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マグネシウムの働きと1日の摂取量

公開日:2016年7月25日 21時40分
更新日:2020年5月22日 13時05分

マグネシウムとは

 マグネシウムとは生体内で約50~60%がリン酸塩や炭酸塩として骨に沈着しています。残りの約40%は筋肉や脳、神経に存在します。カリウムに次いで細胞内液に多くしますが、細胞外液には1%未満しか存在しません。生体内では、多くの酵素を活性化して生命維持に必要なさまざまな代謝に関与しています。

マグネシウムの吸収と働き1)

 食品として摂取したマグネシウムの吸収は主に小腸で行われ、腎臓で排泄されます。腸管での吸収はビタミンDによって促進され、過剰のカルシウムやリンによって抑制されます。摂取量が不足すると、腎臓でのマグネシウムの再吸収が促進されたり、骨からマグネシウムが放出されたりすることで、マグネシウムの血中の濃度を一定に保っています。

 マグネシウムは補酵素としてまたは活性中心として300種類以上の酵素の働きを助けていています。エネルギー産生機構に深く関わっており、栄養素の合成・分解過程のほか、遺伝情報の発現や神経伝達などにも関与しています。また、カルシウムと拮抗して筋収縮を制御したり、血管を拡張させて血圧を下げたり、血小板の凝集を抑え血栓を作りにくくしたりする作用もあります。

マグネシウムの1日の摂取基準量2)3)

 日本人の食事摂取基準(2015年版)では、1日のマグネシウムの推奨量を18~29歳男性では340㎎、30~49歳男性では370㎎、50~69歳男性では350㎎、70歳以上の男性では320㎎で、18~29歳女性では270㎎、30~69歳女性では290㎎、70歳以上の女性では270㎎と設定しています(表1)。

 通常の食事による過剰障害は報告されていないため、一般的な耐容上限量は設定されていませんが、サプリメントなどの通常の食品以外からの摂取量を成人で1日に350㎎(小児の場合は体重1㎏あたり5㎎)と制限しています(表1)。

表1:マグネシウムの食事摂取基準(㎎/日)2)
性別男性女性
年齢等推定平均必要量推奨量目安量耐容上限量a推定平均必要量推奨量目安量耐容上限量a
0~5(月) 20 20
6~11(月) 60 60
1~2(歳) 60 70 60 70
3~5(歳) 80 100 80 100
6~7(歳) 110 130 110 130
8~9(歳) 140 170 140 160
10~11(歳) 180 210 180 220
12~14(歳) 250 290 240 290
15~17(歳) 300 360 260 310
18~29(歳) 280 340 230 270
30~49(歳) 310 370 240 290
50~69(歳) 290 350 240 290
70以上(歳) 270 320 220 270
妊婦(付加量) +30 +40
授乳婦(付加量)
  1. 通常の食品以外からの摂取量の耐容上限量は成人の場合350㎎/日、小児では5㎎/㎏体重/日とする。それ以外の通常の食品からの摂取の場合、耐用上限量は設定しない。
  • 推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量。
  • 推奨量:ほとんどの人が必要量を満たす量。
  • 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
  • 耐容上限量:過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量。

 平成27年国民健康・栄養調査におけるマグネシウムの1日の摂取量の平均は243.9㎎で、推奨量と比較すると、不足気味です。食品群別の摂取量を見ると、野菜、穀類、豆類からの摂取量が多くなっています。

マグネシウムを多く含む食品の納豆の写真。マグネシウムは補酵素として300種類以上の酵素の働きを助けていています。現在の日本人の1日の摂取量は推奨量と比較すると不足気味です。通常の食事以外でサプリメントなどを過剰摂取すると健康障害を引き起こしますので注意が必要です。

マグネシウムが不足するとどうなるか1)

 マグネシウムが不足した場合には、不整脈が生じやすくなり、慢性的に不足すると虚血性心疾患、動脈硬化症などのリスクが高まります。また、吐き気、精神障害などの症状が現れたり、テタニー(筋肉の痙攣)を起こしやすくなったりします。さらに、近年、長期的なマグネシウムの不足が、骨粗鬆症、心疾患、糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクを高める可能性が示唆されており、今後さらに研究が進められることが期待されます。

マグネシウムの過剰摂取の影響

 マグネシウムを摂り過ぎた場合は、過剰分は尿中に排泄されるので通常の食事では過剰症になることはありません。しかし、腎機能が低下している場合には高マグネシウム血症が生じやすくなり、血圧低下、吐き気、心電図異常などの症状が現れます。また、ダイエットや便秘などに効果があるといって摂取されている「にがり」(主成分は塩化マグネシウム)やサプリメントなど、通常の食事以外でマグネシウムを過剰に摂取すると、下痢を起こすことがあります。

マグネシウムを多く含む食品4)

 マグネシウムは、藻類、魚介類、穀類、野菜類、豆類などに多く含まれています。

 一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品で、調理しやすく、日常的に摂取しやすい食品からマグネシウムを多く含む食品を表2から表6にまとめました。

表2:藻類に含まれるマグネシウム量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
マグネシウム(㎎)単位重量
あおさ 素干し 3,200 小さじ1 2g
あおのり 素干し 1,400 小さじ1 2g
わかめ 乾燥わかめ 素干し 1,100 1人分 2g
刻み昆布 720 1人分 2g
ほしひじき ステンレス釜・ステンレス釜 乾 640 大さじ1 2g
カットわかめ 410 1人分 10g
表3:魚介類に含まれるマグネシウム量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
マグネシウム(㎎)単位重量
加工品 干しえび 520 大さじ1 6g
しらす干し 半乾燥品 130 大さじ1 6g
あさり 生 100 10個(殻付き) 80g
はまぐり 生 81 中身1個 7~25g
きんめだい 生 73 1切れ 100g
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(頭部、内臓、骨、ひれ、殻など)を除いたものです。
マグネシウムを多く含む食品のきんめだいの写真。
表4:穀類に含まれるマグネシウム量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
マグネシウム(㎎)単位重量
雑穀混合品 五穀 94 小盛り1杯 100g
[水稲めし] 発芽玄米 53 小盛り1杯 100g
ライ麦パン 40 1枚(6枚切り) 60g
そば ゆで 27 1玉 170g
ぶどうパン 23 1枚(6枚切り) 60g
マカロニ・スパゲッティ ゆで 20 乾1人分 80g
  • 「食品成分表」には、生の状態だけではなく、「ゆで」「焼き」「油いため」など調理した状態に分類した成分値も収載されています。調理法により食品の成分値、食品重量が変化します。食品重量については、例えばゆでる場合、食品の水分が流れ出て重量が減る食品とゆで湯を吸収して重量が増える食品がありますので、ゆで100gとは、生100gをゆでた場合の重量ではなくゆでた状態での100gです。
  • 加熱調理(ゆで、蒸し)をした食品は、ゆで汁(食塩水)は廃棄し、調味料は含まれていません。成分量は加熱調理後の可食部100g当たりの成分量となります。
マグネシウムを多く含む食品の玄米ご飯の写真。
表5:野菜類に含まれるマグネシウム量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
マグネシウム(㎎)単位重量
切干しだいこん 乾 160 1人分 15g
らっかせい 未熟豆 生 100 殻付き10粒 25g
ほうれんそう 葉 通年平均 生 69 1株 20g
えだまめ 生 62 10さや(さやつき) 30g
ごぼう 根 生 54 1本 180g
モロヘイヤ 茎葉 生 46 1束 100g
  • 可食部とは、食品全体あるいは購入形態から廃棄部位(野菜の皮や根、芯など)を除いたものです。
表6:豆類に含まれるマグネシウム量4)5)より作成
食品名可食部100g当たりの成分量食品の目安重量(廃棄部分を含む)
マグネシウム(㎎)単位重量
きな粉 全粒大豆 黄大豆 260 大さじ1 6g
油揚げ 生 150 1枚 20~30g
蒸し大豆 黄大豆 110 1パック 100g
糸引き納豆 100 1個 30~50g
木綿豆腐 57 1丁 300~400g
絹ごし豆腐 50 1丁 300~400g

参考文献

  1. 日本人の食事摂取基準(2015年版)総論 ミネラル(多量ミネラル) 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 平成27年国民健康・栄養調査 厚生労働省 (PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 日本食品標準成分表・資源に関する取組 文部科学省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. 香川明夫(監修):七訂 食品成分表2019. 女子栄養大学出版, 東京, 2019.

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