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水溶性ビタミン:ナイアシン

ナイアシンの働き

 ナイアシンは水溶性ビタミンの一つで、ニコチン酸とニコチンアミドの総称です。脱水素酵素の補酵素として糖質、脂質、タンパク質の代謝、エネルギー産生に関与しています。そのためナイアシンの必要量はエネルギー量あたりで算出されています。

 ビタミンというと体内で合成できないように思ってしまいます。しかし、ナイアシンはアミノ酸のトリプトファンから体内で合成することができます。トリプトファン60mgからナイアシン1mgの割合で合成されます。

ナイアシンの多い食品

 ナイアシンが多く含まれている食品は、肉類、魚介類、豆類、緑黄色野菜です。熱に強いため、加熱による損失は少ないと考えられます。通常の食事でナイアシンが欠乏することはありません。

ナイアシンが欠乏すると

 欠乏するとペラグラという病気になることが知られています。18世紀にスペイン人医師によって医学書に初めてこの病気が紹介されました。

 14世紀にコロンブスがアメリカ大陸からトウモロコシをヨーロッパに持ち込みました。その後、スペイン人やイタリア人などトウモロコシを主食とする人々の間でこの皮膚病がみられるようになりました。また、ペラグラは1940年代まで米国南部ではもっとも多発した病気でした。このあたりもやはりトウモロコシを主食としている地域でした。トウモロコシのトリプトファン含有量が少ないことが起因していたのです。

 ペラグラのおもな症状には次の三つがあげられます。手の甲や足が日焼けした様相を呈し、さらに黒くうろこ状になります。口舌炎を起こし、下痢をするようになります。神経障害で、次第に精神異常を呈するようになります。

食事摂取基準

 ニコチンアミドは1型糖尿病の治療薬として、ニコチン酸は脂質異常症(高脂血症)の治療薬として使われていますが、大量摂取した場合、副作用はあるのでしょうか。水溶性ビタミンとはいえ大量に摂取した場合、消化器系と肝臓に障害を与えます。消化不良をおこしたり、ひどく下痢したり、便秘するといった症状がみられます。また、肝機能低下や劇症肝炎をおこすことも報告されています。

 1日に必要なナイアシンの量(推奨量)は、表のとおり18~49歳男性では15mgNE、50~69歳男性では14mgNE、70歳以上で13mgNEです。18~29歳女性で11mgNE、30~49歳女性で12mgNE、50~69歳女性では11mgNE、70歳以上の女性で10mgNEです。上限量(過剰摂取による健康障害をおこすことのない最大限の量)は、18~29歳男性では300mgNE、30~69歳男性では350mgNE、70歳以上で300mgNEです。18歳以上の女性では、250mgNEとなっています。

 平成19年国民健康・栄養調査におけるナイアシンの摂取量は15.0mgNEでした。グラフに示すとおり約30%が魚介類、約20%が肉類から摂取されています。

表:ナイアシンの食事摂取基準(推奨量と上限量)
推奨量上限量
年齢
(歳)
男性
(mgNE)
女性
(mgNE)
男性
(mgNE)
女性
(mgNE)
30~49 15 12 350 250
50~69 14 11 350 250
70以上 13 10 300 250
NE:
ナイアシン当量
身体活動レベルIIの推定エネルギー必要量を用いて算出

グラフ:日本人はナイアシンを魚介類、肉類から多く摂取していることを示している。

グラフ:ナイアシンの食品群別摂取構成比

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