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パントテン酸の働きと1日の摂取量

パントテン酸とは

 パントテン酸は、ビタミンのひとつです。もともと酵母の成長を促進する物質として発見されました。その後、この物質の欠乏によりラットの成長が阻害されたり、ニワトリで皮膚炎が起こったりすることが明らかになり、ビタミンとして認識されるようになりました。パントテン酸は、「至るところに存在する酸」という意味で命名されました。この名前の通り様々な食品に含まれているので、通常の食事をしている人では不足することはまずありません。

パントテン酸の吸収と働き1)2)

 パントテン酸は、コエンザイムA(補酵素A)、アシルCoA、アシルキャリアタンパク質(ACP)、4́-ホスホパンテテインの形で、細胞内に存在しており、食品として摂取されると、消化管でパントテン酸にまで消化されたのち、体内に吸収されます。

 パントテン酸は体内で活性化され、エネルギー産生の時に重要な役割を果たしている補酵素AやACPの成分となっています。補酵素AはアセチルCoAとして、クエン酸回路や脂肪酸のβ酸化などの代謝系において、脂質や糖質の代謝で重要な役割を果たすほか、からだの中で起こるきわめて多くの酵素反応に関与しています。

 また、善玉コレステロールを増やしたり、ホルモンや抗体の産生などにも関与しています。

パントテン酸の1日の摂取基準量3)4)

 日本人の食事摂取基準(2015年版)では、パントテン酸の1日に摂取する目安量を、18歳以上の男性で5mg、18~49歳の女性で4mg、50歳以上の女性で5mgと定めています。パントテン酸単独での大量摂取による健康被害は報告されていないため、耐容上限量は設定されていません(表)。

表:パントテン酸の食事摂取基準(mg/日)
性別男性女性
年齢等目安量目安量
0~5(月) 4 4
6~11(月) 3 3
1~2(歳) 3 3
3~5(歳) 4 4
6~7(歳) 5 5
8~9(歳) 5 5
10~11(歳) 6 6
12~14(歳) 7 6
15~17(歳) 7 5
18~29(歳) 5 4
30~49(歳) 5 4
50~69(歳) 5 5
70以上(歳) 5 5
妊婦 5
授乳婦 5

 平成27年国民健康・栄養調査における日本人の1日のパントテン酸の摂取量の平均は5.50mgでした。食品群別の摂取量の調査では、主に、穀類、肉類、魚介類、卵類、乳類から摂取されるほか、野菜、果物、いも類など幅広い食品から摂取されています。

パントテン酸が不足するとどうなるか1)2)

 パントテン酸が欠乏すると細胞内の補酵素Aの濃度が低下するため、欠乏の初期症状としては疲れやすくなったり、食欲がなくなったり、便秘になったりといった症状が見られます。さらにめまい、頭痛、動悸、不眠などが起こり、進行すると知覚の異常、激痛(焼けるような痛み)、麻痺や副腎皮質や消化管などの臓器の機能不全、成長停止が起こります。

 しかし、パントテン酸は幅広い食品中に含まれているため、通常の食事では、欠乏症はきわめて少ないと考えられています。

 過剰症については、パントテン酸単独での過剰症の報告例はありません。2週間のあいだ、過剰のパントテン酸(遊離のパントテン酸として3,664mg)を摂取した研究でも、健康への悪影響は認められませんでした。しかし、3か月間他の薬品と一緒にパントテン酸カルシウムを大量に投与した実験では、吐き気、食欲不振、腹部の痛みを訴えた被験者がいること、動物実験においてもパントテン酸の過剰投与により、成長障害、下痢、脱毛などの健康障害が起こったことなどが報告されています。通常の食事では上昇の心配はありませんが、サプリメントなどの利用には注意が必要です。

パントテン酸を多く含む食品1)

 パントテン酸はPantothenic acidの和訳で、"pan"はギリシア語で"いたるところ"、"どこでも"を意味します。そのため、パントテン酸は自然界に広く分布している酸であることから、パントテン酸と命名されました。

 パントテン酸が多く含まれている食品は肉類、魚介類、牛乳、豆類などですが、名前のごとく様々な食品に広く含まれています。酸、アルカリ(重曹など)の存在下では熱に弱いため、調理法には注意する必要があります。パントテン酸は、食品中に広く含まれているほか、腸内細菌によっても作られ、体内に吸収されて、利用されるため、通常の食事をしていればまず不足することはありません。ただし、コーヒーなどのカフェインを含む飲み物やアルコールを多く摂取する人は、パントテン酸を多く消費するため、多めに摂取するようにしましょう。

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)総論 ビタミン(水溶性ビタミン) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 日本人の食事摂取基準を改定するためのエビデンスの構築に関する研究 9.パントテン酸の食事摂取基準を策定するための資料 平成20年度厚生労働科学研究費補助金事業(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 平成27年国民健康・栄養調査 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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