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虚血性心疾患

公開日:2016年7月25日 16時00分
更新日:2019年2月 1日 20時14分

虚血性心疾患とは

 全身に血液を送るポンプの役割を担っているのが「心臓」です。脳と同等に、人間が生きていく上で欠かすことのできない重要な臓器です。

 心臓は全体を筋肉で形成されているため、心臓を動かすには、筋肉を常に動かすために必要な、酸素や栄養分を絶えず送り届ける必要があります。そのため、心臓の周囲には「冠動脈」と呼ばれる細い血管が張り巡らされており、その血管を通じて心臓の筋肉は常にたくさんの酸素や栄養を受け取っています。

 心臓が正常に動くことができるのは、冠動脈が常に新鮮な酸素や栄養素を心臓の筋肉に届けているから、ということになります。このように心臓を動かす上で非常に重要な冠動脈が、なんらかの原因によって一部が狭まってしまう、または完全に閉塞してしまうこと、これが「虚血性心疾患」と呼ばれる疾患です。

虚血性心疾患の分類

 虚血性心疾患には、「慢性冠動脈疾患」と「急性冠症候群」に分類されます。慢性冠動脈疾患は、慢性的に冠動脈が詰まり気味になっており、症状が出現する状態をいい、「労作時狭心症」「異形狭心症」の二つが分類されます。

 一方、急性冠症候群は急激に冠動脈が詰まってしまうことで発症し、最悪生命の危険もある状態をいい、「不安定狭心症」と「急性心筋梗塞」が分類されます。

 虚血性心疾患と一言で言えますが、実際にはこれら4つの病気を合わせた総称であり、各症状によって緊急性も、それに伴う治療方法なども異なってきます。特に急性心筋梗塞は、後述するように日本人の死因の中でも毎年年間3万人以上の死亡者を出しているほど、致死率の高い深刻な疾患となっています。

虚血性心疾患の特徴

 虚血性心疾患の特徴として、生命に直結する恐れがあるということがあげられます。虚血性心疾患として挙げられる労作性狭心症、異形狭心症、不安定狭心症、急性心筋梗塞ですが、これらを統合して「狭心症」、「心筋梗塞」と二つに分類することが多くなっています。

 「狭心症」と「心筋梗塞」という、二つの病名は広く世間に知られていますが、狭心症と心筋梗塞が同じ虚血性疾患として扱われていることはあまり知られていません。そもそも、狭心症と心筋梗塞は、どういった病気であり、どういった違いがあるのでしょうか?

それぞれ詳しく解説していきましょう。

狭心症

 冠動脈の一部が一時的に詰まってしまうことで心臓のポンプ機能が著しく低下しますが、その後再び血液の流れが良くなり、心臓の筋肉そのものもダメージを負わないのが「狭心症」です。狭心症では、症状は数分から数十分で収まるため、薬にてある程度症状をコントロ―ルすることが可能となっています。

 しかし、通常に比べ冠動脈が詰まりやすくなっているため、狭心症は心筋梗塞の前段階であると定義されており、狭心症がある場合は今後心筋梗塞の発作を起こすリスクが高くなるため、注意が必要となります。

心筋梗塞

 一方、血液が詰まったまま回復せず、そのままポンプ機能が停止したままになり、心臓の筋肉の一部が壊死状態となってしまうのが「心筋梗塞」となります。

 心筋梗塞は発症すると症状が自然と収まることはほとんどなく、心臓のポンプ機能が停止してしまうため、全身が酸欠状態となり、迅速に医療機関を受診し適切な処置を受けなければ、生命にも関わります。

日本人の死因第二位の心疾患

 日本人の死因として常に上位にあるのが「心疾患」です。その中でも虚血性心疾患は多くの割合を占めています。

 平成27年度の厚生労働省の人口動態調査によると、心疾患による死者は悪性新生物(ガン)に次いで第二位となっています。その中でも急性心筋梗塞での死者は3万7.222人、そのほかの虚血性心疾患は3万4.451人となっており、他の心疾患に比べて非常に死亡者が多くなっています。

 また、虚血性心疾患に対する医療費も年々上昇傾向にあり、特に70代以上の高齢者で多くの割合を占めています。よって、高齢者の虚血性心疾患をいかに予防していくか、またリスクがある方に対しての適切な治療が求められています。

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