ビタミンAの働きと1日の摂取量
公開日:2016年7月25日 10時00分
更新日:2019年8月 8日 11時27分
ビタミンAとは
ビタミンAとは、レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称で、脂溶性ビタミンに分類されます。
また、植物に含まれるβ(ベータ)-カロテンは、摂取すると、小腸上皮細胞でビタミンAに変換されるのでプロビタミンA(ビタミンA前駆体)と呼ばれ、ビタミンAの仲間に分類されます。
ビタミンAの吸収と働き1)
ビタミンAの主要な成分であるレチノールには、目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めたりする働きがあります。また、レチノールは、視細胞での光刺激反応に関与するロドプシンという物資の合成に必要なため、薄暗いところで視力を保つ働きもあります。最近ではレチノールが上皮細胞で発癌物質の効果を軽減するといわれています2)。
一方、プロビタミンAであるカロテンにはβ(ベータ)型の他にα(アルファ)型、γ(ガンマ)型、クリプトキサンチンなどがありますが、ビタミンAの効果が最も高いのはβ-カロテンです。とはいっても、β-カロテンもすべてがビタミンAに変換されるわけではなく、吸収効率やビタミンAへの変換率を考慮すると、β-カロテンはレチノールの6分の1の効力に相当すると見積もられます。
ビタミンAの1日の摂取基準量3)
ビタミンAの摂取基準には、レチノールだけでなくビタミンAの前駆体すべて合わせて、レチノール活性当量(RAE)として算出した値を用います。
レチノール活性当量は以下の式で求めます。
表1に示すように、厚生労働省発表の日本人の食事摂取基準(2015年版)によると一日当たりのビタミンAの推定平均必要量は50~69歳の男性で600㎍RAE、女性で500㎍RAE、70歳以上の男性で550㎍RAE、女性で450㎍RAE、推奨量は50~69歳の男性で850㎍RAE、女性で700㎍RAE、70歳以上の男性で800㎍RAE、女性で650㎍RAEとなっています。「推定平均必要量」は50%の人が必要量を満たす量(50%が欠乏、50%が充足)で科学的に根拠があるもの、「推奨量」はほとんどの人が必要量を満たす量(97.5%が充足)なので、推奨量を満たすことが望ましいといえます(表1)。
また、ビタミンAは脂溶性ビタミンであるため、体内に蓄積しやすく、過剰摂取の害が知られています。そのため、食事摂取基準では上限値(耐容上限量)が定められています。
| 性別 | 男性 | 女性 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 年齢等 | 推定平均必要量b | 推奨量b | 目安量c | 耐容上限量c | 推定平均必要量b | 推奨量b | 目安量c | 耐容上限量c |
| 0~5(月) | - | - | 300 | 600 | - | - | 300 | 600 |
| 6~11(月) | - | - | 400 | 600 | - | - | 400 | 600 |
| 1~2(歳) | 300 | 400 | - | 600 | 250 | 350 | - | 600 |
| 3~5(歳) | 350 | 500 | - | 700 | 300 | 400 | - | 700 |
| 6~7(歳) | 300 | 450 | - | 900 | 300 | 400 | - | 900 |
| 8~9(歳) | 350 | 500 | - | 1,200 | 350 | 500 | - | 1,200 |
| 10~11(歳) | 450 | 600 | - | 1,500 | 400 | 600 | - | 1,500 |
| 12~14(歳) | 550 | 800 | - | 2,100 | 500 | 700 | - | 2,100 |
| 15~17(歳) | 650 | 900 | - | 2,600 | 500 | 650 | - | 2,600 |
| 18~29(歳) | 600 | 850 | - | 2,700 | 450 | 650 | - | 2,700 |
| 30~49(歳) | 650 | 900 | - | 2,700 | 500 | 700 | - | 2,700 |
| 50~69(歳) | 600 | 850 | - | 2,700 | 500 | 700 | - | 2,700 |
| 70以上(歳) | 550 | 800 | - | 2,700 | 450 | 650 | - | 2,700 |
| 妊婦(付加量)初期 | +0 | +0 | - | - | ||||
| 妊婦(付加量)中期 | +0 | +0 | - | - | ||||
| 妊婦(付加量)後期 | +60 | +80 | - | - | ||||
| 授乳婦(付加量) | +300 | +450 | - | - | ||||
- レチノール活性当量(㎍RAE)=レチノール(㎍)+β-カロテン(㎍)×1/12+α-カロテン(㎍)×1/24+β-クリプトキサンチン(㎍)×1/24+その他のプロビタミン A カロテノイド(㎍)×1/24
- プロビタミン A カロテノイドを含む。
- プロビタミン A カロテノイドを含まない。
- 推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量。
- 推奨量:ほとんどの人が必要量を満たす量。
- 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
- 耐容上限量:過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量。
ビタミンAが不足するとどうなるか1)
ビタミンAが不足すると暗順応障害が起こり薄暗いところでものが見にくくなり、やがて夜盲症になります。また、角膜や結膜上皮が乾燥し、角質化するほか、皮膚や粘膜でも、乾燥、肥厚、角質化が起こります。小児の場合は成長が停止する場合もあります。
反対に脂溶性ビタミンである、ビタミンAは過剰に摂取しても、健康障害が起こることが知られています。ビタミンA過剰症の症状として、頭痛が特徴的であるほか、急性の過剰症としては脳脊髄液圧の上昇や、慢性的な過剰症として、頭蓋内圧亢進症や皮膚のはげ落ち、口唇炎、脱毛症、食欲不振、筋肉痛などの症状が見られることが知られています。
ビタミンAの過剰症は通常の食事ではほとんど起こりませんが、サプリメントを利用したり、ビタミンAを特に多く含むレバーを過剰に食べたりする際は注意しましょう。また、β-カロテンからのビタミン A への変換は必要に応じて厳密に調節されているため、β-カロテンによるビタミン A の過剰症は起こらないとされています。
ビタミンAを多く含む食品
レチノールは表2のとおり、豚・鶏レバー、うなぎなどに多く含まれています。乳製品(牛乳、バター、チーズなど)、卵などにも含まれます。


| 順位 | 食品名 | 成分量100gあたり㎍ |
|---|---|---|
| 1 | 肉類/ぶた/[その他]/スモークレバー | 17000 |
| 2 | 肉類/にわとり/[副生物]/肝臓/生 | 14000 |
| 3 | 肉類/ぶた/[副生物]/肝臓/生 | 13000 |
| 4 | 魚介類/あんこう/きも、生 | 8300 |
| 5 | 魚介類/やつめうなぎ/生 | 8200 |
| 6 | 魚介類/あゆ/養殖、内臓、焼き | 6000 |
| 7 | 魚介類/うなぎ/きも、生 | 4400 |
| 7 | 魚介類/あゆ/養殖、内臓、生 | 4400 |
| 9 | 肉類/ぶた/[その他]/レバーペースト | 4300 |
| 10 | 肉類/ぶた/[ソーセージ類]/レバーソーセージ | 2800 |
- 成分量の単位㎍は100万分の1グラムを表します。
一方、β-カロテンは表3のとおり、藻類(のりなど)、しそ、にんじん、かぼちゃなどの緑黄色野菜に多く含まれています。


| 順位 | 食品名 | 成分量100gあたり㎍ |
|---|---|---|
| 1 | 藻類/あまのり/ほしのり | 38000 |
| 2 | 藻類/まつも/素干し | 30000 |
| 3 | 藻類/あまのり/味付けのり | 29000 |
| 4 | 調味料及び香辛料類/パセリ/乾 | 28000 |
| 5 | 藻類/いわのり/素干し | 25000 |
| 5 | 藻類/あまのり/焼きのり | 25000 |
| 7 | 藻類/あおのり/素干し | 20000 |
| 8 | 野菜類/とうがらし/果実、乾 | 14000 |
| 9 | 野菜類/しそ/葉、生 | 11000 |
| 9 | 野菜類/(にんじん類) にんじん、根、冷凍、油いため | 11000 |
- 成分量の単位㎍は100万分の1グラムを表します。