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肺炎の予防

公開日:2016年7月25日 11時00分
更新日:2019年8月 6日 10時06分

肺炎予防のポイントは4つ

ポイント1 肺炎の原因に感染しない

 肺炎を発症する原因となる病原微生物は、たくさんあります。しかしその多くは、口や鼻から空気と共に吸い込んだり(飛沫感染)、手の指などから口を経由して体の中に入り込みます(接触感染)。つまり、肺炎予防の一番のポイントは、このような病原微生物を体の中に入れないことです。

肺炎に対する予防策 マスク、手洗い、うがい

 肺炎の予防策は特別なことではなく、日常生活の中で次の2つを少し気を付けましょう。

  • 外出時にはマスクをして、細菌やウイルスを体の中に入れない。
  • 外から帰ったら、手洗いとうがいをして、細菌やウイルスを洗い流す。

 とても簡単な方法ではありますが、これを日々続けることが、一番有効な方法です。外気中に浮遊している細菌やウイルスは、そのままにしていると口や目、鼻からのどを通り、肺に侵入します。ですから、帰宅したら一刻も早く水で洗い流すことが大切になるのです。

ポイント2 禁煙する

 タバコを吸う習慣のある人は、禁煙することが一番の効果的な方法かもしれません。タバコの煙を吸い込むことによって、肺の中は常に軽く炎症を起こしている状態です。この状態が長く続くほど、次のような病気を起こしやすくなります。

肺炎以外の病気

  • 肺がんを初めとする「全身のがん」
  • 慢性の呼吸器疾患であるCOPD:慢性閉塞性肺疾患

 がんについては、大腸がんや肝臓がんなどで、喫煙との関連性が指摘されています。タバコの煙が肺を刺激し、肺がんを起こしやすくなることは想像がしやすいかと思いますが、それ以外のがんも、タバコが要因となることがあるのです。

 また、近年患者数が増えているCOPDは、タバコを吸い続けることで、肺胞(肺の中で酸素と二酸化炭素の交換を行っている小さな袋状の部分)の動きが悪くなって機能が衰えるため、呼吸困難などを引き起こす病気です。これも、肺の中で常に軽い炎症が起きているのと同じ状況ですので、COPDの患者さんは、肺炎の原因となる病原微生物が少し体の中に入っただけでも、肺炎を起こす可能性があります。

ポイント3 十分な食事と休養+運動で基礎体力をつける

 体の中に、肺炎の原因となる病原微生物が入り込んでも、感染を起こす前に排除出来れば、肺炎になることを予防できます。しかし、偏った食生活や、ストレス・過労などによる疲れが続くと、この「感染を起こす前に病原微生物を排除する」という、本来の人の体に備わった力が、充分に発揮できません。

 高齢になると、食事だけで十分な栄養を取ることも難しくなるため、普段から意識して、肉・魚・野菜などをバランスよく食べる習慣をつけておきましょう。

 また、人の体は疲労すると、元の状態に戻るまでに多くのエネルギーを必要とします。少しでも疲れたと感じた時は、無理をして動き回るのではなく、充分に休息を取り、体力を回復させましょう。

 日常的に、軽い運動を続けておくことも、体力を維持し、免疫力を高めることにつながります。軽い運動を続けていると、食事が進みますし、バランスよく食べられるようになります。毎日散歩をする、家の中で可能な限り動く習慣を身に着けておくなど、現在の体力を落とさず、疲れにくい体づくりを心掛けることが必要です。

ポイント4 予防接種を受けておく

 肺炎の予防接種として、「肺炎球菌ワクチン」があります。平成26年より、65歳以上※1になると、5年ごとに定期接種(無料)として予防接種を受けることができます※2。これは、肺炎の原因となる病原微生物が体の中に入り、感染してしまったとしても重症化を予防することが期待できます。定期検診も行われていますので、対象年齢の期間を見逃さないように、上手に利用しましょう。

 また、毎年の接種が推奨される「インフルエンザワクチン」も、肺炎予防には効果的です。インフルエンザによる感染により、咳や発熱などの症状が強く出ますが、高齢者の場合は特に免疫力の低下により、肺炎につながる可能性があります。2つの予防接種をしっかり受けておくことが、肺炎予防につながります。

※1 60歳から65歳未満の方でも、心臓、腎臓、呼吸器の機能に、日常生活における活動が極度に制限される程度の障害や、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある場合は、定期接種の対象となります。

※2 過去に「肺炎球菌ワクチン」を受けたことがある人は、場合によっては定期接種が受けられないこともありますので、かかりつけ医と相談してください。

合併症および基礎疾患のコントロール

 上記の肺炎予防の4つポイント以外に、より重篤な状態になることを予防するためには、合併症のコントロールや、基礎疾患をコントロールしておくことも、必要になります。

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