健康長寿ネット

健康長寿ネットは高齢期を前向きに生活するための情報を提供し、健康長寿社会の発展を目的に作られた公益財団法人長寿科学振興財団が運営しているウェブサイトです。

服薬指導

公開日:2016年7月25日 13時00分
更新日:2019年6月21日 12時58分

高齢者の服薬の注意点

 高齢者の特徴は、複数の慢性疾患を併せ持っていることです。高血圧症、糖尿病、骨粗鬆症などは、高齢になるほど高率にみられます。

 病気の数が増えれば、薬の種類も増え、のみ忘れやのみ間違いの危険性が高くなります(グラフ1)。また、薬ののみ合わせや副作用にも注意しなければなりません。

グラフ:年齢と薬の数の関係を示す折れ線グラフ。加齢に伴い病気の数および薬の数が高くなることを示している。

グラフ1:年齢と薬の数の関係

薬の飲み合わせや、食品との食べ合わせに注意

 高齢者では、複数の病気を患っている場合が多く、いくつかの病・医院、診療科にかかっている方があります。

 病気の数が増えれば薬の数も自然と増えますが、複数の病・医院で同じような症状を訴えることにより、それぞれの病院から同じ作用の薬が処方され、薬の数が増えている場合もあります。このようなケースでは、薬を重ねてのむことになりますから、思わぬ副作用が現れてしまう危険性があります。

 また、薬の数が増えることにより、薬どうしののみ合わせや食品との食べ合わせ(薬物相互作用)への注意も必要となります。

薬剤師による服薬指導

 認知症の症状がなくとも、高齢者にとって薬を管理するということは、とても難しい行為です(グラフ2)。したがって、薬の管理は、ご家族や介護者の方が行うことが望まれます。

 さらに、高齢者では、視力や聴力の低下が原因となり、理解力の低下が生じます。

 これらのことを踏まえて、私たち薬剤師は入院中の患者様のところへ伺い、服薬指導を行っています。服薬指導では、薬ののみ方、効果、副作用、注意すべきことなどについてお話しします。必要に応じて、ご家族の方や介護者の方に服薬指導を行う場合もあります。

 また、服薬指導では患者様とお話しするだけではなく、副作用の前兆はないか、相互作用はないかなどについてもチェックしています。

グラフ:認知症と薬の管理を示す棒グラフ。日常生活に問題がないレベルの認知症初期段階の高齢者にとっても薬の管理には問題があることを示している

グラフ2:認知症と薬の管理について

相互作用の一例

グレープフルーツ(ジュース)と薬の相互作用

 カルシウム拮抗薬と呼ばれる一部の高血圧治療薬、睡眠薬、抗アレルギー薬などをのんでいる方では、グレープフルーツを食べたときに相互作用がおこる場合があります。

 グレープフルーツ(ジュース)には薬の代謝・分解にかかわる酵素の働きを弱める作用があるため、血液中の薬物濃度が上昇することで作用そのものや副作用の発現を高めてしまいます。とくに高齢者では、肝機能が低下しているため、より注意しなければなりません。

 この相互作用は、個人差が大きいこともわかっています。グレープフルーツジュースを飲んでいてもほとんど影響がない方から、水で薬を服用した場合の6倍にまで薬の血液中濃度が上昇してしまう方などその影響はさまざまです。

 したがって、このような薬をのんでいる場合には、グレープフルーツは避けることをおすすめします。同じ柑橘系でも、みかんなどほかの果物は問題ありません。

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