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介護老人保健施設(老健)とは

公開日:2016年7月25日 15時00分
更新日:2023年6月 8日 09時57分

介護老人保健施設とは1)

 介護老人保健施設とは、要介護者であって在宅復帰を目指している方を対象とし、可能な限り自立した生活を送ることができるよう、リハビリテーションをメインとする施設です。略して「老健」とも呼ばれています。施設によっては「老人保健施設」、「介護老人保健施設」と名称が混在していますが、どちらも同じサービスを提供する介護保険の給付対象施設です。日常の介護を受けながら、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などによるリハビリ、医師や看護師による医療を受けられます。

介護老人保健施設の特徴2)

 介護老人保健施設は特別養護老人ホーム(以下、特養)と同様に、公的な介護保険施設の一つです。病気やけがで入院し、病状が落ち着いたもののすぐに自宅に戻ることが困難な方が、入所の対象となります。介護老人保健施設は在宅復帰を目指す施設であるため、入所期間は概ね3箇月から6箇月程度と短期間です。もちろん、リハビリの進みが遅く、回復に達していない等の理由から自宅に帰れず、長期滞在になる場合もあります。要介護認定で要介護者と認定された場合、施設のケアマネジャーが作成するサービス計画に基づいてさまざまなサービスが利用できますが、万が一、入院治療が必要になった場合は退所となります。

 介護老人保健施設の居室は、1室あたり定員は4人以下ですが、2人部屋や個室も多くあります。また、現在の介護老人保健施設は、特養と同様、居宅に近い居住環境で日常生活を営めるようにユニットケア※1を提供しています。その場合、1ユニットごとに常時1人以上、夜間及び深夜は2ユニットごとに1人以上の介護職員又は看護職員が常駐する必要があります。

※1:ユニットケア:
ユニットケアとは、施設に入居している利用者一人一人に尊厳のある個別ケアを目指した介護の手法のことを言います。具体的には少人数のグループを1つのユニットとして同じメンバーで生活し、決まったスタッフがケアを行います。

 介護老人保健施設では、このような入所して利用できるサービスに加えて、一時的に入所して、その間に要介護者のお世話をしている家族の方が休みを取ることができる、短期入所療養介護(ショートステイ)や日帰りでリハビリテーションを利用する通所リハビリテーション(デイケア)といった、介護保険の給付対象となるサービスが利用できます。

介護老人保健施設の入所基準

 介護老人保健施設は病状が安定していて入院や治療の必要がない、要介護度1以上の方が入所可能な施設です。医師の常駐や、看護師による日中・夜間24時間体制での管理が行われており、医療依存度の高い方(胃ろう・じょくそう・酸素療法・酸素吸入)でも安心して入所することができます。

 介護老人保健施設では、医療費が施設負担になるため、内服薬が多い人や、高い医療処置材料を使用する必要のある方は、入所できないケースが多いようです。入所する前に医師へ相談していくことで、解決できることもあります。

介護老人保健施設の費用負担

 利用者負担は、原則として保険給付の対象となるサービス(施設サービス費+サービス加算)にかかった費用の1割または2割です。収入によっては3割負担となります。介護度によって費用は異なり、施設の設備や職員の体制、施設で対応する処置に応じて介護サービス加算も発生します。介護老人保健施設は看護師や理学療法士、作業療法士などによるサービスに対して料金が加算されるため、特養より費用は高くなります。そのほかの費用としては、保険給付の対象となっていない居住費・食費・日常生活費などが自己負担としてかかります。また、事業所によって介護職員処遇改善加算(現行加算)、介護職員等特定処遇改善加算(特定加算)が加わります。なお、介護職員処遇改善加算及び介護職員等特定処遇改善加算は支給限度額の対象外です。

 また、低所得者の方の利用を妨げないために、世帯の所得に応じて居住費、食費を減額するための制度(特定入居者介護サービス費)が設けられています。

 現在の介護老人保健施設は、「基本型」と「在宅強化型」 に分かれています(表1、表2)。評価項目として「在宅復帰状況」「ベッドの回転率」「重度者の割合」 をあげており、在宅復帰に貢献している施設が「在宅強化型」とされています。

表1:介護保健施設サービス費(1割負担の場合、1日につき)4)
従来型個室従来型個室多床室多床室
基本型在宅強化型基本型在宅強化型
要介護1 701円 742円 775円 822円
要介護2 746円 814円 823円 896円
要介護3 808円 876円 884円 959円
要介護4 860円 932円 935円 1,015円
要介護5 911円 988円 989円 1,070円
表2:ユニット型介護保健施設サービス費(1割負担の場合、1日につき)4)
ユニット型個室ユニット型個室ユニット型個室的多床室ユニット型個室的多床室
基本型在宅強化型基本型在宅強化型
要介護1 781円 826円 781円 826円
要介護2 826円 900円 826円 900円
要介護3 888円 962円 888円 962円
要介護4 941円 1,019円 941円 1,019円
要介護5 993円 1,074円 993円 1,074円

介護老人保健施設の職員体制2)

 介護老人保健施設の職員体制としては、入所者数が100人あたり、常勤で医師が1人以上、看護・介護職員が入所者3人に対して1人以上(そのうち看護職員は看護、介護職員総数の7分の2程度)とし、リハビリ職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が1人以上、介護支援専門員が1人以上、栄養士が1人以上必要となります。

介護老人保健施設の利用を希望する場合の問合わせ先

 介護老人保健施設の利用を希望する場合は、直接施設に問い合わせることもできますが、お住まいの地域の役所や、近隣の地域包括支援センターでも相談に応じています。最寄りの地域包括支援センターは厚生労働省がインターネット上に公開している「介護サービス情報公表システム」から検索することができます。

介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」(厚生労働省)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

参考文献

  1. どんなサービスがあるの? - 介護老人保健施設(老健) 公表されている介護サービスについて 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 参考資料(介護老人保健施設)厚生労働省 (PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 厚生労働省 介護老人保健施設の経営実態について(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 令和元年度介護報酬改定について 厚生労働省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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