分項目は、一般成分の基本成分である廃棄率、エネルギー(kcal)、水分、たんぱく質、脂質、炭水化物、灰分です。一般成分の基本成分のみの表示は、「結果を表示」ボタンを押してください。重量は変更ができますので、摂取する量を入力し重量換算を行ってください。
    ※灰分:
    一定条件下で灰化して得られる残分で、食品中の無機質の総量を意味する。また、水分とともにエネルギー産生に関与しない一般成分として、各成分値の分析の確からしさを検証する際の指標のひとつとなる。食品成分表に記載される数値の測定規準としては、550℃で残存炭素がなくなり、恒量となるまで灰化すると規定されている。
  3. 一般成分に追加して表示したい成分がある場合は、「表示成分選択」ボタンから、食品を追加したい場合は「フリーワードで検索」ボタンから検索し、追加することができます。

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2020年版) ビタミン(脂溶性ビタミン) 厚生労働省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 令和元年国民健康・栄養調査 厚生労働省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 日本食品標準成分表・資源に関する取組 文部科学省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 香川明夫(監修):八訂 食品成分表2021. 女子栄養大学出版部, 東京, 2021.

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