健康長寿ネット

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MDS(骨髄異形成症候群)と白血病の治療

MDS(骨髄異形成症候群)のリスク分類

 MDSの治療は、今後のリスクと年齢を考慮して決定します。リスクを測る際、利用されるのが「IPSS(International Prognostic Scoring System :国際予後判定システム)」という表です。

 表1は、IPSSという表にさらに改良を重ねた「IPSS-R」という表による分類です。

表1:IPSS-Rの予後因子の点数化
点数
予後因子 0 0.5 1 1.5 2 3 4
核型(染色体異常) Very good - good - Inter- mediate Poor Very Poor
骨髄中の芽球の割合(%) ≧2 - >2~<5 - 5~10 >10 -
ヘモグロビン値(g/dl) ≧10 - 8~<10 <8 - - -
血小板数(×104/μL) ≧10 5~<10 <5 - - - -
好中球数(/μL) ≦800 <800 - - - - -

 点数が低いほど低リスク群となり、高いほど高リスク群となります。

 5つの項目をそれぞれ表に当てはめ、表2にてリスク群を導きます。

表2:リスク分類
合計得点≦1.5>1.5~3>3~4.5>4.5~6>6
リスク分類 Very Low Low Intermediate High Very High

 表2によって現段階でのリスクを評価するとともに、患者さんの年齢も加味した上で、今後の治療方法を決定していきます。

MDSの治療方針

 MDSの治療方法として主に行われるのが、以下の3つの治療方法です。

造血幹細胞移植

 造血幹細胞移植とは、血を作る機能に異常をきたして正常な血液細胞をつくることができなくなった患者さんに対し、ドナーから提供された造血幹細胞、あるいは凍結保存しておいた自分の造血幹細胞を移植することで、造血機能の正常化を図る治療方法です。

 この治療法はMDSの治療において唯一の根治治療方法ですが、移植をするにあたり異常芽球を根絶させるために大量の抗がん剤による治療や全身放射線照射を行います。これらの治療は強い副作用を引き起こすリスクがあります。

 また、仮に副作用を乗り越えて移植に進めたとしても、移植後の拒絶反応(GVHD)などの危険が伴うため、原則的に55歳以下の患者さんが適応となります。

 55歳以上65歳以下の場合は、造血幹細胞移植を行うような大量の抗がん剤および放射線照射を行わず、通常量の抗がん剤および放射線照射を行うことで移植を行う「ミニ移植」と呼ばれる移植を行うこともあります。

化学療法

 リスク分類において、中間から高リスク群を対象に行われるのが化学療法です。移植を目的とする場合には、多量の化学療法を用いて徹底的に異常芽球を排除する治療が行われます。

 一方、移植を目的としていない場合には、抗がん剤を用いて異常芽球を減らすことを目標としています。移植を目的としていない場合には、第一選択として「アザシチジン」という抗がん剤が第一選択とされています。しかし、このアザシチジンの効果が見られない場合、もしくは投与できないという場合には、患者さんの全身状態や年齢なども考慮し、白血病治療に用いる抗がん剤も検討されます。

支持療法

 支持療法は、表2において低リスク群や他の治療の適応がない場合に行われます。

 現在起こっている症状について対応する治療となり、血液成分の減少に対して輸血を行う、白血球の減少に対して、増殖を促すG-CSFという成分を投与するなどの治療を行います。この支持療法は、必要に応じて、全リスク群の患者 さんを対象に行います。

急性白血病の治療

 急性白血病ではおおまかに2種類の治療方法が取られます。それが、「寛解(かんかい)導入療法」と「寛解後療法」です。

寛解導入療法

 急性白血病の治療では、「完全寛解」という状態を目指します。

 この「完全寛解」は、異常な検査所見が全く見えず、白血病による症状が消失した状態を意味します。

 この状態に持っていくためには、まず大量の抗がん剤を使用し、骨髄内にある白血病細胞および正常細胞ともに死滅させる必要があります。イメージとしては、作物が植えてあるのに雑草も生えている畑に、強力な農薬を散布し、作物も雑草ももろともなくしてしまう、という状態です。

 抗がん剤の作用によって、治療開始から約2週間で正常細胞、白血病細胞ともに死滅し、骨髄はほぼ空の状態となります。そして、それからさらに4週間後には正常細胞が増殖し、造血機能が回復していきます。4週間後の検査にて、白血病細胞が全く確認できなくなると、「寛解状態になった」と診断されます。

 この検査でまだ白血病細胞が見られた場合には、寛解に入っていないものとされ、前回とは違う抗がん剤を用いてまた寛解導入療法が用いられます。

寛解後療法

 寛解導入療法によって寛解状態となった後に行われるのが寛解後療法です。

 寛解導入療法で寛解状態に入れたとしても、検査では確認できないほど微量の白血病細胞が残っていることがあります。いくら微量であっても白血病細胞が残っていれば、また再び増殖して白血病が再発してしまう可能性があります。

 そこで、寛解状態になってからもさらに「地固め療法」といって数回の抗がん剤治療を行い、完全に白血病細胞を消滅させることを目標とします。

 急性白血病の場合、完全寛解後、3~5年以内に再発することが多いため、完全寛解と診断された後も定期的に通院し、検査を行うことで、再発兆候がないか慎重にみていく必要があります。

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