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食物繊維の働きと1日の摂取量

公開日:2016年7月25日 21時55分
更新日:2020年5月22日 11時36分

食物繊維とは

 食物繊維は「ヒトの消化酵素で分解されない食物中の総体」と定義されています。水に溶ける水溶性食物繊維と、溶けない不溶性食物繊維とに大別されます。食物繊維の多くは、単糖がたくさん結合した多糖類の仲間ですが、消化されないため、エネルギー源にはなりません。

食物繊維の種類1)

 水溶性食物繊維には果物や野菜に含まれるペクチン、コンブやワカメなどのぬるぬるの成分のアルギン酸などがあります。

 不溶性食物繊維には、植物の細胞壁を構成しているセルロースやヘミセルロース、リグニンなどがあります。カニやエビの殻に含まれるキチンも不溶性食物繊維に分類されます。

食物繊維の吸収と働き1)

 水溶性食物繊維も不溶性食物繊維もどちらも体内には吸収されませんが、健康のためには重要な役割を果たしており、第六の栄養素ともいわれ注目されています。

 水溶性食物繊維は、水に溶けやすく、水に溶けるとゼリー状になります。小腸での栄養素の吸収の速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑える効果があります。また、コレステロールを吸着し体外に排出することで血中のコレステロール値も低下させます。さらに、ナトリウムを排出する効果もあるので、高血圧を予防する効果もあります。食物繊維は低カロリーで肥満の予防にもなるので、糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化など、さまざまな生活習慣病の予防に効果があります。

 水に溶けにくい不溶性食物繊維は、水分を吸収して便の容積を増やします。便が増えると、大腸が刺激され、排便がスムーズになります。また、有害物質を吸着させて、便と一緒に体の外に排出するため、腸をきれいにして大腸がんのリスクを減らしてくれます。

 また、どちらの食物繊維も大腸内の細菌により発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌の餌になるため、善玉菌が増え、腸内環境が改善されます。

1日の摂取基準量1)2)

 生活習慣病の発症予防の観点から考えると、成人では、食物繊維を一日24g以上、できれば1,000kcalあたり14g摂取するのが理想とされています。しかし、平成27年国民栄養健康調査によると、実際の摂取量は、20歳以上で一日に平均15.0g(75歳以上で一日に平均15.9g)しか摂取できていません。

 そのため、理想的な値と実際の摂取量の中間的な値をとって、目標量として成人男性は一日に20g以上(70歳以上は19g以上)、成人女性は一日に18g以上(70歳以上は17g以上)が設定されています(表1)。

表1:食物繊維の食事摂取基準(g/日)(厚生労働省食事摂取基準)2)
性別男性女性
年齢等目標量目標量
0~5(月)
6~11(月)
1~2(歳)
3~5(歳)
6~7(歳) 11以上 10以上
8~9(歳) 12以上 12以上
10~11(歳) 13以上 13以上
12~14(歳) 17以上 16以上
15~17(歳) 19以上 17以上
18~29(歳) 20以上 18以上
30~49(歳) 20以上 18以上
50~69(歳) 20以上 18以上
70以上(歳) 19以上 17以上
妊婦
授乳婦
  • 目標量:生活習慣病の予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量。

食物繊維が不足するとどうなる1)

 食物繊維が不足すると、腸内環境の悪化によって便秘になりやすくなります。その結果、痔になったり、大腸癌のリスクが高まったりします。また、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高くなります。そのほかにも、食物繊維の多い食品は、低カロリーの上に噛み応えもあり、食べた時の満足感も高いため、食物繊維の多い食事をとることで肥満も防ぐことができます。

 通常の食事では食物繊維の過剰摂取の心配はなく、むしろ、現在の日本人は、食物繊維が不足ぎみなので、意識してとる必要があります。しかし、サプリメントなどの健康食品を利用する際は、飲みすぎるとおなかが緩くなったり、他の栄養素の吸収を妨げたりする可能性があるため、注意が必要です。

食物繊維を多く含む食品3)

 食物繊維は、野菜類、穀類、豆類、きのこ類、いも及びでん粉類に多く含まれています。食品の中には、水溶性と不溶性両方の食物繊維を含む食品もあります。特に納豆は水溶性と不溶性の食物繊維がバランスよく含まれている食品です。食物繊維は種類によって生理作用が違いますので、不溶性・水溶性のどちらか一方を摂取するのではなく、さまざまな食品を組み合わせて両方をバランスよく摂取することが大切です。

 一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品で、調理しやすく、日常的に摂取しやすい食品から食物繊維を多く含む食品を表2から表6にまとめました。

表2:野菜類に含まれる食物繊維量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
水溶性食物繊維(g)不溶性食物繊維(g)食物繊維総量(g)単位重量
切干しだいこん 乾 5.2 16.1 21.3 1食分 10g
しそ 葉 生 0.8 6.5 7.3 10枚 7g
モロヘイヤ 茎葉 生 1.3 4.6 5.9 1束 100g
ごぼう 根 生 2.3 3.4 5.7 1本 180g
ブロッコリー 花序 生 0.7 3.7 4.4 1株 250g
だいこん 葉 生 0.8 3.2 4.0 1本分(根中1本800g) 150g
あさつき 葉 生 0.7 2.6 3.3 1わ 25g
日本かぼちゃ 果実 生 0.7 2.1 2.8 1個 1~1.5kg
ほうれんそう 葉 通年平均 生 0.7 2.1 2.8 1株 20g
サニーレタス 葉 生 0.6 1.4 2.0 1枚 30g
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(野菜の皮や根、芯など)を除いたものです。
表3:穀類に含まれる食物繊維量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
水溶性食物繊維(g)不溶性食物繊維(g)食物繊維総量(g)単位重量
ライ麦パン 2.0 3.6 5.6 1枚(6枚切り) 60g
雑穀混合品 五穀 1.0 4.2 5.1 小盛り1杯 100g
おおむぎ 押麦 めし 2.1 2.1 4.2 小盛り1杯 100g
マカロニ・スパゲッティ ゆで 1.4 1.7 3.0 乾1人分 80g
食パン 0.4 1.9 2.3 1枚(6枚切り) 60g
蒸し中華めん 0.7 1.2 1.9 1袋 150g
水稲めし 発芽玄米 0.2 1.6 1.8 小盛り1杯 100g
水稲めし うるち米 0.9 0.6 1.5 小盛り1杯 100g
  • 加熱調理(ゆで、蒸し)をした食品は、ゆで汁(食塩水)は廃棄し、調味料は含まれていません。成分量は加熱調理後の可食部100g当たりの成分量となります。
表4:豆類に含まれる食物繊維量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
水溶性食物繊維(g)不溶性食物繊維(g)食物繊維総量(g)単位重量
いんげんまめ 全粒 ゆで 1.5 12.0 13.6 1食分 40g
だいず おから 生 0.4 11.1 11.5 1カップ 100g
あずき 全粒 ゆで 2.5 6.2 8.7 1カップ 170g
だいず 全粒 国産 黄大豆 ゆで 2.2 6.4 8.5 1パック 100g
だいず 糸引き納豆 2.3 4.4 6.7 1個 30~50g
だいず がんもどき 0.6 0.8 1.4 1個 95~125g
だいず 油揚げ 生 0.5 0.8 1.3 1枚 20~30g
  • 「食品成分表」には、生の状態だけではなく、「ゆで」「焼き」「油いため」など調理した状態に分類した成分値も収載されています。調理法により食品の成分値、食品重量が変化します。食品重量については、例えばゆでる場合、食品の水分が流れ出て重量が減る食品とゆで湯を吸収して重量が増える食品がありますので、ゆで100gとは、生100gをゆでた場合の重量ではなくゆでた状態での100gです。
表5:きのこ類に含まれる食物繊維量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
水溶性食物繊維(g)不溶性食物繊維(g)食物繊維総量(g)単位重量
きくらげ 乾 0.0 57.4 57.4 乾10個 5g
しいたけ 乾しいたけ 乾 3.0 38.0 41.0 大1個 5g
しいたけ 生しいたけ 菌床栽培 生 0.4 3.8 4.2 1枚 10~30g
えのきたけ 生 0.4 3.5 3.9 1袋 100g
まいたけ 生 0.3 3.2 3.5 1パック 100g
ぶなしめじ 生 0.5 2.5 3.0 1パック 100g
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(いしづき)を除いたものです。
表6:いも及びでん粉類に含まれる食物繊維量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
水溶性食物繊維(g)不溶性食物繊維(g)食物繊維総量(g)単位重量
じゃがいも 塊茎 皮つき 生 5.4 4.4 9.8 中1個 150~200g
はるさめ 緑豆はるさめ 乾 Tr 4.1 4.1 1食分 15g
こんにゃく 板こんにゃく 生いもこんにゃく Tr 3.0 3.0 1枚 170~200g
さつまいも 塊根 皮つき 生 0.9 1.8 2.8 中1本 200~250g
さといも 球茎 生 0.8 1.5 2.3 1個 50g

 ※ Tr(微量、トレース)は最小記載量の1/10以上含まれているが5/10未満であることを示す。

  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(皮など)を除いたものです。
不溶性食物繊維を多く含むこんにゃくの写真。小腸での栄養素の吸収の速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑える効果があります。

 野菜は生のままでは、かさが多く量を摂ることができないので、煮たりゆでたりしてかさを減らしたほうが効率的に食物繊維を摂取できます。また、精製度の高い穀類より、未精製の全粒粉や玄米などには食物繊維が多く含まれているので、これらを主食として食事にとり入れるとよいでしょう。

不溶性食物繊維を多く含む玄米などの雑穀の写真。水分を吸収して便の容積を増やす働きがあります。成人の食物繊維の1日あたりに必要な摂取量は24グラム以上とされていますが、現在の日本人は不足ぎみです。

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)総論 炭水化物 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. ビタミンと食物繊維 農林水産省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 日本食品標準成分表・資源に関する取組 文部科学省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. 香川明夫(監修):七訂 食品成分表2019. 女子栄養大学出版, 東京, 2019.

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