カルシウムの働きと1日の摂取量
公開日:2016年7月25日 04時00分
更新日:2019年8月 9日 11時30分
カルシウムとは
カルシウムは、体重の1~2%(体重50㎏の成人で約1㎏)含まれており、生体内に最も多く存在するミネラルです。その99%はリン酸と結合したリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)として骨や歯などの硬組織に存在し、残り1%は血液、筋肉、神経などの軟組織にイオンや種々の塩として存在しています。
カルシウムの吸収と働き1)
カルシウムは主に小腸で吸収されますが、吸収率は成人で20~30%とあまり高くありません。また、活性型ビタミンD、副甲状腺ホルモン、カルシトニン(甲状腺ホルモン)などの関与によって、腸管での吸収、血液から骨への沈着、骨から血液への溶出、尿中への排泄などが制御され、細胞や血液中のカルシウム濃度は一定範囲(8.5~10.4㎎/㎗)に保たれています。
骨は約3ヶ月のサイクルで、骨形成(骨へのカルシウムなどの沈着)と骨吸収(骨からのカルシウムなどの溶出)を繰り返しています。成長期には形成量のほうが吸収量より多く骨量は増加しますが、男性では50歳代から、女性では閉経後に、吸収量のほうが形成量を上回るため骨量が減少します。
カルシウムは、骨や歯の主要な構成成分になるほか、細胞の分裂・分化、筋肉収縮、神経興奮の抑制、血液凝固作用の促進などに関与しています。
カルシウムの1日の摂取基準量1)2)3)
日本人の食事摂取基準(2015年版)では、国民栄養調査の摂取量、腸管からの吸収率、骨代謝(骨吸収と骨形成のバランス)、尿中排泄を考慮し、1日の推奨量を18~29歳男性で800㎎、30~49歳男性で650㎎、50歳以上の男性で700㎎、18歳以上の女性で650㎎としています(表1)。
また、カルシウムの過剰摂取により、高カルシウム血症など健康被害がみられることから、耐容上限量は、18歳以上男女ともに1日2,500㎎と設定されています(表1)。
| 性別 | 男性 | 女性 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 |
| 0~5(月) | - | - | 250 | - | - | - | 200 | - |
| 6~11(月) | - | - | 250 | - | - | - | 250 | - |
| 1~2(歳) | 350 | 450 | - | - | 350 | 400 | - | - |
| 3~5(歳) | 500 | 600 | - | - | 450 | 550 | - | - |
| 6~7(歳) | 500 | 600 | - | - | 450 | 550 | - | - |
| 8~9(歳) | 550 | 650 | - | - | 600 | 750 | - | - |
| 10~11(歳) | 600 | 700 | - | - | 600 | 750 | - | - |
| 12~14(歳) | 850 | 1,000 | - | - | 700 | 800 | - | - |
| 15~17(歳) | 650 | 800 | - | - | 550 | 650 | - | - |
| 18~29(歳) | 650 | 800 | - | 2,500 | 550 | 650 | - | 2,500 |
| 30~49(歳) | 550 | 650 | - | 2,500 | 550 | 650 | - | 2,500 |
| 50~69(歳) | 600 | 700 | - | 2,500 | 550 | 650 | - | 2,500 |
| 70以上(歳) | 600 | 700 | - | 2,500 | 500 | 650 | - | 2,500 |
| 妊婦 | - | - | - | - | ||||
| 授乳婦 | - | - | - | - | ||||
- 推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量。
- 推奨量:ほとんどの人が必要量を満たす量。
- 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
- 耐容上限量:過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量。※17歳以下の耐容上限量は、十分な報告がないため設定しなかった。
平成27年国民健康・栄養調査におけるカルシウムの一般食品からの1日の摂取量は517.3㎎でした。年代別に見ても、平均のカルシウムの摂取量は40~49歳で456㎎、50~59歳で496㎎、60~69歳で560㎎、70歳以上で567㎎と推奨量に比べてカルシウムの摂取量は不足しています。また、食品群別でみると乳類からの摂取が最も多く、次いで野菜、豆類、穀類、魚介類の順に多く摂取していました。
カルシウムが不足するとどうなるか1)
カルシウムが不足すると、骨や歯が弱くなります。幼児では骨の発育障害が起こり、成長が悪くなります。不足状態が長期間続くと、骨密度の上昇が妨げられて丈夫な骨が形成できなくなり、高齢期、特に閉経後の女性では、骨粗鬆症が起こりやすくなります。また、神経や筋肉の興奮が高まり、テタニー(筋肉の痙攣)やてんかん(全身の痙攣)が起こります。
カルシウムの過剰摂取の影響
カルシウムの過剰によっても、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、軟組織の石灰化、泌尿器系結石、前立腺がん、鉄や亜鉛の吸収障害、便秘などの様々な健康障害が起こります。また、亜鉛や鉄などの他のミネラルの吸収も妨げられます。日本人の通常の食品からの摂取では耐容上限量を超えることはまれと思われますが、カルシウム強化食品やサプリメントを使用する場合にとりすぎに注意が必要です。
カルシウムを多く含む食品

カルシウムは表2のとおり、干しえび、小魚などの魚介類、海藻、牛乳・乳製品、豆類などに多く含まれます。他には、けしやごまなどの種実類、野菜などにも含まれます。植物性食品には、カルシウムの吸収を阻害するシュウ酸(ほうれん草に多い)、フィチン酸(豆、穀類に多い)などが含まれるので、牛乳や乳製品に比べ、カルシウムの吸収率はよくありません。また、リンや食物繊維もカルシウムの吸収を阻害します。一方、吸収を促進させるものに、ビタミンD、クエン酸、CPP(カゼイン・ホスホ・ペプチド)という牛乳中のたんぱく質などが知られています。
| 順位 | 食品名 | 成分量100gあたり㎎ |
|---|---|---|
| 1 | 魚介類/(えび類)/加工品/干しえび | 7100 |
| 2 | 魚介類/(かに類)/加工品/がん漬 | 4000 |
| 3 | 魚介類/<魚類>/とびうお/焼き干し | 3200 |
| 4 | 調味料及び香辛料類/バジル/粉 | 2800 |
| 5 | 魚介類/(いわし類)/かたくちいわし/田作り | 2500 |
| 6 | 調味料及び香辛料類/ベーキングパウダー | 2400 |
| 7 | 魚介類/(いわし類)/かたくちいわし/煮干し | 2200 |
| 8 | 魚介類/(えび類)/さくらえび/素干し | 2000 |
| 9 | 魚介類/(えび類)/加工品/つくだ煮 | 1800 |
| 10 | 調味料及び香辛料類/タイム/粉 | 1700 |
| 10 | 種実類/けし/乾 | 1700 |
| 12 | いも及びでん粉類/こんにゃく/凍みこんにゃく、乾 | 1600 |
| 13 | 魚介類/(えび類)/さくらえび/煮干し | 1500 |
| 13 | 調味料及び香辛料類/セージ/粉 | 1500 |
| 15 | 魚介類/きびなご/調味干し | 1400 |
| 16 | 魚介類/たにし/生 | 1300 |
| 16 | 調味料及び香辛料類/パセリ/乾 | 1300 |
| 16 | 乳類/(チーズ類)/ナチュラルチーズ/パルメザン | 1300 |
| 16 | 豆類/えんどう/塩豆 | 1300 |
| 20 | 魚介類/ふな/甘露煮 | 1200 |
| 20 | 魚介類/はぜ/つくだ煮 | 1200 |
| 20 | 魚介類/どじょう/水煮 | 1200 |
| 20 | 種実類/ごま/乾 | 1200 |
| 20 | 野菜類/ずいき/干しずいき、乾 | 1200 |
| 20 | 乳類/(チーズ類)/ナチュラルチーズ/エメンタール | 1200 |
| 20 | 種実類/ごま/いり | 1200 |
| 20 | 魚介類/<魚類>/とびうお/煮干し | 1200 |
| 20 | し好飲料類/青汁/ケール | 1200 |
| 20 | 調味料及び香辛料類/シナモン/粉 | 1200 |
効率的にカルシウムを摂取するのには牛乳や乳製品が最適です。牛乳・乳製品を中心に、小魚、海藻、豆類、野菜などの食品からバランスよくとりましょう。脂質異常症(高脂血症)などで脂質のとりすぎが気になる場合は低脂肪乳を利用したり、牛乳が苦手な場合は、チーズやヨーグルトでとったり、料理に加えたりして工夫するとよいでしょう。