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虚血性心疾患の一次予防・二次予防

公開日:2016年7月25日 11時00分
更新日:2019年2月 1日 20時14分

 日本人の死因でも上位に入る「心疾患」。その中でも特に「虚血性心疾患」で亡くなる方の割合は多くを占めています。そこでキーワードとなるのが、虚血性心疾患にならないための「一次予防」、虚血性心疾患を再発させないための「二次予防」です。

 では、虚血性心疾患の一次予防、二次予防について具体的にどのような点に注意していけばよいのでしょうか?

虚血性心疾患の一次予防

 虚血性心疾患の発症には、様々な「要素」があります。特に注意しなくてはいけない「危険因子」を、日本循環器学会が策定した虚血性心疾患の一次予防ガイドライン(2012年改訂版)では次の内容を提唱しています。

1.加齢

 男性45歳以上、女性55歳以上であると、加齢による危険因子があるとみなされます。

2.虚血性疾患の家族歴

 血縁に虚血性心疾患を患った方がいる場合は、遺伝的に虚血性心疾患になりやすいとされています。

3.喫煙習慣

 喫煙は血管を過度に収縮させ、痛めることで、虚血性心疾患を誘発します。  そのため、一次予防として禁煙が奨励されています。

4.高血圧

 血圧が140/90mmHg以上だと、高血圧と診断されます。また、正常血圧は130/85mmHg未満、至適血圧は120/80mmHg以下とされています。高血圧だと診断されている場合、危険因子だとされています。

5.肥満

 BMIが25以上かつ、ウエストが男性85cm、女性90cm以上だと、リスクが増大します。BMIは体重÷身長²によって計算します。

6.糖尿病、あるいは境界型

 空腹時血糖が120mg/dl以下を目標とし、HbA1cは正常上限+1%以内を目標とします。

7.高コレステロール血症

 LDL(悪玉)コレステロールの値が140mg/dl以上だと、高コレステロール血症と診断され、140mg/dl以下を目標とします。虚血性心疾患の危険因子が他にもある場合には、さらに低い120mg/dlを目標とします。

8.中性脂肪血症

 中性脂肪トリグリセリドの値が150mg/dl以上だと高中性脂肪血症と診断されます。よって、150mg/dl以下に保つことを目標とします。

9.精神的、肉体的ストレス

 精神的、肉体的ストレスは虚血性心疾患の発症リスクとされています。 日ごろからストレスをためない生活を心がけます。 

10.タイプA

 タイプAとは、医学上での性格分類に基づいたものです。真面目で攻撃的、競争心が強く、仕事に常に追われている人は、虚血性心疾患になりやすいとされています。

 特に、「高血圧」「高コレステロール血症」「高中性脂肪血症」「喫煙」の方は、それぞれ虚血性心疾患を発症する確率が、そうでない方に比べ、高血圧は3倍、高コレステロール血症と高中性脂肪血症は4倍、喫煙は2倍とされているため、注意が必要です。

虚血性心疾患の二次予防

 虚血性心疾患の二次予防とは、虚血性心疾患の既往がある方が再発しないようにすることをいいます。

 虚血性心疾患の再発を防ぐためには、どういった点に注意するべきなのでしょうか?

1.狭心症再発時の薬は必ず携帯する

 狭心症の症状が出現した場合、速やかに薬を使用することで症状を和らげることが可能となっています。そのため、狭心症の既往がある場合は薬を必ず携帯し、もしもの時に備えておく必要があります。

 また、突然意識を消失してしまうことも考えられるため、日ごろから周囲の方に狭心症の持病があることを伝え、いざというときに対応してもらうようにしておくことも大切です。

2.生活習慣の改善

 狭心の既往があるということは、冠動脈の一部が狭窄あるいは閉塞しやすい状態であるということが言えます。少しでもそれらのリスクを減らすために有効なのが、生活習慣の改善です。

 喫煙は血管を痛めつけるため、禁煙をし、糖尿病や脂質異常症の持病がある場合には、食事内容を改善し、バランスのよい食事をカロリーオーバーに気を付けながら食べることが大切となります。

 運動については、狭心症の症状によっては悪化させてしまう可能性もあるため、事前に医師へ相談し、指導を受けながら行うとよいでしょう。

3.定期的な受診を必ず受ける

 一度虚血性心疾患を発症した後は、再発を防ぐための治療が行われます。そのため「もう症状が落ち着いてきたから」と自己判断にて受診を辞めてしまうと、症状が進行し、急性心筋梗塞を引き起こす危険性もあります。特に血圧やコレステロール、血栓予防のための抗凝固剤は、内服を中止することで症状が急激に悪化する恐れがあるため、定期的な内服が必要な薬となっています。

 定期的に受診を受け、今の状態を把握し、適切な薬の内服を継続していくことで再発防止に努めていく必要があります。

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