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食物繊維の働きと1日の摂取量

食物繊維とは

 食物繊維は「ヒトの消化酵素で分解されない食物中の総体」と定義されています。水に溶ける水溶性食物繊維と、溶けない不溶性食物繊維とに大別されます。食物繊維の多くは、単糖がたくさん結合した多糖類の仲間ですが、消化されないため、エネルギー源にはなりません。

食物繊維の種類1)

 水溶性食物繊維には果物や野菜に含まれるペクチン、コンブやワカメなどのぬるぬるの成分のアルギン酸、こんにゃくのグルコマンナンなどがあります。

 不溶性食物繊維には、植物の細胞壁を構成しているセルロースやヘミセルロース、リグニンなどがあります。そのほかに、カニやエビの殻に含まれるキチンも不溶性食物繊維に分類されます。

食物繊維の吸収と働き1)

 水溶性食物繊維も不溶性食物繊維もどちらも体内には吸収されませんが、健康のためには重要な役割を果たしており、第六の栄養素ともいわれ注目されています。

 水溶性食物繊維は、水に溶けやすく、水に溶けるとゼリー状になります。小腸での栄養素の吸収の速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑える効果があります。また、コレステロールを吸着し体外に排出することで血中のコレステロール値も低下させます。さらに、ナトリウムを排出する効果もあるので、高血圧を予防する効果もあります。食物繊維は低カロリーで肥満の予防にもなるので、糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化など、さまざまな生活習慣病の予防に効果があります。

 水に溶けにくい不溶性食物繊維は、水分を吸収して便の容積を増やします。便が増えると、大腸が刺激され、排便がスムーズになります。また、有害物質を吸着させて、便と一緒に体の外に排出するため、腸をきれいにして大腸がんのリスクを減らしてくれます。

 また、どちらの食物繊維も大腸内の細菌により発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌の餌になるため、善玉菌が増え、腸内環境が改善されます。

1日の摂取基準量1)2)

 生活習慣病の発症予防の観点から考えると、成人では、食物繊維を一日24g以上、できれば1,000kcalあたり14g摂取するのが理想とされています。しかし、平成27年国民栄養健康調査によると、実際の摂取量は、20歳以上で一日に平均15.0g(75歳以上で一日に平均15.9g)しか摂取できていません。

 そのため、理想的な値と実際の摂取量の中間的な値をとって、目標量として成人男性は一日に20g以上(70歳以上は19g以上)、成人女性は一日に18g以上(70歳以上は17g以上)が設定されています(表)。

表:食物繊維の食事摂取基準 (g/日)(厚生労働省食事摂取基準)2)
性別 男性 女性
年齢等 目標量 目標量
0~5(月)
6~11(月)
1~2(歳)
3~5(歳)
6~7(歳) 11以上 10以上
8~9(歳) 12以上 12以上
10~11(歳) 13以上 13以上
12~14(歳) 17以上 16以上
15~17(歳) 19以上 17以上
18~29(歳) 20以上 18以上
30~49(歳) 20以上 18以上
50~69(歳) 20以上 18以上
70以上(歳) 19以上 17以上
妊婦
授乳婦

食物繊維が不足するとどうなる1)

 食物繊維が不足すると、腸内環境の悪化によって便秘になりやすくなります。その結果、痔になったり、大腸癌のリスクが高まったりします。また、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高くなります。そのほかにも、食物繊維の多い食品は、低カロリーの上に噛み応えもあり、食べた時の満足感も高いため、食物繊維の多い食事をとることで肥満も防ぐことができます。

 通常の食事では食物繊維の過剰摂取の心配はなく、むしろ、現在の日本人は、食物繊維が不足ぎみなので、意識してとる必要があります。しかし、サプリメントなどの健康食品を利用する際は、飲みすぎるとおなかが緩くなったり、他の栄養素の吸収を妨げたりする可能性があるため、注意が必要です。

食物繊維を多く含む食品3)

 水溶性食物繊維は、野菜や果物の他に、納豆、海藻類、こんにゃくなどに多く含まれています。不溶性食物繊維は、繊維の多い野菜、玄米などの穀類、豆類、キノコ類などに多く含まれています。食物繊維は種類によって生理作用が違うので、さまざまな食品を組み合わせて摂取しましょう。

 野菜は生のままでは、かさが多く量を摂ることができないので、煮たりゆでたりしてかさを減らしたほうが効率的に食物繊維を摂取できます。また、精製度の高い穀類より、未精製の全粒粉や玄米などには食物繊維が多く含まれているので、これらを主食として食事にとり入れるとよいでしょう。

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)総論 炭水化物 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 食物繊維 農林水産省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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