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ビタミンEの働きと1日の摂取量

公開日:2016年7月25日 21時52分
更新日:2020年5月22日 12時54分

ビタミンEとは1)

 ビタミンEは4種のトコフェロールと4種のトコトリエノールの合計8種類の化合物の総称です。ビタミンEには強い抗酸化性作用があり、生体膜の機能を正常に保つことや、赤血球の溶血の防止、生殖を正常に保つことに関与しています。

 トコフェロールは天然ではα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類がありますが、体内で最も多く、また生理作用が最も強いのはα-トコフェロールです。α-トコフェロールの生理作用を100とした場合、β-トコフェロールの生理作用は40、γ-トコフェロールは10、δ-トコフェロールは1とされています。

ビタミンEの吸収と働き1)

 脂溶性ビタミンであるビタミンEは、脂質とともに腸管からリンパ管を経由して体内に吸収されます。抗酸化作用が非常に強く、生体膜を構成する不飽和脂肪酸や他の脂溶性成分を酸化障害から守るために、細胞膜のリン脂質二重層内に存在しています。過酸化脂質の生成を抑制し、血管を健康に保つほか、血中のLDLコレステロールの酸化を抑制したり、赤血球の破壊を防いだりする作用もあることが知られています。また、細胞の酸化を防ぐため、老化防止にも効果があります。

ビタミンEの1日の摂取基準量1)2)3)

 ビタミンEは脂質とともに腸管からリンパ管を由αして体内に吸収されますが、体内に分布するビタミンEの大部分がα-トコフェロールであることから、食事摂取基準ではα-トコフェロールの目安量で1日に必要なビタミンE量を示しています。2015年版食事摂取基準では、1日当たりのビタミンEの摂取の目安を18歳以上の男性で6.5㎎、18歳以上の女性で6.0㎎と設定しています(表1)。

 また、ビタミンEは体内に蓄積しにくいために、通常の食事では過剰症がみられることはまずありませんが、サプリメントなどで極端に過剰摂取した場合は、健康障害がみられる可能性は否定できません。そのため、1日当たりの耐容上限量を、50~69歳の男性で850㎎、50~69歳の女性で700㎎、70歳以上の男性で750㎎、70歳以上の女性で650㎎と定めています(表1)。

表1:ビタミンEの食事摂取基準㎎/日)1)2)
性別男性女性
年齢等目安量耐容上限量目安量耐容上限量
0~5(月) 3.0 3.0
6~11(月) 4.0 4.0
1~2(歳) 3.5 150 3.5 150
3~5(歳) 4.5 200 4.5 200
6~7(歳) 5.0 300 5.0 300
8~9(歳) 5.5 350 5.5 350
10~11(歳) 5.5 450 5.5 450
12~14(歳) 7.5 650 6.0 600
15~17(歳) 7.5 750 6.0 650
18~29(歳) 6.5 800 6.0 650
30~49(歳) 6.5 900 6.0 700
50~69(歳) 6.5 850 6.0 700
70以上(歳) 6.5 750 6.0 650
妊婦 6.5
授乳婦 7.0
  1. α-トコフェロールについて算定した。α-トコフェロール以外のビタミンEは含んでいない。
  • 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
  • 耐容上限量:過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量。

 平成27年度国民健康・栄養調査によると、ビタミンEの1日の摂取量の平均値は、男性6.9㎎、女性6.4㎎となっています。日本人の食事摂取基準の目安量と比べても、平均的には十分に摂取できていると言えます。

 食品群別摂取構成比では、ビタミンEは、野菜類、種実類、魚介類から多く摂取しています。

ビタミンEが不足するとどうなるか

 ビタミンEが不足すると、神経や筋障害の症状がみられることがあります。そのため、血行も悪くなり、冷え性や頭痛、肩こりなどを起こしやすくなります。また、抗酸化力が低下するため、肌を紫外線などの刺激から守りにくくなり、シミやシワができやすくなります。また、血液中のコレステロールも酸化しやすくなるため、これが血管壁に入り込んで溜まり動脈硬化の原因につながります。

ビタミンEの過剰摂取の問題

 過剰症としては、血液が止まりにくくなることが知られていますが、実際には、摂取量の3分の2が便として排出されるため、脂溶性ビタミンの中では比較的体内に蓄積されにくく、通常の食事の範囲では過剰症はほとんど起こりません。

 近年、研究によりビタミンEの過剰摂取が骨量を減らし、骨粗鬆症のリスクを高める可能性が示唆され、注目されています4)

ビタミンEを多く含む食品

 摂取基準では、α-トコフェロールの目安量で1日に必要なビタミンE量を示しています。α-トコフェロールは、アーモンドなどの種実類、油脂類、穀類、魚介類、豆類、野菜類などに多く含まれています。

 光に弱いため、ナッツなどのビタミンEを多く含む食品を保存するときは、光を避ける必要がありますが、酸や熱には強いので調理による損失はほとんどありません。

 一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品で、調理しやすく、日常的に摂取しやすい食品からビタミンEを多く含む食品を表2から表7にまとめました。

表2:種実類に含まれるビタミンE量5)6)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
ビタミンE(㎎)単位重量
アーモンド 乾 30.3 10粒 14g
らっかせい 乾 大粒種 11.4 殻付き10粒 25g
ぎんなん 生 2.5 1粒 2~3g
らっかせい ピーナッツバター 4.8 大さじ1 10g
くるみ いり 1.2 1粒 5g
ビタミンEを多く含む食品であるアーモンド・クルミなどのナッツ類の写真。
表3:油脂類に含まれるビタミンE量5)6)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
ビタミンE(㎎)単位重量
ひまわり油(ハイリノール・ミッドオレイック・ハイオレイック) 38.7 大さじ1 12g
オリーブ油 7.4 大さじ1 12g
有塩バター 1.5 大さじ1 12g
ごま油 0.4 大さじ1 12g
表4:穀類に含まれるビタミンE量5)6)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
ビタミンE(㎎)単位重量
クロワッサン 1.9 1個 50g
アマランサス 玄穀 1.3 大さじ1 10g
雑穀混合品 五穀 0.6 小盛り1杯 100g
水稲めし 玄米 0.5 小盛り1杯 100g
ロールパン 0.5 1個 30g
食パン 0.5 1枚(6枚切り) 60g
ビタミンEを多く含む食品である雑穀の写真。ビタミンEは抗酸化作用が強く老化防止に効果がある。過剰摂取による健康障害はありませんが、サプリメントなど服用する際は1日当たりの摂取量と上限量を守ること。
表5:魚介類に含まれるビタミンE量5)6)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
ビタミンE(㎎)単位重量
うなぎ 養殖 生 7.4 中1尾 150~200g
すけとうだら たらこ 生 7.1 1腹(小) 50g
にじます 海面養殖 皮つき 生 5.5 1切れ 80~150g
ぶり はまち 養殖 皮つき 生 4.6 1切れ 80g
ぎんだら 生 4.6 1切れ 130g
めかじき 生 4.4 1切れ 100g
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(頭部、内臓、骨、ひれなど)を除いたものです。
表6:豆類に含まれるビタミンE量5)6)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
ビタミンE(㎎)単位重量
豆乳 調製豆乳 2.2 コップ1杯 200g
きな粉 全粒大豆 黄大豆 1.7 大さじ1 6g
全粒 国産 黄大豆 ゆで 1.6 1パック 100g
がんもどき 1.5 1個 95~125g
油揚げ 生 1.3 1枚 20~30g
挽きわり納豆 0.8 1個 30~50g
表7:野菜類に含まれるビタミンE量5)6)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
ビタミンE(㎎)単位重量
らっかせい 未熟豆 生 7.2 殻付き10個 25g
モロヘイヤ 茎葉 生 6.5 1束 100g
西洋かぼちゃ 果実 生 4.9 1個 1~1.5kg
赤ピーマン 果実 生 4.3 1個 100g
しそ 葉 生 3.9 10枚 7g
にら 葉 生 2.5 1束 100g
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(野菜の皮や根、芯など)を除いたものです。

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会報告書 各論 ビタミン(脂溶性ビタミン) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 平成27年国民健康・栄養調査 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. ビタミンEは骨を減らす? 竹田秀(腎臓・内分泌・代謝内科)慶應義塾大学病院KOMPAS(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. 日本食品標準成分表・資源に関する取組 文部科学省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  6. 香川明夫(監修):七訂 食品成分表2019. 女子栄養大学出版, 東京, 2019.

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