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ビタミンKの働きと1日の摂取量

公開日:2016年7月25日 21時51分
更新日:2020年5月27日 11時12分

ビタミンKとは1)

 ビタミンKには多種類ありますが、天然のものはビタミンK1(フィロキノン)とビタミンK2(メナキノン類)の2種類のみです。ビタミンK1は植物の葉緑体で生産され、ビタミンK2は微生物から生産されます。

 ビタミンK1は1種類ですが、ビタミンK2には何種類かの同族体が存在します。ビタミンK2のうち代表的なものは、動物性食品に含まれるメナキノン-4と納豆が産生するメナキノン-7です。一般にビタミンKというときには、フィロキノン、メナキノン-4、メナキノン-7を総称したものをいいます。

ビタミンKの吸収と働き1)

 数種類あるビタミンKのうち、栄養学的に重要なものが、ビタミンK2のメナキノン類です。ビタミンK1のフィロキノンは組織内で酵素の働きによりメナキノン-4に変換されますが、その量はそれほど多くはないと見積もられています。

 ビタミンKの主要な作用は、血液凝固に関与するものです。血液が凝固するのには、プロトロンビンなどの血液凝固因子が必要ですが、プロトロンビンが肝臓で生成されるときに、補酵素として働くのがビタミンKです。そのためビタミンKが欠乏すると血液中のプロトロンビンが減少し、血液凝固に時間がかかり、出血が止まりにくくなります。

 また、ビタミンKは丈夫な骨づくりにも不可欠で、骨に存在するオステオカルシンというたんぱく質を活性化し、カルシウムを骨に沈着させて骨の形成を促す作用があります。そのため、骨粗鬆症の治療薬としてメナキノン-4が処方されています。そのほかに、動脈の石灰化を抑制する作用もあります。

ビタミンKの1日の摂取基準量2)

 日本人の食事摂取基準(2015年版)では、ビタミンKの成人の1日の摂取の目安量を男女ともに150㎍に設定しています。ビタミンKは多量に摂取しても健康被害が見られないことから、上限量は設定されていません(表1)。

表1:ビタミンKの食事摂取基準(㎍/日)2)
性別男性女性
年齢等目安量目安量
0~5(月) 4 4
6~11(月) 7 7
1~2(歳) 60 60
3~5(歳) 70 70
6~7(歳) 85 85
8~9(歳) 100 100
10~11(歳) 120 120
12~14(歳) 150 150
15~17(歳) 160 160
18~29(歳) 150 150
30~49(歳) 150 150
50~69(歳) 150 150
70以上(歳) 150 150
妊婦 150
授乳婦 150
  • 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
  • 摂取基準量の単位㎍は100万分の1グラムを表します。

 血栓を防ぐためのワ-ファリンという薬を服用している人の場合、ビタミンKを多く含む納豆、ブロッコリー、ほうれん草などの食品を摂取すると薬の作用が弱まることから、摂取を制限されることがあります。

ビタミンKが不足するとどうなるか1)

 ビタミンKはさまざまな食品中に広く含まれますし、ビタミンK2は腸内細菌によっても合成されるので、健常人では不足することは稀です。しかし、新生児では腸内細菌からのビタミンK2供給が少ないため、ビタミンK欠乏による新生児メレナ(消化管出血)や特発性乳児ビタミンK欠乏症(頭蓋内出血)を起こすことがあります。

 ビタミンKの吸収は胆汁の存在のもとに小腸上部で行われているため、加齢により膵液や胆汁の分泌量が低下すると、腸管からのビタミンKの吸収量が減少します。また、抗生物質の長期投与でメナキノン類を産生する腸内細菌が死滅してしまったり、ビタミンKを活性化させる酵素の活性が低下したりすることがあります。そのため、高齢者では、ビタミンK欠乏となる可能性があるため、注意が必要です。

ビタミンKを多く含む食品3)

 ビタミンKは、藻類、野菜類、豆類、肉類、乳類、卵類、油脂類に多く含まれています。ビタミンK1は、海藻、しそやモロヘイヤなどの緑黄色野菜に多く含まれています。ビタミンK2は、発酵食品の納豆に特に多く含まれます。そのため、納豆を日常的に食べている人は、食べていない人と比べてビタミンKの摂取量が約2倍であるという調査結果もあります。脂溶性なので、油と一緒にとると吸収率が上がります。

ビタミンK2を多く含む食品の納豆と鶏卵の写真。ビタミンKは脂溶性ビタミンで血液凝固に関与するプロトロンビンが肝臓で生成されるときに補酵素として働きます。ビタミンK2は腸内細菌によっても合成されるので、健常人では不足することは稀。

 平成27年国民健康・栄養調査における日本人のビタミンKの1日の平均の摂取量は242㎍(マイクログラム)で食品群別でみると、野菜(132.8㎍)と豆類(61.4㎍)で80.2%を摂取していました。

 一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品で、調理しやすく、日常的に摂取しやすい食品からビタミンKを多く含む食品を表2から表8にまとめました。

表2:藻類に含まれるビタミンK量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
ビタミンK(㎍)単位重量
あまのり ほしのり 2,600 1枚 2g
いわのり 素干し 1,700 1枚 3g
カットわかめ 1,600 1人分 10g
あまのり 味付けのり 650 1人分 3g
ほしひじき ステンレス釜・鉄釜 乾 580 大さじ1 2g
表3:野菜類に含まれるビタミンK量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
ビタミンK(㎍)単位重量
パセリ 葉 生 850 1枝 15g
しそ 葉 生 690 10枚 7g
モロヘイヤ 茎葉 生 640 1束 100g
バジル 葉 生 440 1枝 5g
かぶ 葉 生 340 1個 80g
ほうれんそう 葉 通年平均 生 270 1株 20g
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(野菜の皮や根、芯など)を除いたものです。
表4:豆類に含まれるビタミンK量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
ビタミンK(㎍)単位重量
挽きわり納豆 930 1パック 30~50g
糸引き納豆 600 1パック 30~50g
油揚げ 生 67 1枚 20~30g
がんもどき 43 1個 95~125g
生揚げ 25 1枚 120~140g
表5:肉類に含まれるビタミンK量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
ビタミンK(㎍)単位重量
にわとり 皮 もも 生 120 1枚 30~40g
にわとり 皮 むね 生 110 1枚 30~40g
にわとり 心臓(ハツ) 生 51 1個 15~20g
にわとり [若鶏肉] 手羽先 皮つき 生 45 1本(骨付き) 60g
にわとり [若鶏肉] 手羽元 皮つき 生 39 1本(骨付き) 45~60g
にわとり [若鶏肉] もも 皮つき 生 29 1枚 200~300g
表6:乳類に含まれるビタミンK量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
ビタミンK(㎍)単位重量
ナチュラルチーズ パルメザン 15 大さじ1 6g
ナチュラルチーズ チェダー 12 スライス1枚 18g
ナチュラルチーズ クリーム 12 大さじ1 13g
ナチュラルチーズ マスカルポーネ 10 大さじ1 13g
ナチュラルチーズ モッツァレラ 6 1切れ 18g
普通牛乳 2 コップ1杯 200g
表7:卵類に含まれるビタミンK量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
ビタミンK(㎍)単位重量
鶏卵 卵黄 生 40 1個 16g
うずら卵 全卵 生 15 1個 10~12g
鶏卵 全卵 生 13 1個(Mサイズ殻付) 60g
鶏卵 卵白 生 1 1個 35g
表8:油脂類に含まれるビタミンK量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
ビタミンK(㎍)単位重量
大豆油 210 大さじ1 12g
ぶどう油 190 大さじ1 12g
調合油(なたね油1:大豆油1) 170 大さじ1 12g
なたね油(キャノーラ油) 120 大さじ1 12g
オリーブ油 42 大さじ1 12g

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015年版)総論 ビタミン(脂溶性ビタミン) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 平成27年国民健康・栄養調査 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 日本食品標準成分表・資源に関する取組 文部科学省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. 香川明夫(監修):七訂 食品成分表2019. 女子栄養大学出版, 東京, 2019.

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