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難病患者の介護

公開日:2016年7月25日 14時00分
更新日:2019年2月18日 14時42分

難病・特定疾患とは

 難病とは、病気の原因が不明で、治療法もよくわかっていないために治癒しにくい病気であって、ときには軽快しても、視力障害や手足の運動障害などで社会や職場に復帰することが困難な病気です。

 平成27年1月より難病患者のために難病法が施行されました。難病法で示されている原因がわからなく、治療法が確立されていなく、長期療養が必要な難病は、指定難病とされており、平成27年7月には306疾患となり、治療費の一部を公費負担できる難病医療費支援制度が実施されています。

 具体的には、筋萎縮性側索硬化症、潰瘍性大腸炎、パーキンソン病、スモン、ベーチェット病、重症筋無力症、全身性エリトマトーデス、再生不良性貧血、多発性硬化症、難治性の肝炎などがあります。

難病患者の介護のポイント

 難病患者の介護のポイントは、QOL(quality of life,生活の質)の向上、ひいては一人ひとりの障害者や、高齢者がその人らしい生活をおくれるようにすること、自分の意思決定をする自己決定権に裏付けられた尊厳ある生活(ROL:respect of life)を送れるように援助することです。

筋委縮性側索硬化症(ALS)の介護のポイント

  1. 筋萎縮性側索硬化症(リンク1参照)は、運動ニューロンが選択的に障害される原因不明の疾患であり、症状は一側上肢の筋力低下、運動麻痺、嚥下障害などを初発症状とし、発症から2~5年で急速に進行し呼吸筋麻痺が出現し、人工呼吸器を装着しない限り呼吸不全のために死に至るのが一般的ですが、10数年にわたり人工呼吸器を使用しないで長期にわたりゆっくりと進行していく例もあります。
  2. 介護にあたり注意すべきことは、全身の筋力低下により座位姿勢で頭を保持できないことがあります。座位姿勢にするときは、頸椎装具を装着するか、車椅子もリクライニング式車椅子にして頭部の安定させる必要があります。
  3. 病状が進行してベッド臥床が主体となった時は、手足のおく位置によって痛みを生じたり、呼吸苦を訴えたりします。介護者は利用者の残存筋力がどれくらいであるか理解しておかなければならないし、また痛みを生じないポジショニングを知る必要があります。
  4. 自分の意思決定をすることが可能であるので、何らかの方法でコミュニケーションを図る必要があります。それには、"はい"、"いいえ"の表現方法を取り決めておき、介護者は"はい"、"いいえ"で表現できる質問でコミュニケーションを図る必要があります。文字盤、コミュニケーションエイド、パソコンなどの機器を用いる意志の伝達手段も考慮しなければなりません。
  5. 長期の生活により認知症を発症することも多くみられるため、認知症の介護も必要になります。認知症が発症した場合には、コミュニケーション方法や内服薬の検討をしていかなければなりません。
  6. 呼吸状態の低下により、食べ物や飲み物を飲み込む能力が低下することで、嚥下障害を起こす可能性があります。嚥下障害により誤嚥性肺炎を引き起こすため、食事や水分摂取方法の工夫をしていく必要があります。
  7. 家族は、介護の量と慣れない処置のために非常にストレスにさらされており、ホームヘルパーなどは家族の負担の軽減と悩みを聞くことで精神的に支援することが大切です。また緊急時対応として呼吸器を装着している時は、異常事態のアラームに関する知識は必要であり、医療機関などへの連絡網を取り決めておく必要があります。

リンク1 筋萎縮性側索硬化症(ALS)

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