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虚血性心疾患の診断

公開日:2016年7月25日 13:00
更新日:2019年2月 1日 20:14

虚血性心疾患の5つの検査

 虚血性心疾患はトレッドミル運動負荷心電図検査、ホルター心電図検査、心臓核医学検査、心エコー検査、冠動脈造影(CAG)の5つの検査によって診断されます。

1.トレッドミル運動負荷心電図検査

 トレッドミル運動負荷心電図検査は、原則として安静時には心電図が正常な方を対象に行います。運動の負荷をかけることで、心臓の筋肉の酸素の需要を拡大させて虚血状態を誘発し、その際の心電図の変化を観察します。

 負荷は速度や傾斜の変わるベルトコンベアー上を歩行することで行い、運動負荷をかける前後の心電図と合わせて、運動中の心電図、血圧を確認します。この検査にて、労作時にのみ心電図に異変が見られた場合には、「労作時狭心症」を疑います。

2.ホルター心電図検査

 狭心症の場合、症状は数分で消失してしまうため、症状が出現した際の心電図がとりづらいという難点があります。そこで、持ち運びができる携帯型の心電図を丸一日、24時間装着して観察することで、どのタイミングで異常な心電図が出るかを調査します。

 ホルター心電図を受ける際、患者さんは自分がいつ運動をしたかを記録することで、異常な心電図が出たのが労作によるものなのか、安静時に起こっていたものなのかを判別することができます。この検査にて異常な心電図が出た場合には、さらに詳しい心電図の検査を行い、虚血性心疾患の判別を行います。

 ホルター心電図では、自覚症状のない軽度の狭心症についても発見することができます。

3.心臓核医学検査

 核医学検査とは、放射線を微量に発生する薬を投与して、放射線を検出するカメラで、放射線がどのような経緯で動いているかを見ます。そうすることで、心臓から十分な血液が拍出できているか。また、心臓の筋肉に障害が出ていないかどうかを観察します。このときに使われる放射線は半日ほどで自然に消失するほど微量なので、体に害が出ることはありません。

 この検査によって心臓の筋肉がどれくらい虚血状態なのか、また心臓の筋肉がどれくらい弱ってしまっているかの評価が行えるため、虚血性心疾患の診断に有効な検査といえます。

心筋バイアビリティと心筋SPECT

 心筋バイアビリティとは、心筋の生存能力という意味です。狭心症によって冠動脈が一時的に閉塞あるいは狭窄してしまうと、酸素不足によって心筋は虚血状態となります。そして、虚血状態となった心筋部分の収縮する力は低下してしまいます。

 壊死に陥るのは30分以上虚血状態が持続した場合であり、30分以内に虚血状態から回復させることができれば、収縮する機能は可逆的に改善します。この状態を心筋アビリティがある状態だったために、状態が改善した、と表現することができます。

 しかし、中には30分以内に虚血状態から回復し、心筋アビリティがある状態にも関わらず、収縮機能の低下が持続し、あたかも壊死してしまっているように見えることもあります。この状態を「気絶心筋」あるいは「冬眠心筋」といいます。本当に壊死してしまったのか、それとも「気絶心筋」あるいは「冬眠心筋」なのかを判別するには、心臓核医学検査の中でも、特に心筋SPECTという検査が有効です。

 心筋SPECTによって、心筋の中でどの部分が虚血状態にあるのかをより詳しく調べることができます。すでに壊死してしまっている部分では血流そのものが見られないため、この検査によって血流があると確認できれば、壊死はしていないということがわかります。

 気絶心筋の場合は短時間の急激な血流途絶の後に、血流が再開して血流そのものは保たれているにも関わらず、収縮機能がなかなか回復しない状態をいい、数時間から数日にかけて回復します。一方、冬眠心筋の場合は慢性的な心筋の虚血によって収縮機能が低下している状態であり、回復には数日から月の単位の時間が必要となります。

4.心エコー検査

 超音波を当てて、心臓を観察することで、心臓の動きや構造、心臓内の血液の流れを調べることができます。この検査は超音波を当てるだけなので、患者さんへの負担が少なく、緊急時もすぐに行うことができる検査となっています。

5.冠動脈造影(CAG)

  冠動脈造影は、虚血性心疾患の最終的な診断を付けるために行われる検査です。足や腕の動脈に局所麻酔をした上で、細いカテーテルを挿入し、冠動脈までカテーテルを進めます。

 冠動脈に造影剤を注入し、冠動脈の内部から血管がどれだけ狭窄・閉塞しているのかを診断します。動脈に直接カテーテルを挿入するため、検査については出血などのリスクもあります。そのため、CAGを行う際には合併症の出現がないか観察するために、1泊の検査入院をすることもあります。

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