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葉酸の働きと1日の摂取量

公開日:2016年7月25日 21時47分
更新日:2021年6月24日 11時33分

葉酸とは

 葉酸はプテロイルモノグルタミン酸および、その派生物の総称です。水溶性ビタミンでビタミンB群に属します。植物の葉に多く含まれ、黄色結晶で光や熱に不安定な物質です。ビタミンB12とともに赤血球を作るので「造血のビタミン」といわれています。

葉酸の吸収と働き1)

 食品中では、葉酸はほとんどがポリグルタミン酸型として存在しています。調理や消化の過程で、モノグルタミン酸型に変換されて小腸から吸収されます。細胞内では、再びポリグルタミン酸型となり、補酵素として機能します。

 葉酸は、ビタミンB12とともに赤血球の生産を助けるビタミンです。また、代謝に関与しており、DNAやRNAなどの核酸やたんぱく質の生合成を促進し、細胞の生産や再生を助けることから、体の発育にも重要なビタミンです。葉酸は細胞の分裂や成熟を大きく左右するため、特に胎児にとっては重要な栄養成分であるといえます。妊婦が葉酸を十分に摂取することで、胎児の先天異常である神経管閉鎖障害のリスクを減らすことができます。

 最近の研究により、ビタミンB12と葉酸が、動脈硬化の危険因子と考えられているホモシステインを、メチオニンに変換する反応を助けることが示唆されました。さらに、メチオニンは血中のコレステロール値を低下させる可能性があると考えられています。これらの研究の結果から、ビタミンB12や葉酸の摂取が、虚血性心疾患の予防に効果があるのではないかと期待されており、さらなる研究が進められているところです2)

葉酸の1日の摂取基準3)4)

 日本人の食事摂取基準(2020年版)では、葉酸の一日の摂取の推奨量を18歳以上の男女ともに240㎍とされています。妊娠を計画している、あるいは妊娠している女性は、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減するために、一日240㎍の追加摂取が推奨されています(表1)。

 通常の食事をしている場合は、過剰摂取による健康障害の心配はまずありません。しかし、ビタミンB12が不足している人が、サプリメントなどで葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)を過剰に摂取すると、ビタミンB12欠乏による大赤血球性貧血の発生を隠してしまい、ビタミンB12欠乏による重篤な疾病である後外側脊髄変性の発見が遅れる危険があります。そのため、男女ともに18~29歳で900㎍、30~64歳で1000㎍、65歳以上で900㎍の耐容上限量が設定されています(表1)。

表1:葉酸の食事摂取基準(㎍/日)a,3)
性別男性女性
年齢等推定平均必要量推奨量目安量耐容上限量b推定平均必要量推奨量目安量耐容上限量b
0~5(月) 40 40
6~11(月) 60 60
1~2(歳) 80 90 200 90 90 200
3~5(歳) 90 110 300 90 110 300
6~7(歳) 110 140 400 110 140 400
8~9(歳) 130 160 500 130 160 500
10~11(歳) 160 190 700 160 190 700
12~14(歳) 200 240 900 200 240 900
15~17(歳) 220 240 900 200 240 900
18~29(歳) 200 240 900 200 240 900
30~49(歳) 200 240 1,000 200 240 1,000
50~64(歳) 200 240 1,000 200 240 1,000
65~74(歳) 200 240 900 200 240 900
70以上(歳) 200 240 900 200 240 900
妊婦(付加量)c,d +200 +240
授乳婦(付加量) +80 +100
  1. プテロイルモノグルタミン酸(分子量 =441.40)の重量として示した。
  2. 通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(狭義の葉酸)に適用する。
  3. 妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性及び妊娠初期の妊婦は、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(狭義の葉酸)を400㎍/日摂取することが望まれる。
  4. 付加量は、中期及び後期にのみ設定した。

 令和元年国民健康・栄養調査における日本人の葉酸の摂取量は一日に平均して289.0㎍でした。食品群別摂取量の調査では、野菜(108.0㎍)からの摂取が最も多く、全体の37.4%を占めています。

葉酸が不足するとどうなるか1)

 葉酸が欠乏すると、ビタミンB12欠乏と同様に巨赤芽球性貧血を引き起こします。また、動脈硬化の引き金になる血清中のホモシステイン含量も高くなります。胎児の正常な生育にも不可欠なため、母体の葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害や無脳症を引き起こします。

 通常の食事では不足することはありませんが、成長期の子どもの場合は、成長のために葉酸が大量に消費されるので、葉酸不足による巨赤芽球性貧血(悪性貧血)が起こりやすくなると考えられます。

葉酸を多く含む食品5)

 葉酸は、藻類、肉類、し好飲料類、野菜類、卵類、乳類、豆類などに多く含まれています。

 オレンジジュースやバナナには、ポリグルタミン酸型の葉酸を、吸収可能なモノグルタミン酸型に変える酵素を阻害する化合物を含まれているため、注意が必要です。

 一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品で、調理しやすく、日常的に摂取しやすい食品から葉酸を多く含む食品を表2から表8にまとめました。

表2:藻類に含まれる葉酸量5)6)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
葉酸(㎍)単位重量
あまのり 焼きのり 1,900 1枚 2g
乾燥わかめ 素干し 440 1人分 2g
あおのり 素干し 270 小さじ1 2g
まこんぶ 素干し 240 10cm角 5g
あおさ 素干し 180 小さじ1 2g
ほしひじき 鉄釜・ステンレス釜 乾 93 大さじ1 2g
表3:肉類に含まれる葉酸量5)6)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
葉酸(㎍)単位重量
にわとり 肝臓 生 1,300 1人前 100g
うし 肝臓 生 1,000 1人前 100g
ぶた 肝臓 生 810 1人前 100g
ぶた スモークレバー 310 1食分 100g
ぶた レバーペースト 140 大さじ1 12g
にわとり 心臓 生 43 1個 15~20g
葉酸が多く含まれるレバーの写真。
表4:し好飲料類に含まれる葉酸量5)6)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
葉酸(㎍)単位重量
玉露 浸出液 150 1杯分(100㎖) 16g
せん茶 浸出液 16 1杯分(100㎖) 2.3g
紅茶 浸出液 3 1杯分(100㎖) 1.4g
  • 玉露浸出法:茶葉10g/60℃6㎖、2.5分
  • せん茶浸出法:茶葉10g/90℃430㎖、1分
  • 紅茶浸出法:茶葉5g/熱湯360㎖、1.5分~4分
表5:野菜類に含まれる葉酸量5)6)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
葉酸(㎍)単位重量
和種なばな 花らい・茎 生 340 1茎 20g
えだまめ 生 320 10さや(さやつき) 30g
モロヘイヤ 茎葉 生 250 1束 100g
パセリ 葉 生 220 1枝 15g
切干しだいこん 乾 210 1食分 10g
ほうれんそう 葉 通年平均 生 210 1株 20g
ブロッコリー 花序 生 210 1株 250g
あさつき 葉 生 210 1わ 25g
アスパラガス 若茎 生 190 1本 20g
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(野菜の皮や根、芯など)を除いたものです。
葉酸が多く含まれるほうれん草の写真。
葉酸が多く含まれるアスパラガスの写真。葉酸とはプテロイルモノグルタミン酸および、その派生物の総称です。ビタミンB12とともに赤血球の生産を助ける働きがあります。葉酸を過剰に摂取するとビタミンB12欠乏の場合による疾病の発見が遅れる場合があるため一日当たりの摂取量と上限量を守ることが大切です。
表6:卵類に含まれる葉酸量5)6)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
葉酸(㎍)単位重量
鶏卵 卵黄 生 140 1個 16g
うずら卵 全卵 生 91 1個 10~12g
鶏卵 全卵 生 43 1個(Mサイズ殻付) 60g
表7:乳類に含まれる葉酸量5)6)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
葉酸(㎍)単位重量
ナチュラルチーズ ブルー 57 1切れ 18g
ナチュラルチーズ カマンベール 47 1切れ 18g
ナチュラルチーズ チェダー 32 スライス1枚 18g
プロセスチーズ 27 1切れ 18g
ヨーグルト 無脂肪無糖 16 1カップ 210g
表8:豆類に含まれる葉酸量5)6)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
葉酸(㎍)単位重量
きな粉 全粒大豆 黄大豆 220 大さじ1 6g
糸引き納豆 120 1個 30~50g
挽きわり納豆 110 1個 30~50g
蒸し大豆 黄大豆 96 1パック 100g
豆乳 調整豆乳 31 コップ1杯 200g

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2020年版)総論 ビタミン(水溶性ビタミン) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 橋本隆男、篠原佳彦、長谷川弘:ホモシステイン代謝.薬学雑誌 2007;127巻:P1579-1592(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます) 
  3. 日本人の食事摂取基準(2020年版)の概要 厚生労働省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 令和元年国民健康・栄養調査 厚生労働省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. 日本食品標準成分表・資源に関する取組 文部科学省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  6. 香川明夫(監修):七訂 食品成分表2019. 女子栄養大学出版, 東京, 2019.

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