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ビタミンAの働きと1日の摂取量

ビタミンAとは

 ビタミンAとは、レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称で、脂溶性ビタミンに分類されます。

 また、植物に含まれるβ(ベータ)-カロテンは、摂取すると、小腸上皮細胞でビタミンAに変換されるのでプロビタミンA(ビタミンA前駆体)と呼ばれ、ビタミンAの仲間に分類されます。

ビタミンAの吸収と働き1)

 ビタミンAの主要な成分であるレチノールには、目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めたりする働きがあります。また、レチノールは、視細胞での光刺激反応に関与するロドプシンという物資の合成に必要なため、薄暗いところで視力を保つ働きもあります。最近ではレチノールが上皮細胞で発癌物質の効果を軽減するといわれています2)

 一方、プロビタミンAであるカロテンにはβ(ベータ)型の他にα(アルファ)型、γ(ガンマ)型、クリプトキサンチンなどがありますが、ビタミンAの効果が最も高いのはβ-カロテンです。とはいっても、β-カロテンもすべてがビタミンAに変換されるわけではなく、吸収効率やビタミンAへの変換率を考慮すると、β-カロテンはレチノールの6分の1の効力に相当すると見積もられます。

ビタミンAの1日の摂取基準量3)

 ビタミンAの摂取基準には、レチノールだけでなくビタミンAの前駆体すべて合わせて、レチノール活性当量(RAE)として算出した値を用います。

 レチノール活性当量は以下の式で求めます。

レチノール活性当量(㎍RAE)=レチノール(㎍)+β-カロテン(㎍)×1/12+α-カロテン(㎍)×1/24+β-クリプトキサンチン(㎍)×1/24+その他のプロビタミン A カロテノイド(㎍)×1/24

 表に示すように、厚生労働省発表の日本人の食事摂取基準(2015年版)によると一日当たりのビタミンAの推定平均必要量は50~69歳の男性で600㎍RAE、女性で500㎍RAE、70歳以上の男性で550㎍RAE、女性で450㎍RAE、推奨量は50~69歳の男性で850㎍RAE、女性で700㎍RAE、70歳以上の男性で800㎍RAE、女性で650㎍RAEとなっています。「推定平均必要量」は50%の人が必要量を満たす量(50%が欠乏、50%が充足)で科学的に根拠があるもの、「推奨量」はほとんどの人が必要量を満たす量(97.5%が充足)なので、推奨量を満たすことが望ましいといえます(表)。

 また、ビタミンAは脂溶性ビタミンであるため、体内に蓄積しやすく、過剰摂取の害が知られています。そのため、食事摂取基準では上限値(耐容上限量)が定められています。

表:ビタミンAの食事摂取基準(㎍RAE/日)a,3)
性別男性女性
年齢等推定平均必要量b推奨量b目安量c耐容上限量c推定平均必要量b推奨量b目安量c耐容上限量c
0~5(月) 300 600 300 600
6~11(月) 400 600 400 600
1~2(歳) 300 400 600 250 350 600
3~5(歳) 350 500 700 300 400 700
6~7(歳) 300 450 900 300 400 900
8~9(歳) 350 500 1,200 350 500 1,200
10~11(歳) 450 600 1,500 400 600 1,500
12~14(歳) 550 800 2,100 500 700 2,100
15~17(歳) 650 900 2,600 500 650 2,600
18~29(歳) 600 850 2,700 450 650 2,700
30~49(歳) 650 900 2,700 500 700 2,700
50~69(歳) 600 850 2,700 500 700 2,700
70以上(歳) 550 800 2,700 450 650 2,700
妊婦(付加量)初期 +0 +0
妊婦(付加量)中期 +0 +0
妊婦(付加量)後期 +60 +80
授乳婦(付加量) +300 +450
  1. レチノール活性当量(㎍RAE)=レチノール(㎍)+β-カロテン(㎍)×1/12+α-カロテン(㎍)×1/24+β-クリプトキサンチン(㎍)×1/24+その他のプロビタミン A カロテノイド(㎍)×1/24
  2. プロビタミン A カロテノイドを含む。
  3. プロビタミン A カロテノイドを含まない。
  • 推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量。
  • 推奨量:ほとんどの人が必要量を満たす量。
  • 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
  • 耐容上限量:過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量。

ビタミンAが不足するとどうなるか1)

 ビタミンAが不足すると暗順応障害が起こり薄暗いところでものが見にくくなり、やがて夜盲症になります。また、角膜や結膜上皮が乾燥し、角質化するほか、皮膚や粘膜でも、乾燥、肥厚、角質化が起こります。小児の場合は成長が停止する場合もあります。

 反対に脂溶性ビタミンである、ビタミンAは過剰に摂取しても、健康障害が起こることが知られています。ビタミンA過剰症の症状として、頭痛が特徴的であるほか、急性の過剰症としては脳脊髄液圧の上昇や、慢性的な過剰症として、頭蓋内圧亢進症や皮膚のはげ落ち、口唇炎、脱毛症、食欲不振、筋肉痛などの症状が見られることが知られています。

 ビタミンAの過剰症は通常の食事ではほとんど起こりませんが、サプリメントを利用したり、ビタミンAを特に多く含むレバーを過剰に食べたりする際は注意しましょう。また、β-カロテンからのビタミン A への変換は必要に応じて厳密に調節されているため、β-カロテンによるビタミン A の過剰症は起こらないとされています。

ビタミンAを多く含む食品

 レチノールは鶏・豚レバー、うなぎ、乳製品(牛乳、バター、チーズなど)、卵などに多く含まれています。一方、β-カロテンは、にんじん、かぼちゃなどの緑黄色野菜に多く含まれています。

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)総論 ビタミン(脂溶性ビタミン) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. ビタミンAとβ-カロテンによる疾病の予防と治療 高橋典子ら オレオサイエンスVol. 14 (2014) No. 12 p. 523-530 公益社団法人日本油化学会(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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