健康長寿ネット

健康長寿ネットは高齢期を前向きに生活するための情報を提供し、健康長寿社会の発展を目的に作られた公益財団法人長寿科学振興財団が運営しているウェブサイトです。

ミネラル成分の銅の働きと1日の摂取量

ミネラル成分の銅とは1)

 銅は成人の体内に約70から100mg含まれます。骨、骨格筋に約50%、肝臓中に約10%存在するほか、血液、脳などに存在しています。

ミネラル成分の銅の吸収と働き1)

 銅は腸管から吸収されたのち、肝臓へ送られた後、アポセルロプラスミンというたんぱく質と結合して、セルロプラスミンの形で、全身に運ばれ、約10種類の酵素の活性中心に結合して、生体内で様々な働きをします。

 また、このセルロプラスミンはヘモグロビン合成に必須の酵素ですので、貧血予防に欠かせないミネラルです。また、マクロファージなどの免疫細胞のエネルギー代謝にかかわるチトクロムCオキシダーゼという酵素の構成成分であるため、免疫力を高める効果もあるほか、赤血球中の、SOD酵素(スーパーオキシドディスムターゼ、活性酸素を消去する酵素)にも含まれているため、動脈硬化の予防にも効果があります。エネルギー生成や鉄代謝、活性酸素除去などの他、細胞外マトリクスの成熟、神経伝達物質の産生などにも関与しています。

銅の1日の摂取基準1)2)3)

 日本人の食事摂取基準(2015年版)では1日の摂取の推奨量は、18~29歳の男性0.9mg、30~49歳の男性1.0mg、50歳以上の男性で0.9mg、18~69歳の女性で0.8mg、70歳以上の女性で0.7mgと設定されています。耐容上限量は18歳以上の男女とも10mgです(表)。

表:銅の食事摂取基準(mg/日)2)
性別男性女性
年齢等推定平均必要量推奨量目安量耐容上限量推定平均必要量推奨量目安量耐容上限量
0~5(月) 0.3 0.3
6~11(月) 0.3 0.3
1~2(歳) 0.2 0.3 0.2 0.3
3~5(歳) 0.3 0.4 0.3 0.4
6~7(歳) 0.4 0.5 0.4 0.5
8~9(歳) 0.4 0.6 0.4 0.5
10~11(歳) 0.5 0.7 0.5 0.7
12~14(歳) 0.7 0.8 0.6 0.8
15~17(歳) 0.8 1.0 0.6 0.8
18~29(歳) 0.7 0.9 10 0.6 0.8 10
30~49(歳) 0.7 1.0 10 0.6 0.8 10
50~69(歳) 0.7 0.9 10 0.6 0.8 10
70以上(歳) 0.7 0.9 10 0.6 0.7 10
妊婦(付加量) +0.1 +0.1
授乳婦(付加量) +0.5 +0.5
  • 推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量。
  • 推奨量:ほとんどの人が必要量を満たす量。
  • 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
  • 耐容上限量:過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量。

 平成27年国民健康・栄養調査における銅の1日の平均摂取量は1.13mgで、食品群別の摂取量で見ると、穀類からの摂取量が最も多く、次いで豆類、野菜類、魚介類の順で多く摂取されていました。

ミネラル成分の銅が不足するとどうなるか1)

 日常の食生活での欠乏はないとされていますが、長期に経腸栄養での栄養管理がされている患者や、人工栄養の未熟児などでは、摂取量不足による欠乏症がみられることがあります。主な症状は、貧血、骨異常、毛髪異常、白血球減少、好中球減少、心血管系や神経系の異常、成長障害などです。また遺伝的な銅代謝異常であるメンケス病では、血液中や、脳や肝臓の銅が減少し、その結果、知能低下、発育遅延、中枢神経障害などの症状が現れます。

銅の過剰摂取の影響

 過剰症は化学薬品の誤飲などによる特殊な急性中毒や、遺伝性のウイルソン病など以外にはほとんど起こりません。ウイルソン病は銅が胆汁中に分泌されず肝臓などに蓄積される遺伝病で、脳神経障害、重度の肝障害、関節障害などを起こします。また、酢などの酸性の食品を、銅鍋などに入れると、銅が溶け出し銅の過剰摂取を引き起こすことがありますので注意が必要です。

 近年、銅欠乏が、貧血のほか高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症などを引き起こすことが明らかになってきています。一方、銅の過剰摂取が、活性酸素の生成を促進して酸化ストレスの原因となることから、肥満、高血圧、糖尿病、心不全、腎不全を悪化させる要因であると考えられています。銅と生活習慣病との関連については、今後の研究が期待されます。

ミネラル成分の銅を多く含む食品4)5)

銅を多く含む食品のイカやタコを含む魚介類の写真。銅の摂取量は食事摂取基準により定められており耐容上限量は18歳以上の男女とも10mg。銅の過剰摂取が活性酸素の生成を促進して酸化ストレスの原因になる。

 イカやタコなどの軟体動物やエビなどの甲殻類の血液では、ヘモグロビンの代わりに銅を含むヘモシアニンというたんぱく質が、酸素を運搬しています。そのため、イカやタコには銅が多く含まれています。

 そのほか、魚介類、豆類やレバーなどに多く、いか(するめ)50g(2分の1枚)に5.0mg、カキ(牡蠣)には100gあたり0.9mg、牛・肝臓100gあたり5.3mg、納豆50g(1パック)で0.3mg含まれます。

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)総論 ミネラル(微量ミネラル) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 平成27年国民健康・栄養調査 厚生労働省 (PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. NATIONAL GEORAPHIC 「南極のタコの血は青くて濃い、予想を裏切る新発見」 日経ナショナル ジオグラフィック(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. 食品成分データベース 日本食品標準成分表2015年版 文部科学省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

このページについてご意見をお聞かせください

関連記事