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カルシウムの働きと1日の摂取量

公開日:2016年7月25日 21時41分
更新日:2020年5月22日 13時03分

カルシウムとは

 カルシウムは、体重の1~2%(体重50㎏の成人で約1㎏)含まれており、生体内に最も多く存在するミネラルです。その99%はリン酸と結合したリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)として骨や歯などの硬組織に存在し、残り1%は血液、筋肉、神経などの軟組織にイオンや種々の塩として存在しています。

カルシウムの吸収と働き1)

 カルシウムは主に小腸で吸収されますが、吸収率は成人で20~30%とあまり高くありません。また、活性型ビタミンD、副甲状腺ホルモン、カルシトニン(甲状腺ホルモン)などの関与によって、腸管での吸収、血液から骨への沈着、骨から血液への溶出、尿中への排泄などが制御され、細胞や血液中のカルシウム濃度は一定範囲(8.5~10.4㎎/㎗)に保たれています。

 骨は約3ヶ月のサイクルで、骨形成(骨へのカルシウムなどの沈着)と骨吸収(骨からのカルシウムなどの溶出)を繰り返しています。成長期には形成量のほうが吸収量より多く骨量は増加しますが、男性では50歳代から、女性では閉経後に、吸収量のほうが形成量を上回るため骨量が減少します。

 カルシウムは、骨や歯の主要な構成成分になるほか、細胞の分裂・分化、筋肉収縮、神経興奮の抑制、血液凝固作用の促進などに関与しています。

カルシウムの1日の摂取基準量1)2)3)

 日本人の食事摂取基準(2015年版)では、国民栄養調査の摂取量、腸管からの吸収率、骨代謝(骨吸収と骨形成のバランス)、尿中排泄を考慮し、1日の推奨量を18~29歳男性で800㎎、30~49歳男性で650㎎、50歳以上の男性で700㎎、18歳以上の女性で650㎎としています(表1)。

 また、カルシウムの過剰摂取により、高カルシウム血症など健康被害がみられることから、耐容上限量は、18歳以上男女ともに1日2,500㎎と設定されています(表1)。

表1:カルシウムの食事摂取基準(㎎/日)2)
性別男性女性
年齢等推定平均必要量推奨量目安量耐容上限量推定平均必要量推奨量目安量耐容上限量
0~5(月) 250 200
6~11(月) 250 250
1~2(歳) 350 450 350 400
3~5(歳) 500 600 450 550
6~7(歳) 500 600 450 550
8~9(歳) 550 650 600 750
10~11(歳) 600 700 600 750
12~14(歳) 850 1,000 700 800
15~17(歳) 650 800 550 650
18~29(歳) 650 800 2,500 550 650 2,500
30~49(歳) 550 650 2,500 550 650 2,500
50~69(歳) 600 700 2,500 550 650 2,500
70以上(歳) 600 700 2,500 500 650 2,500
妊婦
授乳婦
  • 推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量。
  • 推奨量:ほとんどの人が必要量を満たす量。
  • 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
  • 耐容上限量:過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量。※17歳以下の耐容上限量は、十分な報告がないため設定しなかった。

 平成27年国民健康・栄養調査におけるカルシウムの一般食品からの1日の摂取量は517.3㎎でした。年代別に見ても、平均のカルシウムの摂取量は40~49歳で456㎎、50~59歳で496㎎、60~69歳で560㎎、70歳以上で567㎎と推奨量に比べてカルシウムの摂取量は不足しています。また、食品群別でみると乳類からの摂取が最も多く、次いで野菜、豆類、穀類、魚介類の順に多く摂取していました。

カルシウムが不足するとどうなるか1)

 カルシウムが不足すると、骨や歯が弱くなります。幼児では骨の発育障害が起こり、成長が悪くなります。不足状態が長期間続くと、骨密度の上昇が妨げられて丈夫な骨が形成できなくなり、高齢期、特に閉経後の女性では、骨粗鬆症が起こりやすくなります。また、神経や筋肉の興奮が高まり、テタニー(筋肉の痙攣)やてんかん(全身の痙攣)が起こります。

カルシウムの過剰摂取の影響

 カルシウムの過剰によっても、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、軟組織の石灰化、泌尿器系結石、前立腺がん、鉄や亜鉛の吸収障害、便秘などの様々な健康障害が起こります。また、亜鉛や鉄などの他のミネラルの吸収も妨げられます。日本人の通常の食品からの摂取では耐容上限量を超えることはまれと思われますが、カルシウム強化食品やサプリメントを使用する場合にとりすぎに注意が必要です。

カルシウムを多く含む食品

カルシウムが多く含まれる牛乳・乳製品、小魚、海藻の写真。カルシウムは、骨や歯の主要な構成成分になるほか、細胞の分裂・分化、筋肉収縮、神経興奮の抑制、血液凝固作用の促進などの働きがあります。一日に必要な食事摂取基準は、国民栄養調査の摂取量、腸管からの吸収率、骨代謝)、尿中排泄を考慮し定められています。

 カルシウムは、魚介類、藻類、乳類、豆類、種実類、野菜類に多く含まれます。植物性食品には、カルシウムの吸収を阻害するシュウ酸(ほうれん草に多い)、フィチン酸(豆、穀類に多い)などが含まれるので、牛乳や乳製品に比べ、カルシウムの吸収率はよくありません。また、リンや食物繊維もカルシウムの吸収を阻害します。一方、吸収を促進させるものに、ビタミンD、クエン酸、CPP(カゼイン・ホスホ・ペプチド)という牛乳中のたんぱく質などが知られています。

 効率的にカルシウムを摂取するのには牛乳や乳製品が最適です。牛乳・乳製品を中心に、小魚、海藻、豆類、野菜などの食品からバランスよくとりましょう。脂質異常症(高脂血症)などで脂質のとりすぎが気になる場合は低脂肪乳を利用したり、牛乳が苦手な場合は、チーズやヨーグルトでとったり、料理に加えたりして工夫するとよいでしょう。

 一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品で、調理しやすく、日常的に摂取しやすい食品からカルシウムを多く含む食品を表2から表7にまとめました。

表2:魚介類に含まれるカルシウム量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
カルシウム(㎎)単位重量
加工品 干しえび 7,100 大さじ1 6g
かたくちいわし 田作り 2,500 1尾 11g
みりん干し かたくちいわし 800 1尾 11g
まあじ 小型 骨付き 生 780 1尾 160g
うるめいわし 丸干し 570 1尾 40g
しらす干し 半乾燥品 520 大さじ1 5g
わかさぎ 生 450 1尾 10g
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(頭部、内臓、骨、ひれなど)を除いたものです。
表3:藻類に含まれるカルシウム量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
カルシウム(㎎)単位重量
ほしひじき 鉄釜・ステンレス釜 乾 1,000 大さじ1 2g
刻み昆布 940 1袋 約40g
カットわかめ 820 1人分 10g
あおのり 素干し 750 小さじ1 2g
あおさ 素干し 490 小さじ1 2g
表4:乳類に含まれるカルシウム量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
カルシウム(㎎)単位重量
ナチュラルチーズ パルメザン 1,300 大さじ1 6g
ナチュラルチーズ チェダー 740 スライス1枚 18g
プロセスチーズ 630 1切れ 18g
ナチュラルチーズ カマンベール 460 1切れ 18g
ナチュラルチーズ リコッタ 340 大さじ1 13g
ヨーグルト 無脂肪無糖 140 1カップ 210g
普通牛乳 110 コップ1杯 200g
表5:豆類に含まれるカルシウム量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
カルシウム(㎎)単位重量
おから 乾燥 310 大さじ1 6g
油揚げ 生 310 1枚 20~30g
生揚げ 240 1枚 120~140g
きな粉 全粒大豆 黄大豆 190 大さじ1 6g
焼き豆腐 150 1丁 300~400g
糸引き納豆 90 1個 30~50g
表6:種実類に含まれるカルシウム量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
カルシウム(㎎)単位重量
ごま いり 1,200 大さじ1 9g
ごま ねり 590 大さじ1 15g
アーモンド いり 無塩 260 10粒 14g
くるみ いり 85 1粒 5g
らっかせい バターピーナッツ 50 10粒 10g
表7:野菜類に含まれるカルシウム量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
カルシウム(㎎)単位重量
切り干しだいこん 乾 500 1食分 10g
パセリ 葉 生 290 1枝 15g
モロヘイヤ 茎葉 生 260 1束 100g
だいこん 葉 生 260 1本分(根中1本800g) 150g
かぶ 葉 生 250 1個 80g
しそ 葉 生 230 10枚 7g
こまつな 葉 生 170 1株 40g
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(野菜の皮や根、芯など)を除いたものです。

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015年版)総論 ミネラル(多量ミネラル) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 平成27年国民健康・栄養調査 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 日本食品標準成分表・資源に関する取組 文部科学省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. 香川明夫(監修):七訂 食品成分表2019. 女子栄養大学出版, 東京, 2019.

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