健康長寿ネット

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結核

 現在でも結核は日常的に見られる病気です。

結核の概要

 昭和の初めには癌・脳血管障害・心臓病よりも結核の方が死亡率が高く、滝廉太郎・樋口一葉・石川啄木・高杉晋作らは皆、結核により20歳代で亡くなっています。当時、国民病とまで言われた結核も、国による予防や治療の取り組みの結果、死亡率は激減しましたが、結核は昔の病気という誤解から近年結核の患者は再び増える危険性があります。

 高齢者の場合は若いときに感染した結核菌で再び発症することもあります。適切に診断し治療されなければ、自分だけではなく周りの方へ感染してしまうこともあります。これまでの国を挙げて取り組んできた結核の対策を無駄にしないよう、個々が気をつけなければいけません。

結核の症状

 結核の感染で代表的な臓器は肺です。肺結核の場合、初期に特徴的な症状はなく、咳・痰・発熱(微熱)といった風邪と同じ症状が現れます。しかし風邪薬を服用してもなかなか改善しません。そのうちに食欲が低下し、体重が減り、寝汗をかくといった症状も現れます。重症になれば息切れや血痰・喀血などがみられることもあります。

 結核は肺以外で発症することもあります。背骨に感染すれば脊椎カリエスと呼ばれ、腎臓に発症すれば腎結核、腸に発症すれば腸結核と診断されるなど、どの臓器でも発症する可能性があります。結核菌が血液に混じって全身にばらまかれると粟粒(ぞくりゅう)結核と呼ばれます。

結核の診断

結核に感染しているかどうかを調べる検査

 ツベルクリン反応と血液で測定するインターフェロンガンマ遊離試験(IGRA検査)があります。

 ツベルクリン反応は結核に感染した人にツベルクリンを接種すると過剰な反応がみられることから感染者を見つけ出す方法です。皮下注射を行い2~3日後の腫れ具合で診断します。しかしツベルクリン反応は他の病気でも陽性になったり、逆に結核なのに陰性になったりと信頼度が低いのが欠点です。

 IGRA検査は結核に限定して検査を行うため偽陽性がなく、結核を発症する前でも診断が可能です。現在では通院回数や手技の簡易さ、偽陽性が少ないことからIGRA検査が主流となっています。

結核を発症しているかの検査

 結核は肺に発症することが多いので、肺のレントゲンやCTを行います。さらに前述の結核に感染しているかの検査や、痰の中に結核菌を見つける検査を行います。

結核の治療

 結核の治療は入院で行われる場合と外来で行われる場合があります。入院になるのは全身状態が悪い場合と、他人にうつす可能性が高いときです。喀痰の検査で結核菌が陽性の場合は咳などで菌をばらまく可能性があるので専用の部屋に入院し、その部屋の空気は他の部屋に流れないよう厳密に管理されます。そのため患者は病室から外に出ることも制限されます。結核の治療中であっても、外に結核菌が排出されないことが検査で確認できれば隔離は不要となり、外来治療に切り替わります。耐性菌でない場合、治療から2~3か月で隔離が不要となることが一般的です。

 結核の治療は抗結核薬によって行われます。現在主に使用される薬は以下の5種類です。

  • H(INH) イリニアジド
  • R(RFP) リファンピシン
  • Z(PZA) ピラジナミド
  • S(SM) ストレプトマイシン
  • E(EB) エタンブトール

 これらの薬を3~4種類併用して治療を開始し、経過をみて減量します。薬は数ヶ月にわたり服用が必要ですが、初期治療に成功すれば半年から1年で治療を終了できます。ところが初期治療をきちんとしないと治療薬に抵抗する耐性菌ができ、治療はとても難渋します。

 また、この耐性菌が周囲の人に感染すると、その人の治療も困難になります。ですから耐性菌ができないよう数種類の薬を組み合わせて、短期決戦の集中攻撃を仕掛けることが重要なのです。

 決して自己判断で治療を中断したり、薬を減らしたりすることがないようにしましょう。

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